第20話
ドリーム・ファクトリー旗揚げ1周年記念!
なので、二日続けて投稿することにしました
しばらくベッドの上でぼーっとしてから工藤さんと一緒に食堂に向かうと、立野さんたちがすでに揃っていた。おはようございますと挨拶してからいつものように食事の準備をする。今日は夕方まで休みだし、何をして過ごそうかなんて話をする。
立野さん、山田さんはどこへも出かけずに部屋で体を休ませ、堀田さんんは芸能事務所の方へ顔を出すようだ。私と工藤さんは商店街へ行ってどこにどんなお店があるか見て回るのと、面白そうなお店をちょっと覗いてみようってことになった。
今日の天候は暑くもなく寒くもなく、ちょっとしたお出かけにはちょうどいい感じかな。お肉屋さん、八百屋さん、魚屋さん、乾物屋さんなどの食品関係と前田さんの食堂、ご飯屋さん、お惣菜屋さん、喫茶店・甘味処などはもれなくチェックしていく。あとは雑貨屋さん、洋品店、靴屋さんなどをチラ見してみると、対象年齢が私たちよりすこーし高いかな?っていうデザインと品揃え。大手のチェーン店もいくつかあるけど地元の個人商店も頑張っているようだ。あと念のために、薬局、スポーツ用品店もね。そういえばサッカーやプロ野球だと球場に近い商店街には外灯などにチームの旗が飾られたり応援メッセージが掲げられたりしてるのをテレビで見たことあるけど、ドリーム・ファクトリーはそこまでになってないのかしらね。
なんて事を考えながら街ブラをした後は前田さんのお店で昼食をいただく。今日のオススメは焼き魚定食だったのでそれを注文する事に。そういえば合宿所のご飯に焼き魚って出て来なかったのよね。もちろんご飯は大盛りにされてしまった。お休みの時は普通盛りでいいのに。
食事を終わらせてからまた工藤さんと商店街の様子を見ながらプラプラしていると、個人で経営しているような規模のスーパーから出て来た男性が私たちの前にやって来た。
「お、姉ちゃんたち、ショウ子さんとこの新入生だろ?なんだ、買い物か?」
そ、そうですけどなんで分かっちゃうの?かなりの勢いでやって来たので気後れしちゃったわよ。特にプロレスラーってのが分かるような格好でもないのに。
「そっちのでっかい姉ちゃん、このあいだ横田さんとうちに来てたろ?俺その時いたんだよ」
ああ、私じゃなくて工藤さんのと覚えてたのね。それにしてもあの時ってほんの少ししか商店街にいなかったと思うんだけどよく覚えてたんですね。あ、もしかしてこのスーパーの社長さん?
「今年も観に行くからちゃんとデビューしてくれよ?楽しみにしてるからさ。それとこれ、店の売れ残りで悪いけど持って行って」
ってスパゲティとソースの缶詰を、どう見ても人数分以上の量を持たされてしまった。貰っちゃっていいの?かといって返すわけにもいかない?どうしよう、本当にいいのかしらって工藤さんと目で会話する。
「大丈夫、大丈夫。こっちから事務所の方に連絡しておくから。気にしないで持っていけって。それ食ってちゃんと練習しろな、じゃあ頑張れよ!」
威勢のいいおっちゃんに無理やり持たされた感があるスパゲティを持って合宿所に向かうのでした。それにしてもこれ、何人分あるのよ、すごく重いんですけど!でもちゃんと商店街の人に認知されてるようで良かったよ。最後にちょっとしたサプライズがあったけど商店街の気になるお店がどこらへんにあるか覚えたし、当初の目的はある程度は達成したかな。
合宿所に戻り、いただいたスパゲティ類を厨房に片付けてから部屋の戻りちょっと休憩。夕方には少し早いけどリビングスペースで皆さんと簡単なお茶とお菓子を用意して世間話をしながら先輩たちの帰りを待っていると萩原さんがやって来た。
「は〜いみんな揃ってる?そろそろ帰ってくるわよ」
道場の外に出て先輩たちが乗ったバスを待つ。20分くらいするとやって来たので萩原さんを先頭に整列。バスが停まり先輩たちが降りてきたところに「お疲れ様です」とお出迎えをする。
先輩たちがバスから降り終えるとすぐに荷物を取り出して合宿所まで持っていく。その前の道場までは当然のようにコロコロさせない。それにしてもなんで荷物が増えてるのよ!確か試合に行くときは10コだった段ボールが13コになってるじゃないの!え?ファンの方からの差し入れやプレゼント?へえ〜そうなんですか。あれ?グッズはそんなに売れなかったのかな?なんと4箱分は完売したんですか!じゃあ7箱分がプレゼント…実は先輩たちって凄い人気者だったんですね。
荷物を運び終えると先輩たちは自分のスーツケースから練習着やタオル、コスチュームを取り出して洗濯コーナーへ運び、下着やその他私物を持ってそのまま各自解散。私たちはそれらを洗濯するようだ。まずはTシャツ、ジャージ、タオル類は色・柄で分けてそのまま洗濯機へ。そして萩原さんに教わりコスチュームを洗う。
まずパットなど外せる物はすべて外し、合成皮革やビニール素材使ってる物や、入場するときに羽織る羽根やスパンコールなどの装飾がついているガウンは基本的に洗わず、汚れたところを中性洗剤を溶かしたお湯をタオルに付けて軽く拭いたあと、ひっくり返して臭い消しスプレーをして風通しのいいところで陰干しをする。
綿やポリエステルなどの一般の洋服と変わらない素材を使っているけどリボンとかフリルとかの装飾が付いている物は、大きめの桶にぬるま湯とオシャレ着用洗剤を入れてその中で押し洗いをする。何回か洗ったあと泡がなくなるまですすぎ、軽く水分を取ってからバスタオルに挟んでクルクルと巻き余計な水分を抜き、形を整えて陰干しをする。ワンピースタイプのコスチュームはなるべくハンガーを2、3コ使って吊るすことで型崩れを防ぐ。そのあと臭い消しスプレーをしておく。
うへえー、手洗いって結構体力を使うのね。あと色落ちや型崩れに気をつけなきゃいけないからそっちでも疲れちゃうよ。こういうのってクリーニング屋さんじゃダメなのかな。
「商店街にあるクリーニング屋さんだと特殊衣装になって料金が高いか取り扱ってくれないのよ」だそうです。まあこういうのって普通のお店に売ってないから、どこかに注文を出して特別に作ってもらうんだろうからね。先輩たちのこだわりもあるだろうし自分たちで丁寧に手洗いした方が安心なのかも。
「はいみんなご苦労様ー、選手たちの大切なコスチュームだからこれからも大切に扱ってね」
洗濯を終わらせると萩原さんがやってくる。なんかね、練習と同じくらい疲れたような気がするよ。
「よし、しっかり洗えてるわね。それじゃあみんな、明日は一日お休みにするのでゆっくり休んでね。お疲れ様ー」
次の日はまるまるお休みになりました。今日みたいなこともないようだからちょっとだけ夜更かししちゃおうかな?
その後は私たちの食事を準備する。そのとき今日いただいたスパゲティのことを皆さんに報告をする。自分たちだけで食べるわけにもいかないからね。その後片付けをしてお風呂に入る。あ、先輩たちのコスチュームと一緒に自分たちの洗濯物も洗っちゃえば良かったんじゃ?なんて今頃になって思いつく。それができればちょっとだけ雑用が減ったのに、残念。
工藤さんと部屋に戻ってから、あのお店は今度ゆっくり見たいですねとか、あのスパゲティはいつ食べたらいいんですかねとか、もしデビューしたらどんなコスチュームにします?とか、今日の出来事をお話しながらいつもの習慣になったストレッチをして眠りにつくのでした。
次の日のお休みはいつもより少し遅い時間に起きて、一人で食事をして道場の中やその周りをお散歩がてら見て回ったり、道場から駅までの道のりをぶらぶら散策したり、リビングスペースでテレビを見ながらゆっくりして過ごしました。
コスプレ知恵袋を参考にしています
次話は8月6日を予定しています




