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第五章 詩穂、結婚する

数日後母が、「晴美ちゃんに聞いたわよ。池永春樹君とデートした事があるらしいわね。昨日晴美ちゃんに、池永春樹君と連絡とって詩穂が付き合いたいと言っていると伝言頼んだのよ。」

「ちょっと勝手な事しないで!そんな事は言ってないわよ。」と怒っていると晴美から着信があった。

「今晩、春樹が仕事帰りにプロレスジムに寄るわ。それまで帰らないで待っていてね。高校時代、春樹が詩穂に惚れて声をかけたので期待できるわよ。」

「えっ!もう春樹に伝えたの?今晩来るって動きが早くない?」と心の準備が出来なくて慌てている様子でした。

「えっ!知らなかったの?詩穂の母親から超特急で頼まれたので。」と詩穂の反応が予想外で戸惑っていた。

「わかったわ。」と電話を切った。

「ちょっと母ちゃん!晴美に何を言ったのよ!」と怒っていた。

「もうここまで来たら諦めなさい。今更断れないでしょう?」とやはり急がせて正解だったわ。ゆっくりしていたら、詩穂が晴美ちゃんを止めていたわねと満足していた。

    **********

今日一日、私に落ち着きがない様子を母が見て相思相愛だと直感した。

私は夕方一旦帰宅して着替えた。

再びプロレスジムにきた私を見て母が、「ちょっと詩穂、そのお人形さんみたいな服は何?」と春樹を意識していると感じていた。

やがて春樹がプロレスジムに私を訪ねてきた。

千代子から、池永と名乗るお客様が私を訪ねて来たと聞いた。

「応接室で待ってもらって。着替えてから行くから。」と慌ててシャワーを浴びて着替えた。

その後、応接室で久しぶりに春樹と会った。

全員、応接室の前で興味本位に聞き耳たてていた。

「詩穂さん、ご無沙汰しています。元気でしたか?」と雑談を始めた。

「ええ、私は見た通り元気です。春樹さんはどうでしたか?」と雑談に応じた。

「私はいつもテレビでレッドデビルの応援をしていました。たまに試合会場で直接応援した事もありました。」と詩穂の事は気にしていた事を伝えた。

「試合会場にまで来たのでしたら、声を掛けて頂いたらよかったのに。」となぜ声を掛けてくれなかったのか確認した。

「悪役レスラーを応援しているだけで周囲から白い目で見られ、この上、声を掛ければ帰り道に襲われそうだったから声は掛けなかったんだ。」と笑っていた。

「声を掛けて頂いたら、帰り道は私が護衛したのに。」と残念そうでした。

    **********

笑顔から真剣な顔になり、「詩穂さん、私と結婚を考えていると晴美さんから聞きました。高校時代は不良に絡まれて自然消滅しましたが、私と結婚前提に付き合って頂けませんか?」と核心に触れた。

「私たちに絡んでいた不良グループのリーダーは晴美の彼氏よ。副リーダーはこのジムで働いているわよ。事務所にいるはずだけれども気付かなかった?結婚については私でよければよろしくお願いします。」と恥ずかしそうに返事した。

ドアの外で聞いていたメンバーがガッツポーズした。

私はドアの外に気配を感じた。

ドアを開けるとみんないた。

「ちょっと何しているのよ。プライバシーの侵害よ。」と怒ると、「ガッツポーズなんかするからばれたじゃないの。」とみんな慌てて逃げた。

    **********

帰宅後母に、「晴美に何を言わせたのよ!まるで私がプロポーズしたみたいになっているじゃないの!」と怒りながら確認した。

「晴美ちゃんの話では、池永君は奥手らしいので、プロポーズしやすいように手を打っておいたのよ。」と笑っていた。

しばらく付き合っていると、母の予想通りにプロポーズされた。

数日後、プロポーズを受けて婚約した。

その後、私が婚約したとも知らずに晴美から、「そろそろプロポーズしなよ。」と勧められた。

「六月の第二土曜日、空けといてね。」と笑って答えた。

「その日にプロポーズするのか?」と興味本位で聞いた。

「違うわよ。六月よ。ジュンブライドよ。私と春樹の結婚式よ。」と教えた。

「えっ!?もうそこまで話が進んでいたのか?」と意外な様子でした。

「結婚を前提に付き合うと言っても、高校時代の同級生でお互いの事は知っていたので、二回目のデートで結婚の話がでて次のデートで春樹は私にプロポーズしたわ。私の心は決まっていたけれども、もったいぶって次のデートで返事して結婚が決まったのよ。私と春樹は遊んでばかりではなく、教会やホテルなどで結婚式場の下見をしていた事に気付かなかったの?」と晴美を横目でチラッとみた。

「人のデートを覗くような野暮な真似はしないから気付かなかったわ。」と驚いていた。

「最初、春樹がプロレスジムに私を訪ねてきた時に、ドアの外で盗み聞きしていたのは誰よ。よく言うわね。人の事より晴美はどうなのよ。高校時代、不良グループリーダーだった瀬川貞一さんと付き合っているのでしょう?」と呆れていた。

「そんな事、誰から聞いたのよ。なんでそんな事を知っているのよ。女子大時代に合コンで知り合った彼氏と付き合っていると貞一さんが知って、やきもちで大変だったのよ。詩穂もその合コンで知り合った彼氏と付き合っていなかった?詩穂はどうだったのよ。」と誰も知らないと思っていたので驚いていた。

「私がレッドデビルだと知って、夫婦喧嘩すれば殺されるとみんな私から離れて行ったわ。というのは建前で、本音は女房より優位に立ちたいようでした。レッドデビル相手では優位に立てないと思ったようでした。周囲をよく見なさい。千代子の部下で、私の家に下宿している人を。おかまでなよなよしているけれども高校時代、不良グループリーダーだった貞一さんの腹心だった人よ。貞一さんに一目ぼれして近くにいたそうよ。彼氏を取られないようにね。」と笑っていた。

「えっ!?嘘。似ているとは思っていたけれどもまさかね。」と驚いていた。

    **********

やがて、私は春樹と結婚した。

プロレスジムから一駅離れたマンションに新居を構えて新婚生活を始めた。

高校時代と同様にプロレスでうっぷん晴らしをして、マンションでは春樹の顔にドロを塗らないようにお淑やかにしていた。

ある日、同じマンションの住人が、「詩穂さん、新婚のところ悪いけれどもあなたのご主人、変な趣味があり危険よ。離婚するなら子供ができる前にしないと、子供ができれば簡単に離婚できないわよ。」と告げ口した。

私は何事かと思い、「私の主人に限って変な趣味はもってないわ。」と春樹を信じていた。

他の住人も集まって来て、「それなら私も知っているわよ。嘘だと思うのなら、女子プロレスの試合を観戦に行ってみればわかるわよ。悪役で反則ばかりする狂暴なレッドデビルを応援しているのよ。あんな狂暴な女を応援しているなんておかしいわよ。変態じゃないの?それともタイプかしら。浮気される前に離婚を勧めるわ。」と住人数人で告げ口した。

私はホッとして、「それなら知っています。レッドデビルは警察学校で非常勤の教官を務めているので悪い人ではないと思うわよ。」と返事してその場を去った。

私の応援が変な趣味で変態なの?とブツブツ呟いていた。

    **********

マッションの住民たちは、「お淑やかでお高くとまっている詩穂さんをちょっと脅かそうと思ったのに何よ、あの態度!腹立つな。」と住民同士で話をしながら歩いていたので注意散漫になり、マンションに住んでいる同級生のところに遊びに来た不良少年たちとマンションの中庭でぶつかった。

「このババア!どこ見て歩いているんだ!」と絡まれた。

私が気付いてそこに向かった。

「みんなで、フォークダンスでもするの?」と不良少年をからかった。

住民たちは、「冗談言っている場合じゃないでしょう!世間知らずのお嬢様は引っ込んで!」と慌てていた。

不良少年たちは、「世間知らずのお嬢様だったら、お金をたくさん持っていそうだな。少し俺たちにも回してくれよ。」と迫って来た。

「少しでいいの?わかったわ。」と一円玉を渡した。

五百円玉だと思って受け取ったのが一円玉だったので切れた。

「一円玉じゃないか!俺たちをバカにしているのか!」と一円玉を地面に叩きつけて切れた。

「何てバカな事をするの!」と住民たちはビビッて腰を抜かして手で頭を覆っていた。

私は平気で、「えっ?少しでいいのでしょう?」と笑っていた。

「じゃかましい!この俺を本気で怒らしたな。女でもようしゃしない!」と私を襲ったが簡単に倒された。

住民たちは、横に吹っ飛んできたのが詩穂だと思い、恐る恐る見ると、不良少年だったので、信じられない様子でした。

仲間の不良少年たちが、「やる気か?少しは格闘技の心得があるようだな。」と私を囲んだ。

「腰抜けが何人集まっても腰抜けよ。」と笑っていた。

「誰が腰抜けだ!」と全員で襲ったが、簡単に倒された。

住民たちは腰を抜かした状態で、「嘘!強!」と驚いていた。

    **********

私が不良少年たちと話をしている間に、住民が警察に通報していて警察が到着した。

警察官は敬礼して、「教官!相変わらずお強いですね。格闘技に自信があり、私たちも手を焼いていた不良少年数人を倒してしまうとは、さすがレッドデビルですね。」とあいさつした。

「こんな腰抜けに手を焼いているだなんて情けないわね。時間があればプロレスジムに来なさい。みっちり仕込んであげるから。」と笑っていた。

「申し訳ございません。それでは教官、失礼します。」と苦笑いを浮かべて不良少年たちを検挙した。


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