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第8話

プロレスリング・ドリームファクトリー

旗揚げ2周年記念!二日続けての投稿です。第1夜!

全試合が終わった後に、もろもろの後片付けと雑用を終わらせたら合宿所の立野さんたちの部屋に集まってデビューおめでとう&お疲れ様会を開くことになりました。

合宿所でのお酒はどうかと思って一応上田さんに確認したら「次の日は休みなんだし、せっかくのお祝いなんだから浴びるほど飲んじゃってもいいわよ」なんて冗談半分に言われたけど、激しい試合の後ってこともあって缶のビールやチューハイを1〜2本程度で済ませることになりました。


そして買い出し。私は未成年なのでお酒類の買い物はできないので工藤さんたちにお願いしておつまみになるような物を用意します。そうそう、お酒の確認をした時に「少ないけど足しに使ってちょうだいね」とお金を渡され「お釣りは取っておいて」って言われるし、工藤さんからは「おつまみは晴ちゃんのセンスに任せるから」って言われるしどうしましょう。未成年の私にお酒のおつまみのセンスを問われてもねえ。とりあえずお釣りは使わないで保管するとして、スーパーの珍味のコーナーとお菓子のコーナーを巡って甘いものとしょっぱいもの、硬いものと柔らかいものを揃えておこうかなって感じで買ってきます。うわー、珍味って入ってる量の割にはお値段がお高めですね、お会計の時びっくりしましたよ。


「え〜僭越ながら、ワタクシ堀田晶が乾杯の温度を取らせていただきます。お手元にグラスのーじゃない、飲み物のご用意はお済みでしょうか。それでは、立野みづき選手、山田綾選手のデビューと今後の活躍を期待して、カンパ〜イ!」

どこで覚えたのかわからないけど何気に上手な乾杯の挨拶が済んだらワイワイと始めます。立野さんは恵比寿様のマークでおなじみのビールを豪快に、山田さんは両手で丁寧に缶を持ちつつもアルコール度数が高そうな薔薇のマークのハイボールを、工藤さんはほろりと酔いそうなフルーツミックス味の甘めの物を、堀田さんは追い足しレモンって書いてある酸っぱそうなレモンサワーをそれぞれ手に取り飲み始めました。私はジンジャーエールです。一人だけペットボトルなのはしょうがないですね。


「っくう〜〜〜!、この一杯のために頑張ったと言っても過言でもないよね、今日は特にそう思うわよ」と立野さんがいえば

「ええ、五臓六腑に染み渡りますね、今日は久々にいいお酒です」なんて山田さんが言い出します。なんだかお二人は満足しているようです。


「放送席、放送席、只今より無事にデビュー戦を終えた立野選手、山田選手にインタビューをしていきたいと思います。立野選手、今の心境はいかがですか?」

どこからか取り出したか、堀田さんがタオルをマイクのように丸めて立野さんに話しかけます。


「え?え、えーと、とにかく今日という日を迎えることができて、怪我をすることもなく試合を終えることができて良かったと思います」

戸惑いながらもそれに応える立野さん、素敵です。

「続いて山田選手は」

「はい、ずっと楽しみにしていたのでとても嬉しかったです。でも私たちが負けてしまったのが悔しかったですね」

お顔をうっすら赤くしながら山田さんも答えていきますが、デビュー戦で上田さんたちに勝とうとしてたなんて想像もつきませんよ。

「上田選手と横田選手と実際に戦ってみてどのような印象を受けましたか、立野選手」

「そうですねー、両選手ともなんでもできるしこちらの思い通りにならないし、結局とらえることができませんでした。懐が深いというか飲み込まれたというか、そんな感じが試合中ずっとありました。お釈迦様の手のひらで踊らされていた孫悟空、という表現がありますが、これがそうなのかなって思いましたね」

「山田選手はいかがでしたか」

「はい、幾重にも壁があって、ひとつひとつ超えていくのが大変だなと思いました。それを乗り越えるたびに壁が厚くなったり高くなったりしていったという印象ですね。でもそれらを乗り越えられたとき私はさらに強くなれると感じました」

「なるほど。では最後に、今後はどのようにしていくか考えていますか」

「そうですねー、先輩たちの懐の深さを信じてがむしゃらに向かっていこうと思います。そしてできるだけ早く1対1の試合ができるように、さらに勝てるようになりたいと思います」

「はい、今日の試合で足りない点をいくつか指摘されたので、まずはそこから鍛え直して次に対戦したときに一泡吹かせられるようにしたいと思います」

「ありがとうございました。立野選手、山田選手の声をお届けしました。改めて今日のデビュー本当におめでとうございました。それでは放送席にお返しします」


って何やってるんですか!どこのコントですか!立野さんも山田さんも真面目に答えてるし工藤さんはずっと笑ってるし(どこで笑えばいいかわからないし)堀田さんはどこでそういうのを覚えてくるんですか!アイドルの卵は皆さんできるんですか?私は一人だけその世界に入れなくて困惑して、様子を見ているだけしかできませんでしたよ。


なんて思ってたら、今度は山田さんがマイク(状にしたタオル)を手に取り堀田さんに突き出します。

「さて、来年の1月にデビュー戦が決まったわけですが、堀田選手はそれまでどのように過ごすか考えていますか?」

逆にインタビューが始まっちゃいました。これはお酒の力だと思います。ですよね?そう思いたいです。


「え〜、アタチてすかぁ〜、痛いのは〜いやだな〜って思いますけどぉ〜、一生懸命頑張りたいと思いますぅ〜」

何ですかその喋り方は!いつもと違うじゃないですか!しかもその喋り方はあざと過ぎじゃないですか?

「なんて冗談はともかく、同期の二人があれだけのことをやったんだから燃えないわけにいかないでしょ。今日のことは事務所の社長も知ってるだろうからちょっと相談して何か用意してみますよ」

「おっと、何とも力強いことが聞けました。これは期待してもいいでしょう。次に工藤選手」

「え、あ、いや、どうしよう。わ、私は今持ってる全ての力を全部先輩たちにぶつけるだけです。その後で足りない部分を補足していいところを伸ばしていけたらと思うます」


山田さんてこんなにノリが良かったでしたっけ?それとも酔ってます?

「そして最後に佐藤選手、同期のメンバーが次々とデビューが決まっていきますが、今のお気持ちは?」

お気持ちはって言われてもですね。絶対酔ってますよね、目がすわってますもん。でもなんでそんなにレポーターみたいなことが上手なんですかね。

「え、わたしですか?私はこれ以上皆さんに差をつけられないように頑張って早くデビューできるようにしたいと思います」

「そのためには何が必要だと思いますか?」

え、えー?なんですかこのズバッと核心をつくような質問は。これは酔ってる以上のことがあるんですかね、なんか怖いです。真面目に言わなくちゃダメっぽいです。

「え、えっとプロレスの技術とかスタミナとかまだまだ足りないところが多いので、これからの練習でしっかりと鍛えていきたいと思います」

「….では最後に、将来的にどのような選手になりたいですか」

ちょ、デビューした後のことまでなんてまだ考えられないですよ、なんでこんな質問するんでしょうか、私ばっかり掘り下げすぎじゃないですか。

「え、えー、えーーー!」

「ちょっとー、そんな真面目なことばっかり聞いても面白くないじゃないのよー。あなたももっと気を利かせて話題になるようなこと言いなさいよー。そんなんじゃファンにも関係者にも印象に残らないじゃないのー!ちょっと言い過ぎちゃった?くらいが丁度いいのよ!」

いやいやいや、そうは言いますけど、責任っていうか言ったからにはっていうのがあるじゃにですか。そんなの私には無理ですよー。


「まあまあ綾さんも晶ちゃんも、言ってることは分かりますけどもう少し落ち着いてくださいよ、晴ちゃんが困ってるわよ」

工藤さん、ありがとうございますう。こんなに責められるとは思わなかったんですよ。


「それはそうと晶ちゃん、さっき社長さんと相談って言ってたけど何か考えがあるの?」

「もちろん!うちの社長はいわゆるプヲタで色々と知ってるみたいだから、私に合ったスタイルとかコスチュームとか一緒に考えてるわ。でも今は内緒、当日に披露してびっくりさせた方が面白いでしょ?お楽しみはこれからよ」

なるほど、こういうことを言えるから私にもあんなこと言ったのね。そのくらいの度胸というか肝が座ってるというか、そうじゃないとプロレスと芸能界とできないのかしら、かなり不安なんですけど。


「おー言うよねー。これは楽しみに待ってるよ。それで工藤さん、あなたはどうするの?」

立野さんが興味津々で工藤さんに質問してきます。

「私の場合は本当に当たって砕けるだけよ。皆さんみたいに器用じゃないから体格を生かしてぶちかますわよ。それが先輩たちに通用すればいいんだけどねえ。クリスさんと豊田さんの試合を参考にできたらなーと思って」

私が思ってたのとはだいぶ違ったけど、そんな感じで盛り上がりました。山田さんや堀田さんに言われた時はちょっとドキッとして落ち込んじゃいました。皆さんと比べたら覚悟?が足りないのかなー。


「みんなあんなこと言ってたけど心配してくれてるんだからね。だから晴ちゃんもデビューが決まったとき、してからどうするか、その後どうしたいかを今から考えておいた方がいいわよ」

工藤さんがフォローしてくれたおかげて落ち込んだ気持ちが少しだけ持ち直しました。山田さんに言われた訳じゃないけどもっと練習して早く皆さんに追いつきたいですね。まだまだ時間はかかるかと思いますけど待っててくださいね。

次話は8月6日を予定しています

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