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第5話

3月23日にちょっとだけ書き換えました

25日の投稿と一部入れ替えます


「フライングメイヤーで相手のバックを取ったらスリーパーホールドをかけてみましょう」

そう言うと萩原さんは松本さんを座らせてから背後に回り右手を首に回してからヘッドロックのように両手で締める。一旦離してから、次は首に回した右手を左手のヒジの内側にかけてその左手で後頭部を押す。うえー、苦しそう。


「スリーパーホールドの掛け方はだいたいこの2種類ね。プロレスのルールとして首を締める行為は反則になります。なので喉のところは隙間を開けるよう注意してね。前腕と上腕を使って頚動脈を圧迫するように腕を絡めてね」

そう言いながらちょっと力を入れるとすぐに松本さんは萩原さんの腕をパシパシと叩いてギブアップの合図をする。腕が離れるとうっすら顔が赤くなってるような気がするよ。ほんの少しの時間だったのによっぽど苦しかったんだろうね。もしかして以前山田さんが言ってた「キュッ」っていうのはこの事だったのかな?もしそうだとするとかなり危険なことだと思うんですけど?


「はい、それじゃあスリーパーホールドの返し方ね。まず、スリーパーをかけられて極められる瞬間に首に回された方の手首を掴み、相手のわきの下を通るように自分の体を回転させながら背中に回るように入れ替わるの。技が極まる前に動くのがポイントね。これがハンマーロック」

松本さんに技をかけられながら説明しながら動き始め、スルスルと体を入れ替えたかと思うと萩原さんが松本さんの腕を折りたたんでいとも簡単に上に乗っかっている。これができたら苦しい思いをしなくて済みますね。


「次、ヘッドロックからもうひとつの方法としてこういうのがあるの、見てて」

といってから松本さんと組み合いヘッドロックへ。そこから片手で頭を抱えた状態から自分の腰のあたりに相手の体を乗せて自分の体を回転させるように投げる。そのまま松本さんに覆いかぶさり頭を両手を絡めるようにしてつかむ。

工藤さんが「腰投げみたいかな」と言い、山田さんが「大腰からの袈裟固めでしょうか」なんて呟いてるけど何のことだかさっぱりです。もしかしたらお相撲や柔道にも似たような技があるんですかね。ということはレスリングにも似たような技があってもおかしくないかも。


「これはヘッドロックホイップという技です、あまり言わないけど。ちなみにこれを外す方法もやってみるわね、じゃあひな子」

と、同じように組み合い投げてから松本さんに覆いかぶさると、今度は松本さんが下から萩原さんに向かって動き出す。最初に萩原さんの顔をお腹の方に押すと自分の片方の足を萩原さんの頭に引っ掛けて自分の体から引き剥がす。そこからもう片方の足と合わせて萩原さんの首を絞めつけるように組む。足で首を絞められるなんて、腕でやられるのよりうえ〜ってなっちゃうね。


「こんな感じね。これはヘッドシザースって言います。では今までの動きを続けてやってみるね」

ロックアップからヘッドロックへ、ヘッドロックホイップから松本さんのヘッドシザースまで流れるように技がきま…?すると萩原さんはヘッドシザースがきまる前に松本さんのヒザのあたりを押すようにしながら自分の体をはねあげて起き上がる。松本さんも起き上がりお二方が向き合う。おお、何回も見てて思うんだけど、止まることなく技をかけているのに順番を間違えたり失敗しないのね。もう体が覚えてて考えなくても体が反応してるんだろうか。


「次はロックアップから相手の背後に回るっていう動きね」

そう言うと松本さんを相手にお手本を見せてくれます。松本さんはやられっぱなしだけど大丈夫かな?


「ロックアップの体勢になったら右手で相手の左手を掴んで内側から外側へ相手のわきの下を通るように体を入れ替えるとこうなるのね。これもハンマーロックっていう技になります。この時、相手とはできるだけ体を離さないようにするといいわよ」

あれ?スリーパーホールドを切り返した後の技と同じ名前だ。倒れた状態でも立った状態でも腕を後ろに回して動かないようにすればいいってことかな?それにしても左手を後ろに回されて身動きが取れなくなってる松本さんを見て、なぜか「密着!逮捕の瞬間警察24時」みたいな番組を思い出したよ。


「じゃあこれも切り返してみましょう。まずは空いた手で後ろにいる相手の顔めがけてエルボーを打ちます。この時、エルボーが当たらなくてもいいの」

萩原さんが後ろに向かってヒジをぶつけようとすると、松本さんは顔を背けて体が少し離れる。


「相手がエルボーを当てられないように体を離そうとするのが目的ね。まあ当ててもいいけど。で、体が離れたら前かがみになって相手の足をつかむように腕を伸ばすの」

股の間から腕を伸ばすと、松本さんは足を掴まれないように一歩後ろに下がる。そうするとさらに体が離れる。


「この瞬間に腕の隙間をくぐるように後ろに回り込んで相手の手首を掴み返すとこうなるの」

なるほど、ガムシャラに技を返そうとしなくてもちゃんと考えて動いたら切り返すことができるのか。


「ちなみにだけど、足を掴めなかったとしても隙間ができたら切り返してもいいわよ。技をかける方は返されないよいに隙間を作らないこと。あとこんなこともあるわよ」

と萩原さんがハンマーロックをかけられた状態になると、いきなりお尻を引いてから勢いよく突き出す。びっくりした顔をして松本さんはお腹をおさえながらトトトと2、3歩下がる。切り返すどころじゃなくなっちゃったのがちょっと笑える。


「じゃあ次はバックの取り合いね。最初にロックで組み合った時タイミングよく相手の左手を自分の右手で持ち上げ、それと同時に右足を相手の側面へ体を屈めながら踏み込む。そうしたら自分の体を相手にできるだけ密着させた状態で回り込み、相手のお腹あたりで右手と左手でロックするように組むとこうなるの。この時も体は密着させるように」

と、言いながら一連の動きを流れるように、いとも簡単に相手のバックを取る。


「この状態になったら好きなように攻められるわね。じゃあそうならないためにバックを取られた時はどうするか。まず両手の親指を自分の体と相手の手首の間に突っ込む。突っ込みながら、なるべく相手の体と密着しないように下半身を前の方に出して上半身を相手の顔あたりに預けるように体重をかける。そうするとあら不思議、クラッチが外れちゃったわね。その瞬間に相手の右足を軸に素早く回り込むとバックを取り返せるわけね。技をかけるときは体を密着させて、切り返す時はなるべく体を離すようにするのがコツかしら」

同じように説明しながら技の外し方を見せてくれる。萩原さんは簡単にやってるけども、実際にやってみたら難しいかもしれないね。

ベースボールマガジン社 プロレス入門を参考にしています いつもお世話になっています

次話は3月25日を予定しています

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