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ソラリスが連れていかれた部屋の扉には『使用人用』と書かれた札がかけられていた。

「よし、まずはお掃除ですね」

ソラリスは雑巾を手に取り床の汚れを落とし始めた。

ここが新しい我が家になるのだと、そう思いながら……。

それからソラリスは忙しく働いていた。

城のメイド長から仕事を教えてもらい、慣れないながらも城内の清掃、食事の準備、洗濯や買い物など、家事全般をなんとかこなしていく。

もちろん仕事の合間には魔法の練習も欠かさない。

「ふう、これで終わりっと」

最後の仕上げに窓拭きをしていた。

その時だった。

ドォンッ!と轟音が鳴り響いた。

「なっ、何事!?」

急いで外に出る。するとそこには、大きなドラゴンが立っていた。

「きゃあああっ!」

ソラリスは腰を抜かし、その場にへたり込んでしまった。

ドラゴンは大きな口を開け、今にも襲いかからんとしていた。

「くっ、こっちに来る……」

恐怖で足がすくんで動けない……。

「はぁーっ!!」

突如、横から誰かが現れ、剣を振りかざした。

「えっ!?」

勇者様!?

ソラリスは目を見開いた。

しかしそこには女騎士の姿があった。

「ここは私に任せなさい!」

騎士はそう言うと、素早い動きで次々と攻撃を繰り出していった。

そして、ものの数分もしない内に、ドラゴンは倒れてしまったのである。

「すごい……」

呆然と立ち尽くすソラリス。

「ふぅ、なんとか倒せたわね」

「あの、あなたは……」

「ああ、私は……」

「ソフィア・アイネストさん!?」

「あら、知ってるの?」

「は、はい!あなたは私の憧れなんです!」

「そうなの?ありがとう!あなた名前は?」

「私はソラリスと言います」

「ソラリスさん、あなたって可愛い名前ね」

「そ、そんなこと……」

顔を赤らめるソラリス。

「ねえ、よかったら一緒に旅をしてみない?」

「えっ?」

「実は私、仲間を探しているんだけど、なかなか見つからなくて困っていたところなのよ」

「でも私には……アレックスさんが……」

「アレックスさんって投獄された彼よね?」

「はい……」

「あの人のことは忘れて、私と一緒に行きましょう」

「でも……ごめんなさい……」

「どうして!?」

「あの人は私の、かけがえの無い存在だからです」

「……かけがえの無い存在……そう……分かったわ」

「すみません……」

「いいのよ、気にしないで、それより早く片付けちゃいましょ」

「はい!」

二人は協力してドラゴンの死体を解体した。

そして、城に戻ると、メイド長が出迎えてくれた。

「おかえりなさいませ、ソラリスさん」

「ただいまです」

「お疲れでしょう、お茶をどうぞ」

「ありがとうございます」

ソラリスは出された紅茶を一口飲んだ。

「おいしい!この味、とても落ち着く……」

「それは良かった、では明日からもよろしくお願いしますね」

「はい!こちらこそお願いします!」

こうしてソラリスの新たな生活が始まったのであった。

一方アレックスは牢獄に入れられていた。

冷たい石壁に囲まれた狭い空間だ。

ベッドもトイレも無い、本当に寝るためだけの場所だった。

(ソラリスちゃんはどんな酷いことをされているんだろう……)

そう思うと胸が痛む。

だが、自分にはなにも出来ない。

今はひたすら耐えるしかないのだ。

アレックスは目を閉じて眠りについた。

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