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金とか銀とかのシリーズ

民のいない世界の支配者

作者: 仲仁へび



 とある世界に、仲の良い兄弟がいた。


「俺達はこの世でたった二人の兄弟だ。だから互いに支え合って、生きて行こう」


 臣下はいるが、親はいない。

 だから、その兄弟は王族として、二人で支え合えあいながら、世界を導いていくはずだった。


 兄は、金色の王となり。


「王様! あめでとうございます!」


 妹は、銀色の姫となる。


「お姫様! おめでとうございます!」


 そう、なるはずだった。


 しかし、間違いが起きた。


 一番目に生まれた人間は金色の王にならなければならない。

 二番目に生まれた人間は銀色の姫にならなければならない。


「一体どうしてこんな事に」

「ああ、神よ。我々が何をしたというのだ」

「こんな仕打ちはあんまりだ」

「なぜ? なぜなのだ」

「予想外だ」

「おかしい」


 そう定められていたのに、あべこべになってしまったのだ。


 ゆえに。


 兄は銀色の姫となり。


「姫様、おめでとうございます」


 妹は金色の王となった。


「王様、おめでとうございます」


 銀色の姫は、頭が良くなくてはつとまらない。

 しかし姫となった兄は、体を動かす事の方が得意だった。


「なぜ俺は、こんなにも効率の悪い方法しかとれないのだ!」


 金色の王は、力が強くなければ務まらない。

 しかし王となった妹は、頭を動かす事の方が得意だった。


「どうして私は、こんなにも体が弱いのだろう!」


 ゆえに、世界のあちこちで色々なところがまわらなくなっていった。


 だから兄弟は、自分達の役目を全うするために、ある方法を行った。


「おやめくださいお二方!」

「姫様と王がご乱心に!」

「誰か、人を!」


 銀色の姫となった兄は、民達の脳を集めて巨大な演算装置を作り出した。


「これで、誰よりも早く最高の答えを導き出すことができるぞ!」


 金色の王となった妹は、民達の肉体を使って丈夫な体を作り出した。


「これで、どんなに動き回ってもすぐに疲れる事はないわ!」


 だから兄弟は、無事に世界を導く事が出来るようになった。


 誰一人、民のいない世界を。



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