第二章 悪流高校の復讐
翌日から貞一たちは私に一目置いた。
貞一たちが女子高生に悪戯しようとしても私が、「何しているの?」と指をポキポキ鳴らすと逃げた。
ある日、私が順子と帰宅途中、貞一が追ってきて声を掛けられた。
「俺の仲間が拉致された。あの時の女を連れてこいと要求された。」と私に助けを求めた。
買い物していた母が近くにいた。
「どうするの?詩穂。恐らく人数を集めていろいろと準備していると思うわよ。」と私がどうするのか確認した。
「もちろん、着替えてから助けに行くわよ。」と悪流高校と争う事を決意した。
「そうか。わかったわ。じゃ、がんばってね。」と立ち去ろうとした。
「ちょっと待ってよ。助けてくれないの?」と助けてくれるとばかり思っていたので呼び止めた。
「不良高校生に倒されるのは私の娘じゃないわ。」と冷たく返事して立ち去った。
貞一は、「母親なんて何も役に立たない・・・」となぜ母親に助けを求めるのか確認しようとしていた。
順子が、「何を言っているのよ。詩穂は母親には敵わないわよ。詩穂より母親のほうが強いわよ。」と説明した。
貞一は、「嘘だろう?詩穂さんより強い人がいるのか?詩穂さんは良いところのお嬢様ではなかったのか?どんな家庭なのだ。」と信じられない様子でした。
順子が、「ケンカの天才が財界人と結婚しただけよ。詩穂がケンカに強いのは、母親からの遺伝ね。」と説明した。
貞一は納得して、「決闘、頼んだぞ。」とその場を去った。
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私が決闘場に行くと二十人ほどいた。
悪流高校の不良たちは、「俺たちに逆らった事を後悔させてやる。」と襲ってきた。
バイクが一台あり、バイクで襲ってきた。
私はすかさず近くに落ちていた木を拾い、バイクを避けて前輪に突っ込むと、前輪が固定されて後輪が浮き上がり、バイクは吹っ飛んだ。
ガソリンタンクを岩に強く打ち付けて穴があき、ガソリンが漏れ出した。
岩との摩擦で火花が飛びガソリンに引火してバイクは炎上した。
それを見た悪流高校の不良たちは、「バ、バイクがやられた!」と焦っていた。
「焦るな!全員で襲えばなんとかなる!」と私に襲い掛かってきた。
人数が多いので、関節を外して動けないようにして人数を減らそうとした。
骨折させると快復までに時間がかかり、問題になる可能性があるからだ。
同時に襲われないように素早く動いて、一人ずつ倒してやがて全員倒した。
悪流高校の不良たちは、「足が動かない。」とか、「腕が動かない。」と焦っていた。
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決闘前に晴美は順子から聞いて、私が悪流高校の不良たちと決闘する事に気付いた。
「瀬川たちがいないのは、決闘場に行っているのか?先日、あいつらは詩穂にやられているから人数を集めているわよ。なぜ黙っていたのよ。」と慌てて警察に通報して順子と決闘場に向かった。
決闘場の近くまで来ると、何かが燃えていたので何があったのか心配して決闘場に急いだ。
決闘場に到着するとバイクが燃えていて悪流高校の不良たちは全員動けなくなっていた。
その様子を見て、やはり詩穂は強いと感心していると、やがて警察が到着した。
「あら刑事さん、また会ったわね。」
「また、派手にやったな。お前らもお前らだ。女子プロレス世界チャンピオンを病院送りにしたレッドデビルにケンカ売るから、こんな事になるんだ。レッドデビルが手加減してくれた事に感謝するんだな。女子プロレス世界チャンピオンは意識不明になり死にかけたそうだ。プロレスラーでもないお前たちにレッドデビルが本気だせば死ぬぞ。」と忠告して、悪流高校の不良たちを護送車に乗せて検挙した。
護送車に乗せる時に刑事に説明しながらのせた。
わたしが倒した記憶のない不良たちもいた。
ふと横を見るとピンクデビルがいた。
助けないだなんて言いながら助けてくれたんだ。やはり母親ねと母に感謝していた。
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話を聞いていた貞一たちは、遅れて決闘場にきた晴美に、「杉山さんが、あの狂暴なレッドデビルって本当か?」と信じられない様子で確認した。
晴美は、「ええ、本当よ。信じられないようね。次回のレッドデビルの試合を一緒に観戦しよう。試合後、レッドデビルの控室に行けばわかるわよ。」と誘った。
「何も試合後でなくても試合前でもいいわよ。」といつものお淑やかな女子高生に戻り、わが校の不良たちを控室に招待した。
順子が、「試合の事や精神統一などせずに同級生と雑談するとは、さすがレッドデビル、余裕ね。レッドデビルの母親はピンクデビルよ。試合で、レッドデビルはピンクデビルに手も足もでなかったでしょう?これで詩穂より母親のほうが強いと納得した?」と先日は信じられない様子でしたので、補足説明した。
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やがて試合当日になり、私は試合前に晴美たちと貞一たちを控室に入れた。
いろいろと雑談した。
最後に晴美が、「今日の試合相手は連戦連勝の女子プロレスラーよ。詩穂がどれだけ強いかその目で見なさい。」とレッドデビルのマスクをかぶりながら試合会場に向かう私を見送った。
やがて試合開始のゴングがなった。
序盤は、お互いに相手をけん制していた。
リングサイドから晴美が、「今なら、レッドデビルの声が詩穂だとわかるでしょう?今までは、そんな事は思いもしなかったので気付かなかったでしょう。」と貞一たちと雑談していた。
「確かに言われてみれば、あれは杉山さんの声だ。」とわが校のマドンナの正体を知り驚いていた。
相手レスラーは私にスキがないので、ロープに駆け寄り、その反動で私に襲い掛かった。
相手レスラーは空手チョップなど上半身を警戒しているようで、上半身を固めて肩から体当たりしようとしていて、下半身にスキができていた。
私は一歩引いて足を出すと、相手レスラーは転倒した。
私はすかさず、相手レスラーの背中に馬乗りになり、右腕を締め上げた。
相手レスラーは体を回転させて私を弾き飛ばした。
今度は、私がロープを使い勢いをつけて、起き上がろうとしている相手レスラーの背中に飛び蹴りした。
その後、相手レスラーに体制を整える時間を与えないように連続攻撃して、第一ラウンドはレッドデビル優勢で終わった。
第二ラウンド、相手レスラーは挽回しようとしたが、その焦りから技が決まらず、レッドデビルには敵わなかった。
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試合終了後、私は晴美たちと貞一たちを再び控室に入れた。
貞一たちは、「杉山さん、連戦連勝のあのレスラーを倒すとはすごいですね。」と感心していた。
「あのレスラーは大声を出して相手レスラーをビビらせて、そのスキに勝利していたのよ。私はテレビ中継を見ただけで、あのレスラーはたいしたことないと思ったわ。みんなが強いと言っているので挑戦して弱いレスラーだと証明したのよ。楽勝で勝利したわ。今日のテレビ中継を見た人はどう思うかしら?」と今日の試合相手のレスラーの感想を述べた。
しかし、世間は気付かずマスコミは、「連戦連勝の最強レスラーを簡単に倒すとは恐るべしレッドデビル」と報道した。
翌日、貞一たちは、「杉山さん、報道を見たよ。あんなに強かったのですね。」と感心していた。
「だから、あのレスラーは弱かったと説明したじゃないの。」と反論した。
「それは、めちゃめちゃ強い杉山さんから見れば弱いのでしょうね。」と感心していた。
反論しても無駄だと諦めた。
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スケバングループだけではなく、不良少年たちも私の近くにきた。
晴美と同じように、貞一たちも半強制的に勉強会を晴美たちと一緒にした。
カップルもできて、男子不良たちの出席率もあがり成績もあがった。
その様子を見ていた井坂先生は、「女性だけではなく、男性も更生させてくれてありがとう。」と私に感謝していた。
高校卒業後、貞一たちとは進路が分かれた。というか、私は女子大に進学したので当然だ。
やがて、大学を卒業して社会人になったある日、偶然高校時代の同級生である貞一たちに出会った。
いろいろと話がしたかったので喫茶店に入った。
いろいろと雑談していると、貞一がとんでもない事を言い出した。
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「実は高校時代、詩穂さんにしごかれたおかげで大学にも進学できて公務員になれました。レッドデビルにプロレスでしごかれた事もあって、現在警察学校で格闘技の指導をしています。杉山さん、一日教官として警察学校に来て頂けませんか?」と依頼された。
いろいろと話し合い、結局引き受ける事にした。
次回投稿予定日は、7月14日を予定しています。