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第12話

「はい終了〜、みんなよく頑張ったわね。ちょっと休憩にしましょう」

プルプルと軽く痙攣してるような腹筋をストレッチをしたりお腹をさすりながら息を整える。家で腹筋をやってたよりハードだったよ。こう、足を押さえるか押さえないかだけでこんなに違うのね。


「じゃあ休憩終わり〜。次は背中のストレッチをしますよ」

え、もう終わりですか?

仰向けになり両手を広げた状態になり、そこから両足を伸ばした状態で頭の上に持っていきつま先を床につけ、そのままキープする。


「ヒザはなるべく曲げないようにね〜」

なんか息がしにくいよ。

「その状態から両足を頭の右側に持っていってそのままキープね〜」

おっとっと、バランスが崩れて倒れそうになっちゃったけど何とか耐えて。この体制は肩が痛くなるね。

「次は左ね〜」

と何度か繰り返す。


ストレッチを終えて、今度はうつ伏せになり両手を腰のあたりで組む。背筋だね。

「シットアップの時と同じように、反動をつけないようにね〜。そのままゆっくり上体を反らしていくんだけど、私のカウントにあわせて3の時に一番上に来るように反らしてゆっくり下ろしていきますよ〜。はいっ!」


だいたい2秒くらいで上げて戻す。家でやってたのって足を押さえてたし反動をつけてたようで、実は半分くらいしか効果がないんじゃないか?なんて思ってしまうくらいこの背筋の方がキツい。しかもそのスピードが自分でやってた時より遅いのよ。自分のペースでできないから余計にキツく感じるのかもしれない。


その次は両手を広げて耳のあたりに持ってきて、両足と上半身をリズミカルに反らせる。

「顔は下を向かずに前を見てね」


豊田さんの手拍子にあわせて背筋をしているんだけど、足と上半身をあげるタイミングがずれると体が揺れちゃうのよね。あたた、アゴを床にぶつけちゃった。それにしてもこれって何回やるんだろう。豊田さん次第か。


「はい終了〜、次2セット目いくからね」

だいたい70回くらいやって一旦終了し、すぐに2セット目へ。同じ背筋でも早く動かすのとゆっくり動かすのとで鍛えられ方が違ってくるのかしら。

その後アゴを何回かぶつけながら、しかもリズミカルな背筋のときはだんだん回数が増えていってるなかで2セット目、3セット目をやり終える。そのままうつ伏せ状態でちょっと休憩した後、床に座りなおして筋肉をほぐすように背中を伸ばしたりひねったりする。


それにしても豊田さんは萩原さんや横田さんと違って、私たちの周りを見て回っていたな。そしてちょっと遅れる人を見つけると「どうした、遅れてるよ。あなたの限界はそんなものなの?」なんて手を叩きながら励ましてくるし、私や堀田さん、特に工藤さんのところに来ては「さあさあ、そんな体じゃプロレスラーは務まらないよ、チェンジ・ザ・ボディ!チェンジ・ザ・ボディ!」なんて言ってくるし。このあいだの黙々と練習に励んでいた態度と180度違っていて、本当はこんな熱い人なんだーって少し戸惑っちゃう。


「はい次〜!バンバンいくわよ!」

なんか豊田さんにスイッチが入っちゃったみたいですごく張り切ってるよ。


「おっと、バンバンいく前にストレッチから始めましょう。床に足をまっすぐ伸ばして座って」

その体勢から上体を前に倒して両手でつま先を掴み、そのままゆっくり手前に引っ張る。この時ヒザはちょっと曲げてもいいのね。おっ?これはふくらはぎが伸びてるね。このまま20秒ほどキープする。


「OK〜、次はこういう風に正座をしてからお尻を床につけるように座ってから片方の足のヒザから下は外側に、体に平行になるようにしてね。もう片方の足はそのまま伸ばして」

なんか陸上のハードルを飛び越えてるような体制になっちゃった。

「そこから後ろに体を倒すわよ」

ゆっくり倒していくとモモの前側が伸びてるね。


「じゃあ反対の足も」

足を入れ替えて同じようにする。これはイタ気持ちいいかも。


「次ね。座ってるところに両足の裏をあわせてなるべく体に近づけて。そこから背中を曲げないようにゆっくり上体を前に倒して」

あら、これって昨日の夜に前田さんと一緒にやったやつじゃない。つま先を持って体を倒すと股関節のあたりに効いてくるのよね。これも20秒くらいキープ。


「さあみんな立って。ヒンズースクワットをするわよ。みんな円を作るように広がって」

何だか楽しいことを始めるかのように豊田さんは言うけど、スクワットって楽しいものじゃないと思うんだけどなー。

「まず肩幅より少し広めに足を広げて、手はこぶしを軽く握って胸の前に。そこから両手を後ろに降り戻ってきたらヒザをこう曲げるんだけどヒザは90度より深く曲げないようにしてかかとを少し上げてね。背筋は伸ばしてーーー、ま、まあ、とにかく見てその通りにして」


豊田さんも私たちも途中で何言ってるか分らなくなっちゃったけど、ほとんどの人ができてるようなので、私も周りの皆さんを真似てスクワットを始める。ヒザってそこまで曲げなくてもよかったのね。


「よし、みんなできてるようね。じゃああなたから号令をかけてね。10回ずつやったら時計回りで交代ね。それを2周しましょう」

ってことは、え〜と今9人だから180回か。まあできなくはないかもね。


「ん〜、なんだか中途半端だから私も入っちゃおうかな。キリのいいところでちょうど200回か、良いわね。では用意、始め!」

ちょっと豊田さん!良いわね、じゃないですよ〜。号令も自分から始めちゃうし、一体どうなっちゃうのよ〜。


豊田さんは最初の10回を一緒にスクワットをした後、私たちの前を見て回りながら、ひとりひとりのフォームのチェックをしている。一周目はあまり何も言われなかったんだけど、二周目に入ったくらいからはフォームが崩れてきた人の前に立ち、

「背中は丸めない!伸ばしたままよ」とか「ヒザを伸ばすときかかとをしっかり上げないとダメよ」とか「もっとリズミカルに!」と言って注意した人の前で一緒にスクワットをしてくれる。してくれるんだけど、目の毒というか眼福というか、そのたびに立派なお胸がプルンプルン揺れるのよね。この大きさだと肩も凝りそうだし、スポーツ選手としては大変そうだな。でもちょっと羨ましいかも。


「はい終了〜、休んでも良いけど座っちゃダメよ」

スクワットってお尻とかモモとかの筋肉を鍛える運動だと思ったけど、ふくらはぎとかも鍛えられるのね。下半身全体の筋肉を使ったって感じよ。


「さあ準備して!もう1セットいくわよ」

先ほどと同じようにスクワットを始める。一周目の終わりくらいからフォームが崩れたりテンポから遅れてくる人たちが目立ち始めてきた。


「苦しいのはみんな一緒よ、さあ頑張って!」や「テンポテンポ!」と声をかけてくれるけどだんだんきつくなってきたよ。周りを見ると確かに皆さんキツそうだけど、一番苦しそうなのは工藤さんみたい。そういえば体重が重い人が運動をするとヒザに負担がかかるって山の中を歩く旅番組やダイエット番組でやってっけ。工藤さんはこの中で一番体重があるから大丈夫なぁ。


「はいあと50回、ここからが勝負よ!」

何と勝負をしなきゃいけないのか分からないけど、とにかく最後まで頑張らなくちゃ。最後の方はちょっと遅れちゃったけど何とかこのセットを終わらることができた。


「はい終了〜。今日の練習はこれでおしまい」

ありがとうございました!と挨拶をしてからヒザに手を当ててふ〜っと何度か深呼吸。クールダウンに行くまでに息を整えておかないと。


「あ、そうそう言い忘れてたわ。今日までの3日間の分を1日でできるようになったら次のステップに入るから、しっかり練習しておいてね。じゃあお疲れ〜」


豊田さんはとんでもないことを言って帰りました。

ジャンボ鶴田のナチュラルパワー強化バイブル(ナツメ社)を参考にしています

次話は5月25日を予定しています

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