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コノハの短編集

甘い?苦い?

作者: コノハ

俺には、好きな人がいる。

いきなりだけど、こんな機会めったにないんだ、俺が彼女のことをどれほど好きか…

知ってもらいたい。

彼女の容姿が好きだ。

16歳という彼女の年齢よりも、幾分か大人びた背格好。

町を歩けば10人が10人とも(男も女も関係なし)振り返るような整った顔つき。

漆黒の、けれど輝いた瞳。

見ていると吸い込まれそうになるほど美しい黒髪。

彼女の性格が好きだ。

才色兼備、文武両道、なんでもできる万能タイプ。

だけど、けしておごらず、あくまで謙虚。

彼女の全てが好きだ。愛おしい。

でも、俺なんかが、彼女に釣り合うわけがない。

いつかは他の男と付き合ったりするのだろう。悔しい。でも、それが彼女のためになるのなら、俺は笑顔で、応援してやれる。

…今日も、駅で彼女に出会った。

毎日、彼女とはここで会う。

会話はおろか、あいさつすらしないけど。

…でも、今日は勇気を出そう。

気持ち悪いとか、思われるかもしれないけど。

いつまでも、片思いはいやだ。

遠くから、彼女の視界に入る。

いつもなら、ここで俺は振りかえり、彼女を見ないようにする。

見つめ続けて悪印象を与えたくはなかったから。

でも、今日は。

勇気を出して、彼女に手を振る。

彼女は俺に気付くと、微笑んで、手を振り返してくれた。

パアッと、世界が輝いたように感じた。

でも、今日はそれ以上のコミュニケーションは取ろうとしなかった。

…だって、もしかしたらこれぐらい彼女にとっては日常のことかもしれないから。もし、話しかけたりしてずうずうしく思われたら、大変だ。



その日は、一日が光り輝いていたようなきがする。












私には、好きな人がいます。

いきなりですけど、こんな機会めったにないんです、私が彼のことをどれほど好きか…

知ってもらいたいんです。

彼の容姿が好きです。

16歳という年齢ぴったりの背格好。

町なんか歩こうものなら、すぐにでも女の子が寄ってきそうな、カッコよさです。

茶色の、力強い印象の瞳。

短髪の、うっとりするようなきれいな黒髪。

彼の性格が好きです。

なんでも、完璧にこなせるすごい人なのに、けっして、おごらないんです。

謙虚っていうのかな?とにかく、ひかえめなんです。

彼のことが好きです。いいところも、悪いところも全部含めて。

…でも、私なんかが、彼女になんかなれないです。釣り合わないです。

こんなことでは、きっと今に彼女さんができてしまうでしょう。

でも、そのときわたしは。笑顔で祝福してあげたいです。

ちょっと泣いちゃうかもしれないけど。

…あ、今日も会えました。

駅で、いつものように、彼はいました。

ああ…こうやって、見つめているだけで、幸せ…

挨拶したい、おしゃべりしたい、でも…私に、そんな勇気、ありません…

と、思っていた時でした。

彼が、手を振ってくれました。

嬉しさで心がいっぱいになって、私は笑い、手を振り返しました。

…ああ、うれしいな。

これぐらい、彼はいつもしていることなのだろうけど…



その日は全てが光輝いていました。















 次の日……







 俺は彼女に呼び出された。

 何の用だろう?俺は期待しながら指定の場所へ向かった。 

 でも、と嫌な想像が頭をよぎる。

 もしかして鬱陶しいからもう見ないで、とかかな?

 近づかないで、かな?

 ああ……ここまでネガティブなのが俺の欠点。

 もう少し期待してもいいだろうに。でも、期待したらするほど、裏切られた時の絶望は大きくなる。

 だから俺は、期待なんかしない。

 「……あ、あのっ!」

 頬を赤らめ、上目づかいに俺を見上げる彼女。

 ……あれ?なんかめちゃくちゃかわいい。

 「な、なに?」

 「あ、あの…わ、私は、あ、あなたのことが…………」 

 それからあとに続く言葉に、俺は歓喜した。





俺たちは同じことを想っていたのだ。














 

 次の日、私は彼を呼び出すことにしました。

 もう、待っていたり、眺めるだけでは満足できなくなってしまったのです。

 昨日、手を振ってもらったその瞬間から。 

 だから、私は私の想いを、彼に伝えようと思います。

 待ちながら、考えます。

 もしかしたら、即、断られるかも知れません。

 二度と近づかないでくれ、とか言われちゃうかも知れません。

 でも、言わないと何も変わらないのです。

 変わりたいから、変えたいから、言うのです。

 どんな結果が待っていようと、私は最後には笑って見せます。

 だから、怖くはありません。……いや、怖いです。とっても怖いです。

 「……あ、あのっ!」

 少し何かを期待しているような彼の態度。でも、あくまで冷静。 

 ああ……なんてかっこいいんだろう。

 「な、なに?

 「あ、あの…わ、私は、あ、あなたのことが…………」 

 続いて言えた言葉に、彼は大いに喜んでくれました。

 












 私たちは、同じことを想っていたのです。


















fin


どうでしたか?面白かったですか?二人の恋心がよくわかりましたか?

 このあと二人がどうなるか……それは、読者様方にお任せします。

感想、ご意見お寄せください。あなた様の一文が、僕の勉強になります。どうかよろしくお願いします!


僕は長編もやっているので、そちらもよろしくお願いします。

……では、またいつかお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] ……相思相愛は素晴らしいですね。 二人共、好きな人の前だからの行動というわけか。 こういう甘い話、僕は大好きです!
2010/12/31 18:26 退会済み
管理
[一言] 2人がお互い好きというが、1人1人の立場から考えていて読んでいて面白かったです!
2009/06/24 20:46 キラリン☆
[一言] 彼女、強いですね。二人のお互いへの想いは十分に感じられました。 そうですね、きっと、この後、二人は手をつないで帰るようになるんでしょうね。そして、おんなじ状況から、先に一歩を踏み出した彼女。…
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