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タイトルマッチと新人のデビュー戦と 第1話

クリスマス大会が終わり世間のクリスマスが過ぎると、道場や商店街の装飾品の片付けを手伝いながらお正月の準備を同時進行で行なっていきます。こういう慌ただしい日があると、あー年末だなぁと感じますね。私たちはこの作業を終えると本格的な休みに入ります。


新人さんたちは合宿所過ごす初めての年末年始を迎えることとなりますが、ホームシックにならないかちょっと心配です。私の場合は合宿所や道場の雑用だったり同期の皆さんのペースに遅れないようにこっそり練習したり、同室の工藤さんをはじめ同期の皆さんがいてくれたのでホームシックにかかることはありませんでした。まあ、長谷川さんは学生時代に陸上競技をやっていたので、地方の大会に行ったり大きな大会前に合宿したりとかしてそうですから、そんなことにはならないんじゃないかなーという勝手な想像をしていますが、西田さんはそもそもの家庭環境が違っていそうなのでホームシックというかカルチャーショック?の方が大きいかもしれませんね。ここには大好きなお馬さんもいませんし身の回りの世話をしてくれるメイドさんも、誰もが頭を抱えるような無理難題をいとも簡単に「嗜みですから」の一言で解決してくれる執事さんもいませんからね。ちゃんとい聞いたことないのでわかりませんが、私の中ではいまだにお嬢様としてのイメージが抜けないのです。きちんと掃除も雑用もできているのでそこまでのお嬢様ではないと思うのですが、趣味が乗馬←これにひっかっています。


そして百合奈ちゃんは自宅から通っていますので部屋はないのですが、週に一日くらいの割合で合宿所で一緒に生活をするようになりました。道場に通いはじめた当初は学校の部活動感覚で続けていくのかな?と思っていたのですが、ハロウィンパレードあたりから段々と道場で過ごす時間が増えてきたようで、初めて道場に住み込む!と言い出した時はご両親と上田さんとで結構な時間をかけて話し合いがあったみたいで、なんとか今のように落ち着いたようです。これを知った先輩たちは百合奈ちゃんの本気度を感じてか、練習を見たり、たまにアドバイスをしたり色々と面倒を見てくれるようになりました。いわゆるお客さん扱いからちゃんとした後輩とか仲間と認識を改めてくれたようですね。


そんなことがありながらも年末はいつものようにゆっくり過ごし、大晦日は年越しプロレスを合宿所の皆さんで観戦してから神社へ初詣です。長谷川さんと西田さんは初めて年越しプロレスを見たということですが二人ともびっくりしていましたね、なんでプロレスの試合を年越しでするのって。

まあ世間でも一部分は雰囲気を残していますが、年末年始の特別感はあんまりないと思います。スーパーもコンビニも年中無休で営業していますし年賀状はメールやSNSでやり取りを済ませています。おせちも年越しそばも以前より売れなくなったから、商品を大きく入れ替える作業がなくなって助かるわーとスーパーで働いているお母さんが言ってました。


しばらくして百合奈ちゃんと立野さんが合流して一緒に年越しプロレスを観戦することになるのですが、「へー、こんなに団体があったんすね」とか「あら、男の人と女の人が試合してますよ?」とか「えー、椅子とか脚立とか使ってますけど痛くないんですかー?」という新鮮な反応にほっこりしています。私も最初の頃はこんな風に思ってたよなーとか、そんなことを思い出してしまいました。



新しい年を迎えた最初のミーティングで、タッグのタイトルマッチが組まれることが正式に発表されました。日程は1月の最終日曜日に行われ、その前の週の土曜日と日曜日に前哨戦が組まれることになりました。

タイトルマッチ関連の対戦カードは次の通りです。

土曜日 前哨戦1 立野・松本組 対 宇野・佐藤組 前哨戦2 萩原・工藤組 対 堀田・豊田組

日曜日 前哨戦3 立野・横田組 対 堀田・大森組  前哨戦4 萩原・中野組 対 宇野・山田組

GPWO認定タッグタイトルマッチ 選手権者、ホワイトハンカチーフ 萩原・立野組 対 挑戦者、ラ・トルニージョ 宇野・堀田組


チャンピオンの萩原さんと立野さんは落ち着いた様子ながらピリッと引き締まった表情になり、宇野さんと堀田さんは小さくガッツポーズをしてからミーティング中にかかわらずお二人で何やら話をしています。すでに試合に向けて作戦会議でもしているのでしょうか。何気に工藤さんと山田さんと私も前哨戦のカードに組まれています。同期として足を引っ張らないように、どう味方をフォローしていくか考えながら試合をしていかないといけませんね。

おっと?山田さんが不敵な笑みを浮かべていますね。そういえば山田さんの対戦相手には上田さんとタイトルマッチをしたこともある中野さんがいますね、クリスマス大会後のあの話が頭をよぎります。これは何か狙っているのでしょうか。その時のタッグパートナーは宇野さんか…宇野さんも目立ちたいタイプだから注目されるために直接萩原さんから勝利を収めたい気持ちがありそうですからそれを邪魔するわけにもいかないですよね、考えすぎですね。


そして新年最初の大会、試合前にお客さんにタイトルマッチ開催の発表をすると、会場中が割れんばかりの拍手と声援で一気に盛り上がりました。お正月気分のゆるい空気を一気に吹き飛んでしまったような勢いです。やっぱりタイトルマッチって特別な、お客さんを引きつけ興奮させるようなものがあるんですね。



土曜日、前哨戦1 立野・松本組 対 宇野・佐藤組

なぜか松本さんが仕切りはじめ、私と松本さんで試合がスタート。前の競技では先輩、プロレスでは後輩にあたる立野さんと組んだのでいいところを見せたいのか、注目される試合だから気合いが入りまくっていたからか、多分両方でしょうか。その気合いが悪い方に出てしまっています。宇野さんの相手をからかうようなパフォーマンスに逆上して暴走し、それを受けたり躱したりするのが大変でした。立野さんと宇野さんの直接対決も少なくて、ただただ松本さんの空回りだけが目立っていたように思います。もしかしたら松本さんは密かにこの試合で結果を残しタイトルマッチに挑戦しようと思っていたのかもしれませんがちょっと周りの空気を感じて欲しかったです。

松本スモールパッケージホールド宇野○


前哨戦2 萩原・工藤組 対 堀田・豊田組

前哨戦1と打って変わってパワー対パワー、テクニック対テクニック、パワー対テクニックの試合がこれでもかとういうくらいの勢いで繰り広げられていきます。タッグマッチですけど連携らしい連携は少なかったのですが選手それぞれのいいところが発揮されていたと思います。中でも萩原さんと堀田さんの対戦はこれぞ前哨戦というんですかね、敵意むき出しで自分の得意な技を出しつつも相手の得意な戦い方に合わせたりと、ただ力と技のぶつかり合いだけじゃなく心理的に揺さぶりをかけているような、そんな感じを受けました。

●工藤(豊田のラリアット→ムーンサルトプレス)堀田○



日曜日、前哨戦3 立野・横田組 対 堀田・大森組

この試合も各選手が持ち味を発揮していきます。立野さんがレスリングテクニックで相手を翻弄すれば、大森さんは鋭いキックの乱れ打ちで試合の流れを引き寄せます。一番驚いたのが横田さんと宇野さんです。お互いに意地を張り合うように、かけられた技を上回るようにやり返していくと、堀田さんが立野さんを相手に横田さんの技を出して挑発しているようです。このお二人でなんか盛り上がっていませんか?前哨戦てタイトルマッチをする選手同士がどんな風に戦うのかを様子見するのだと思っていましたが、堀田さんは立野さんのことをあんまり気にしないんですね。横田さんも立野さんをフォローとかせず二人だけの世界に浸っているようです。もしかしてこれが堀田さんの作戦?

そこから横田さんと立野さんが連携し始め、流れを一気に引き寄せることに成功、堀田さんの勢いを止めると大森さんに集中攻撃をしていき、最後は横田さんのジャーマンスープレックス、立野さんの予選スラムで大森さんから勝利を収めました。

○立野(体固め)大森●


前哨戦4 萩原・中野組 対 宇野・山田組

この試合は萩原さんと山田さんでスタート。グラウンドテクニックを存分に披露し、時より宇野さんに視線を送る萩原さん。劣勢ながら最後のところは極められないように動き回り逆に萩原さんを追い込むような動きを見せています。それに負けじと中野さんと宇野さんもスピード感のある試合でお客さんを魅了していきます。それに触発されたからでしょうか、萩原さんと宇野さんが直接対決でヒートアップ、ノーガードで戦っていきます。それはお互いにタッチしても続き場外でも試合そっちのけで乱闘に発展し、セコンドがお客さんに被害が出ないように必死で守っています。

その間にリング上では山田さんが中野さんの右腕に渡辺さんのような集中攻撃を繰り返しています。打撃や絞め技で痛めつけ、最後は脇固めを逃れた後の腕ひしぎ十字固めで勝利を収めました。勝敗が決まっても乱闘を繰り返している萩原さんと宇野さんを気にすることなく、山田さんは淡々とした表情でリングを降りていきました。

中野レフェリーストップ山田○

次話は6月13日を予定しています

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