12
「何だと?また現れたのか」
「今度は逃がさないぞ」
「ちっ……面倒だ、今度は本当に眠ってもらうぞ」
男は魔方陣を展開する。
「させません!〈聖光弾〉!!」
僧侶が唱えると、光の弾丸が飛んできた。
「ちっ!邪魔しやがって!」
男は回避し、呪文を唱える。
「〈雷槍〉!!」
空から雷撃が落ちる。
「ぐっ!?」
「ソラリスちゃん、危ない!」
アレックスはソラリスを突き飛ばした。
「ぐあああ!!」
アレックスは電撃を食らう。
「アレックスさん!!」
「大丈夫だよ……それより、早く逃げて」
「でも……」
「お願いだから……ね?」
「はい……」
ソラリスはその場を離れた。
「おいおい、一人で俺と戦う気か?」
「当たり前だ……俺だって本当は強いんだぜ?ここで逃げたら、この国の人たちの未来はない。なら、俺は戦うしかないじゃないか!!」
アレックスは剣を構える。
「そうか……残念だ」
男は手を向ける。
「〈火球〉!!」
炎の玉が放たれる。
「くっ!?」
アレックスは避ける。
「まだまだ行くぞ!〈風刃〉!!」
風の斬撃が飛ぶ。
「うわっ!?」
アレックスはダメージを受ける。
「どうだ、効くだろ?」
「まあな……だけど、こんなものじゃないだろ?」
アレックスは立ち上がる。
「はは、なかなか強がりを言うな」
「うるせえ」
アレックスは構え直す。
「それじゃ、そろそろいかせてもらうぜ」
男は手を向けた。
「食らえ!」
「させない!」
アレックスは男の魔法を防いだ。
「馬鹿な……」
「へへ、さっきまでとは立場が違うんだよ!」
「ちっ……」
男は魔法を放つ。
「〈雷槍〉!」
「遅い!」
アレックスは避ける。
「くっ……だが、これで終わりだ」
男は手をかざす。
「いくぞ……〈闇霧〉!」
辺り一面に黒い霧が広がる。
「な、なんだこれ……」
「ははは!眠ってしまえぇ!!」
男の声が響く。すると、急に眠気が襲ってきた。
「これはまずい……」
(なんとかしないと……)
しかし、眠気に襲われる中、アレックスは秘儀を使う。
「〈大賢者:眠りの雲〉!」
アレックスの周りに白い煙が立ち込める。
「くっ……しまった」
男は膝をつく。
「今のうちに……〈浄化の光〉!」
アレックスは聖なる力で闇の魔力をかき消す。
「よし、後はあいつを倒すだけだ」
アレックスは走り出す。
「くっ……やらせねえよ」
男は立ち上がり、呪文を唱えようとする。
「させるか!」
アレックスが呪文を唱えると剣から眩しい光が発せられ始めた。
「なにっ!?」
「聖剣よ、我の願いに応えよ!」
剣が輝きを増していく。
「くっ……」
「お前のような悪党は俺が許さない!正義の名のもとに成敗するっ!」
「小賢しい!」
「くらえ!〈聖光爆裂斬乱れ撃ち〉!!」
「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
男は雄叫びを上げながら魔法で防ごうとする。
「無駄だ!」
全ての光弾が命中し大爆発を起こす。
「ぐああぁぁぁぁぁ!!!」
あたり一面が吹き飛び、男も気絶した。
「やったぞ……勝ったぞ……」
アレックスはその場に倒れ込む。
「うう……」
「アレックスさん!」
ソラリスが駆け寄る。
「ソラリスちゃん……無事だったかい?」
「はい……ありがとうございます……」
「良かった……」
「うむ、やってしまったか……」
「その声は!?」
アレックスは声の方を向いた。
「大賢者クロコダイル様!」
「久しぶりだのう」
「お会いできて光栄です」
「うむ、話は聞かせてもらった、しかし……」
「しかし?」
「おぬしは魔王に向けるべき力を一般市民に使ってしまってな、それはもう取り返しがつかんじゃろう」
「そんな!?」
「仕方あるまい、お主は勇者でありながら正義の心を忘れてしまったのだ」
「俺はただ、この国の人々を助けたかっただけなのに……」
「それが間違いだと何故分からん?まあよい、また新しい魔王討伐の勇者を探すとしよう」