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第9話

接続障害があり投稿が遅れてしまいました

(ネズミにケーブルをかじられてました)

心臓のバクバクが落ち着いてきた頃、工藤さんが倒れてる私に「どお晴ちゃん、行けそう?」と覗き込むように聞いてきたので「はい、大丈夫です」と答える。本当はもうちょっと休みたかったけど、今日の運動量から考えると今のうちに対処しておいたほうがいいもんね。何とかかんとか起き上がって工藤さんと「クールダウンに行ってきます」と外に向かう。腕から胸からダルいなあ。


外に出ると立野さんと山田さんが準備をしてい…、あれ、堀田さんもいるじゃないですか。どうしたんだろ?

「じゃあ行きましょうか」立野さんは堀田さんのことに触れず出発する。まあいいか、堀田さんも一緒にクールダウンするってことよね。


商店街へ向かってジョギングをし、そのまま5分くらいしたら折り返した辺りで

「ところであなた、演劇部だったのによく今日の練習についてこれたわね」

おっと?お昼の練習のときまでより言い方が柔らかくなったような聴き方をしてきた堀田さん、その言い方じゃ「鍛えてるからだー」って言いにくいじゃないですか。


「私、演劇部じゃなくて園芸部でしたから。それはまあ、入団テストの時はちょっとばかり目立っちゃったというか、私のせいだけじゃないと思いますけどやりすぎちゃったかなーっていうのがありましたけど演劇部ではなかったですよ」

大事なことなので2回言ってみました。これ、いつか使ってみたかったフレーズなんですよね。やっと使えました。

「ちょっとばかりねえ」誰ですか、そんなこと言うのは。

なんか疑われてるように見られてるけど本当に目立とうなんて思ってなかったですから。2回目からはジャスミンさんと上田さんのリクエストに答えただけですから。私の意思とは関係なかったですからね。


「それはともかくとして、本当に園芸部でしたの?実は大会に出てなっただけでそれなりの実力者だったとかどこかの道場に通っていたとかじゃありません?」

何ですかその、世を忍ぶ仮の姿みたいなのは。そんな獲物を狙うハンターのような目で見ないでくださいよ、格闘技経験のない私でも分かる様な殺気みたいなものは抑えてくださいよ山田さん。


「ち、違いますそんなのじゃないです。私は皆さんと違ってスポーツとか格闘技とかの経験がないですから、少しでも皆さんの練習に遅れない様にって入団テストが終わってからずっと家でトレーニングをやってただけですから」

「ふーん、ちなみにどんなことやってたのよ」

堀田さんがちょっと気になってきたようで聞いてきた。


「えーと入団テストでやってた、腹筋・背筋・腕立て伏せ・スクワットをそれぞれ50回ずつを2〜3セットとランニング30分くらいっていうのを週に2回くらいですかね?」

「くらいですかねって晴ちゃん、今日の練習量よりも多いじゃないの!それも2ヶ月間も?頑張ってたのね。なんか私、置いていかれた気がするわ〜もう」

もうって言われてもですね、今までが皆さんと比べると何もやってこなかったですから。


「あなた、入団テストの時もそうだけど、普通の人と違うことするからこっちが驚くわよ」

「そういうつもりじゃなかったんですけど…テヘッ」

「テヘッって済むようなことじゃないんだけどーまあいいか。じゃあ向こうにいる人らとは本気度が違うってことでいいわよね?」

「向こうの人らと違うってどういうことですか?」

ん?立野さんの言い方に何か含みがあるみたいですね。


「ハク付けのための入団だけが目的だったり、プロレスの派手なところだけしか見てなかったり、プロレスに対する準備ができてなかったりとか色々あるけどそういうことよ。まあ近いうちに分かると思うわよ。とにかく、佐藤さんはせっかく準備して体を作ってきたんだからデビューしないともったいないわよ?」

「もちろんです!ちゃんとデビューして、お客さんに元気と勇気を与えられるような、そして匿名でちびっ子たちにランドセルをプレゼントできるようなプロレスラーになるんです!」

「そこはチャンピオンじゃなくていいの?」

「チャンピオンにはなりたいなとは思うんですけど、皆さんみたいに格闘技の経験がないですからとっても厳しいと思うんです。普段からスポーツもしてこなかったですし、格闘技の動きをしたことがないですから今から不安で…えっと、スパークリングっていうんでしたっけ?」

「スパーリングね、弾けてどうするのよ。まあ厳密には違うんだけどね。あんなのはやっていけば自然と体が覚えていくものよ。だから技術的なことは今は考えなくてもいいんじゃない?」

それって立野さんだから言えることだと思うんですよ。


「自然と覚えていくものなんですか?」

「痛いのが嫌ならね。あとはここの教え方次第かしら。でもまあ、明日のお昼ご飯の心配をする前に今日の夕ご飯の準備をしないとね」


「え〜と佐藤さん?私が見た感じですけど、あなたは理詰めで考えて覚えるよりも感覚で覚えるタイプなようですから、何度も繰り返して練習していくことで覚えていくんじゃないかしら。あ、そうだ!せっかくこうやって同期で入団したんですし、私でよかったら教えてあげられることがあるかもしれませんよ」

「それはありがたいんですけど、いいんですか?山田さんにだって練習があるじゃないですか?」

「こういうのも変ですけど、誰かに教えることで私も理解が深まって勉強になるんですよ。それに強い相手が増えることは私にとっても嬉しいことですから。ただ私の教えてあげられることが道場で教わることと違ったりプロレスに生かせなかったらごめんなさいね」

「いえいえ、そんなことないです、ありがとうございます。私も教えてもらって頑張りたいです」

さらっとなんか怖いこと言ったような気がするけど私がその期待に答えられるかどうか。そうか、私って感覚で覚えるタイプだったのか。


「話は終わったかしら?そろそろ帰らないと夕食の準備に間に合わなくなるわよ、急ぎましょう」

なんてことを話してたらいつもより遅くなってしまったようで、道場についた後のマッサージとストレッチをする時間が少なくなったけど夕食の準備にはなんとか間に合いました。

道場では昨日と同じような光景が広がっていた。半分くらいの人たちはすでにストレッチを始めていて残りの人たちはまだ動けないようだ。このあと食事の準備と道場の掃除とかがあるんだけど大丈夫かな。


「おー、今日も絞られたわね。さあさあ、いつまでもぐで〜っとしててもしょうがないから夕食の準備を始めちゃいしょー。ほらほら、動いて動いて」

なかば強制的に前田さんに連れられて道場から合宿所の厨房に入ると、お鍋などの道具や食材はすでに準備されていた。すぐに手を洗いプロテインを飲んだら調理に取り掛かることにしましょう。


ちなみに今日のメニューは

・豚肉とキムチのちゃんこ鍋

・牛肉と小松菜の香味野菜炒め

・鳥ささみの梅肉ドレッシングサラダ

です。午後の練習は気持ち悪くなるくらい厳しい練習だったから、今日のメニューはさっぱりしててちゃんと食べられそうです。

次話は4月25日を予定しています

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