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男は笑う。
「く、クソ……」
アレックスは立ち上がる。
「まだやるのか?大人しくしてれば見逃してやったのによ」
「……」
「おい、何とか言えよ」
「悪いけど、そう簡単に諦められないんでね」
「そうか……じゃあ、仕方ないな」
「ああ、覚悟しろ」
アレックスは剣を構えた。
「ふん、かかって来い」
「言われなくても行くぜ!」
アレックスは斬りかかる。
「はは、遅すぎるぜ!」
しかし、男は軽々と避けてしまう。
「まだまだ!!」
アレックスは攻撃を続ける。
「無駄だっつーの」
「くっ……」
だが、全く当たらない。
「どうした?もう終わりか?」
「まだまだ!!」
「はは、そうこなくっちゃな!」
その後も、アレックスは何度も攻撃を仕掛けるが、全て避けられてしまった。
「ハァ……ハァ……ハァ」
息を切らすアレックス。
「もう限界か?」
「はぁ……はぁ……うるせえ」
「そうか……まあ、これで終わりだ」
男は手を向けた。
「食らえ!〈火球〉!!」
炎の玉が放たれる。
「くっ!?」
避けられないと思ったアレックスは、咄嵯に防御魔法を唱えた。
「〈水壁〉!!」
水の盾が現れる。
「防いだつもりだろうが、無駄なんだよ!!」
「なっ!?」
火の玉は水の盾を貫き、アレックスへと向かっていく。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」
爆発すると同時に、アレックスは吹き飛んだ。
「ははは、馬鹿な奴だ」
男は笑った。
「アレックスさん……」
ソラリスは呆然としていた。
「さてと、邪魔者はいなくなった。今度こそ二人で楽しもう」
「ひっ……」
男は再び腰に手を回す。
「やめてください!」
ソラリスは抵抗するが、ビクともしない。
「へへ、可愛い顔してるじゃないか」
「やだ……」
「大丈夫だって、優しくしてあげるから」
「嫌です……誰か助けて……」
しかし周りは誰も動かない。皆、目をそらしている。
「ふぅ……いい匂いだな」
「いや……やめて……」
「おいおい、そんなに怯えるなよ」
「いや……いや……」
「よし、それじゃあ早速……」
男はソラリスの顔をぺろりと舐めた。
「きゃああああああ!!!!」
ソラリスは絶叫した。
「お、良い反応じゃん」
男はさらに舌を這わせる。
「うう……だ、ダメ……我慢しないと……」
ソラリスの目には涙が浮かぶ。
「そうだ、いい子にしていろよ?」
男はソラリスの首筋に吸い付いた。
「ん……」
「ちゅぱ、美味しいよぉ」
「や、やめ……」
「いいじゃないか、もっと吸わせてくれよ」
「やめ……」
「遠慮しなくていいって」
「やめ……」
「それにしても柔らかい肌だなぁ」
「うう……」
「こっちも柔らかそうだな」
男はそう言うとソラリスのブラウスを力任せに引っ張った。
「綺麗な色をしてるねぇ」
男はまじまじと見つめる。そして、その胸に触れた。
「あっ……」
「いいねぇ、いいねぇ」
「やめて……」
「おい、お前らにも見せてやるぞ」
男はソラリスの胸を揺らして見せた。
「ほら、よく見ろ」
ソラリスは泣きながら後ろを見る。そこには、ニヤニヤとした表情でこちらを見ている男たちがいた。
「うう……ううう……」
ソラリスは絶望した。
「そこまでだ!」
一人の男が声を上げる。
「なんだお前は?」
男が振り向く。
「俺は正義の味方、勇者アレックス様だ!」
そこには剣を持ったアレックスの姿があった。