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月なき夜空にグローリエ  作者: 六番出口
1/5

1、

はじめまして

スマートフォンから萌え声が流れて、今日も目を覚ます。


温かい布団の誘惑に負けてしまいたい気持ち以上に、殺意すら感じる部屋の冷気が、起床する意欲をガリガリと削ってくる。


身体に力を入れ、何とかベットから這い出す。

窓の外は暗い。街灯は夜だと判断しているようで、未だに辺りを照らしている。


これが夏であれば、朝焼けと共に目覚めるのだが、生憎と今は冬。日が昇るまではまだ時間がある。


大学生になった、俺、松本 空の朝は早い。

『大学は人生の夏休みだ』なんてよく言われているらしいが、通学に二時間かかる俺としては、高校までの学校生活の方がよっぽど『夏休み』と呼ぶに相応しい時間だったと思う。


まあ、一限目の講義を選択しなければ二時間かかったとしても、こんなに早く起きる必要はないのだけれど…



頭の回ってない状態で顔を洗い、キンキンに冷えたお茶と、炊きたてでアツアツの白米を食べる。

お昼休みまでギリギリで持つ、寝起きで食べられる最大の量だと思う。



六時になると、父さんは通勤、弟の大志は起床してくる。

高校二年生の弟は、支度も早く、俺と同じ六時半には家を出る。



途中までは弟と電車に乗り、分かれてからも揺られること一時間半、ようやく大学に着く。


講義を受け、友達と遊び、二時間かけて家に帰る。

ごく普通の大学生の日常だ。


少し気になる所があったとしても、個性で済む程度の些細な違和感だろう。

大学に行った大人に聞けば、誰もが似たような思い出をもっているから、懐かしく感じるんじゃなかろうか。




今日は、ごく普通の日常から外れて、寄り道をして帰る日になった。


母は、最近になってYouTubeにどハマりしている。

何でもかんでも信じているわけじゃなさそうだけど、興味のあるものに傾ける情熱がスゴい。




その日は、何で見つけたのか、母から「ーーーーの御守りを買ってきて!空の大学から近いでしょ」という旨のメールが届いた。



……どうせ暇だからいいけど、ーーーーまで行くのに大学からも30分かかるのは、近いのうちに入るのか議論を交わしたいところだ。




で、着いたらめちゃくちゃ並んでるっていうね。


坂道に人がびっしり詰まってるのは、見ていると気分が落ち込んでくる。最後尾に並んでるとなればなおのこと。


母親に写メを送る

「こんなに混んでる〜(泣)」


ピロン「\( ˙꒳˙ \三/ ˙꒳˙)/‬」



…どんな感情なのかはわからないけど、諦めるお許しは出なかったようだ。


はあぁ。。。待つか。。。


ーー


結局、買うのに二時間もかかった。


いつもなら、もう家でぐったりしてる時間なのになぁ、我が家が遠い。


カエルの絵文字と、御守りの写真を送る。

二時間待ちとか、千葉県にある人気アトラクションかよ。と悪態をつきながら帰路に着く。



電車には座らない主義なんだけど、今日は疲れた。

主義を曲げよう。明日からまた貫けばいいのさ。うん


満員


そうだよね。いつもより遅いって完全に帰宅ラッシュじゃんね。



特急列車との乗り換えがある駅でようやく座ることが出来た。ふぅ


俺もジ〇ルダンくんには乗り換えろと言われてるけど、どうせ10分しか変わらない。

ゆっくり帰るとしよう。


スマホの充電も少なくなってきたし、目を閉じていると、ドッと疲れが襲いかかってくる。

電車の程よい揺れと、いつの間にか隣に座ったJKズのヒソヒソ会話が子守唄になって……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あああーーー、しまった。。。

電車の車庫まで乗るなんて、面白エピソードを家族に提供してしまうなんて、なかなかの失態だ。


辺りは真っ暗だし、寝ている間に充電も切れたらしくスマホも光らない。


連絡入れないのは後が怖いけど、この暗闇の中を歩くのはもっと怖いので、明るくなるまでここにいよう。



初めての不良行為だと思って許してくれたまえ。

俺の初めての無断外泊は、電車の中という事で。


ーそれにしても、なんか臭いな。旅行先で朝の空気を嗅いだ時みたいな匂いがする。


ーそれに………

お疲れ様でした

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