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第5話

「時間で〜す」

そんなこんなで夕方までみっちりとトレーニングを繰り返した。予想では倒れるまで腕立て伏せとか腹筋とかさせられ、歩けなくなるまでひたすら走らされるとか?まあそこまでは行かなくてもそれなりに厳しいことをするのかと覚悟していたけれど、なんだかスカされたような思ったより厳しくなかった印象。ただ首と肩を鍛えるトレーニングと言ってたはずなのに体全体を使ってたような感じがします。


先輩たちがリングの周りに集まりだしたので私たちもその後ろに集まる。あれ、1人だけまだトレーニングを続けてるけどいいのかな?

「本日はこれで終了です、お疲れ様でした」「おい〜っす」

なんとも体育会系だなあという挨拶をすると、先輩たちはそれぞれ更衣室に向かったりその場でストレッチやマッサージを始めたりしている


「練習生もお疲れ様〜。それじゃあ後片付けと道場の掃除をしっかりね〜」

「ありがとうございました」

そう言ってからマットを片付け掃除を始める。しばらく作業をした後、ふと見るとさっきの先輩はまだ1人で黙々とトレーニングを続けていた。オレンジに近い茶髪のショートカット。Tシャツの袖をどこぞのサッカー選手のようにたくし上げた袖口からは女性のものとは思えないほどのたくましい腕で鉄アレイを持ち上げている。ついでにお胸もたくましいのはトレーニングの賜物でしょうか。一応声をかけた方がいいのかな。


「すみません失礼します。こちらの鉄アレイとか道具を片付けたいのですがいかがでございますでしょうか」

ぎゃ、緊張して変な日本語になっちゃった。

「……ああ、これね。ここのは私が後でやっておくからいいわよ。それとこっちの片手で持つのがダンベル、そっちの長くて両手で使うのがバーベルね。器具の名前はこれから覚えていってね」と言ってまたトレーニングを続ける。


「はい、ありがとうございました、失礼します」

とそそくさとみんなの方へ戻り片付けを手伝う。そして「あっちの先輩の方は自分で片付けるそうです。ちなみに片手で持つのがダンベルで両手で持つのがバーベルみたいですよ、知ってました?」

あっれ〜、知らなかったの私だけだったみたいですね。ハァ〜とため息をつかれ呆れられたり、肩を叩かれ「ドンマイ」みたいな目で見られたような気がします。こういうジェネレーションギャップみたいな競技間ギャップ?のようなものがこれからも出てくるんでしょうか、出てくるんでしょうね。


「は〜い、今日はみんな頑張ったわね。この後食事の準備があるけど、それまで30分くらいあるから各自自由にしてていいわよ〜」

それを聞いて空気が緩んだ感じがした。私はふ〜っとなんて声が出ちゃったしその場で座り込む人もいた。これはトレーニングの疲れだけじゃなく、トレーニング初日で朝から知らずに緊張してのがあったかもしれない。


「あ、すみません。クールダウンするのに外に行きたいんですけど構いませんか」

「時間までに帰ってくるならいいわよ、気をつけていってらっしゃい」

「ありがとうございます。では行ってきます」

立野さんと数名が外へ向かうのを気を抜いて見てると

「晴ちゃん、私たちも行くわよ」

工藤さんが声をかけてくれた。思ってたほど厳しくなかったトレーニングでも、終わってみると結構疲れてたらしく体がだるい。

「私はー」ちょっと休みたいですと言いたかったけど、工藤さんの次の言葉で考え直すことにした。

「今、体を動かしておかないと明日は筋肉痛がひどいわよ」

どうやら激しい運動をした後に体を軽く動かしておいた方が血液の流れで疲労物質を外に出しやすくなり、後にくる疲れとか筋肉痛をやわらげる効果があるらしい。そういう事ならと私も外へ行く準備をする。


「あの、他の人たちには声をかけなかったんですか?」

歩きながら気になったので聞いてみた。

「ちょっと休みたいって。無理には誘えないからそのままにしたのよ。一応筋肉痛の話はしたんだけどねえ」

そういう事なら仕方ないですね。


外へ出て商店街へ向かってジョギングをし、そのまま5分くらいしたら折り返して今度は歩き始める。え、こんなのでいいの?

「あのすみません、クールダウンてこんな感じでいいんですか?」ちょうど前にいた立野さんに聞いてみる。

「うん、こんな感じ。あとは道場に戻ってからストレッチしてマッサージするくらいかな」

「あの、こんなのでって言うのも変かもしれませんけどこれで筋肉痛って軽くなるんですか?」

「ん〜どうだろう、私が現役の時はウォーミングアップして練習してクールダウンっていう流れが当たり前だったからそこまで気にした事ないかな。あなたはどお?」

私より強い奴に会いに行く系思考の元柔道強化選手の山田さんに声をかける。

「そうですねえ、筋肉にたまった疲労物質を排出する効果はあるのではないかしら。筋肉をゆるめて柔軟性を回復させると同時に運動で傷ついた筋肉を修復させる事ができるらしいですからケガの予防になると聞きましたね。激しい運動をするほど血液が体内を循環するようですから、急に運動を中止すると筋肉中にある血液は内臓へと戻りづらくなり体調不良につながる恐れがあるそうですね。ですからクールダウンをすることで全身に血流を促し体への負担を軽くすることができると思いますよ」

うん、とりあえずやっておいた方がいいみたいです。


道場に戻ってから首回りと肩周りを入念にストレッチ、立野さんを真似てマッサージをしてからプロテインを飲み夕食の準備を始める。クールダウンのジョギングに行かなかった人たちはまだグダ〜っとしてたりストレッチをしていたり。さて、今日のお鍋はなんだろな。

グリコpower productionを参考にしています

次話は3月15日を予定しています

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