第11話
タッグのタイトルマッチはチャンピオンが初防衛に成功し、ラ・トルニージョが挑戦を表明して幕を閉じた大会が無事に終わりました。
休日を挟んだ次の日からクリスマスの準備をしていきます。七夕祭りのような道路の上まで覆うような飾り付けはしませんが、商店街の所々にツリーとかサンタなどのオブジェを設置したり各お店で工夫を凝らした飾りを手伝ったりしていきます。力仕事や高いところはお任せください！
この辺りにはありませんが、ご自分の家を丸ごと電飾をつたりしてちょっとした観光スポットになったりしているところがあるんですってね。外から見たり飾り付けの最中は楽しそうですが後片付けのことを考えるとちょっとどうかなーなんて思ったりします。
なんてことを考えながらも私は道場のロビーや入口に身長と同じくらいの高さのツリーを置いたりアルミのような素材の風船を膨らませたり外の壁に梯子を登るサンタのイルミネーションをつけたりしていきます。
そして、恒例のクリスマス大会終了後に流す映像の準備も着々と進んでいるようです。今回は新人の3人も参加します。堀田さんが芸能事務所のヘアメイクさんやら衣装さんやらを連れてきたとか言っていたので、本格的な選手紹介VTRを今更ながら作るそうです、しかもアイドル風に。デビューしたてのアイドルさんの「こんにちは、初めまして。何県出身の◯◯です」みたいなことをさせられたんですよー。自分の趣味とか特技とか休日は何をしているとか、も〜、恥ずかしかったですよ。
私は恥ずかしかったのですが、結構ノリノリだったのが横田さん、クリスさん、松本さん、堀田さん、百合奈ちゃん、以外にも中野さん。イヤイヤだったのが萩原さん、豊田さん、山田さん。長谷川さんと西田さんは言われるがままに撮影されていました。上田さんと渡辺さんは適当に撮っていい感じに編集しておいてーというスタンスだったそうです。最終的にどのようなものが出来上がるか当日までのお楽しみに。
そんな中、私も個人的にクリスマス大会に向けて準備をしていきます。商店街のマスコットキャラクター「ゆうのすけくん」が緑色なので、これにクリスマスっぽい飾りをつけて登場したら皆さんに喜んでもらえるかなーと思って顔を出せるような着ぐるみを手作りしています。裁縫の腕は自分で言うのも何ですがなかなかの腕前になっていると思います。自分や先輩たちのガウンやコスチュームの取れたパーツを付け直したりほつれや切れた部分を直したり、技をかける練習相手のヨシコさんを6号まで作ったりしているうちにできるようになったのです。
クリスマスといえばサンタやトナカイのコスチュームが種類も豊富に取り揃えられていて、他の選手が使ってきそうなので、それとは違う格好をしようと思ってしまったのです。普段ならこんなことしないんですけどね、きっとクリスマスの陽気に当てられたせいです。何だよ〜、またコスプレするのかよ〜、なんて声が声が聞こえてきそうですけど、そういことは言わないの、てか言わせな〜い。
今年のクリスマスは平日のため、直近の日曜日のお昼から開催します。夜はケーキやご馳走を囲んで家族サービスもあるでしょうからね。ドリームファクトリーもそれに倣って（？）大人一人に対して小学生未満のお子様一人を無料でご招待と高校生までの学生証があれば大人の半額で見られるサービスをやってみることにしたそうです。これで家族サービスにプロレスでもって思ってもらえるといいんですけどね。ついでに将来のプロレスファンやプロレスラーを目指す人もいるかもしれません、という期待も込められています。
クリスマス大会ということで大幅にエンターテイメントに寄せた試合になるかと思いますので、裏事情とか今後どうなるかとかアレはアレの前フリだったとか、考察とか難しいことは考えないで目の前のものを楽しんでほしいと思います。
そして試合の対戦カードをお客さんのくじによって決まるのもやりますよ。メインの上田さんとセミファイナルのホワイトハンカチーフは固定されていて、それ以外が空白のまま発表されています。サプライズや大物エックスの登場もあるとか？ないとか？試合はタッグマッチ3試合、シングルマッチ1試合、第一試合にバトルロイヤルがあって全部で5試合になります。お客さんに喜んでもらえるでしょうか……
実況（以下実）みなさんこんにちは、GPWOプレゼンツ、ドリームファクトリークリスマス大会の模様をお送りいたします。解説（以下解）は月刊プロレス副編集長の佐倉さんです。よろしくお願いします。
解）よろしくお願いします。
実）さて佐倉さん、毎年楽しみになっていますドリームファクトリーのクリスマス大会がいよいよ始まりますね。
解）いよいよですね。8月の七夕祭りの時もそうですが、いつものピリッとした雰囲気の大会とは真逆の、ゆるいということはないんですけどエンターテイメント色を前面に出したこういう大会はいいと思いますね。そしてくじによって対戦カードが決まるということで、どんな組み合わせになるか直前まで誰にもわからないのはこちらとしてはワクワクしますが選手たちは大変でしょうね。
実）そうですね、ある意味違う緊張感か漂ってきそうです。リング上では中野選手、大森選手、宇野選手、クリス選手によって観客席にサインボールが投げ込まれています。この中のアルファベットが書かれたボールを掴んだお客さんが抽選箱から選手の名前が書かれたくじを引き対戦カードが決定します。
解）普段では考えられない組み合わせがあるのは間違いありませんが、そこからどう繋がるか、どんなドラマを生み出すか、なんて想像すると面白いかもしれませんね。
「お客様の中でアルファベットの書かれたサインボールをお持ちの方はリングサイドまでお集まりください。それでは箱の中から順番にくじを引いていただきます。おひとり様につき一枚でお願いします…まずはAのボールをお持ちですね、はい、ありがとうございます…おー、Aの枠に入るのはクリムゾン・ローズ・ガーデン（以下CRG）の原口選手です！」
実）これはいきなりですね、CRGの原口選手がエントリーされていました！これはひょっとするとCRG以外の選手も考えられますね。
解）それはあるかもしれませんね。どこの選手が出てくるか想像もできませんが、それはそれで楽しみでもありますね。
実）そうですね、まさにクリスマスの一夜限りの奇跡と申しましょうか。続々と枠が埋まっていきます。
「それでは次のお客さん、はい、Jですねありがとうございます、はい、Jには宇野選手が入りました！」
「異常をもちまして本日の対戦カードが決定いたしました。試合開始までしばらくお待ちください」
実）ということで決定しましたのでおさらいをしていきましょう。まずは第二試合から渡辺選手対九龍城のヘイト選手です。
解）これはヘイト選手がどのような試合運びをするか木になるとことです。いつものようなダーティーファイトをしようものなら倍返し、3倍返しが待っているでしょうし、クリーンファイトで立ち向かうとなると渡辺選手の思いのままに動かされそうな、そんな想像しかできないんですよね。
実）なんと言いましょうか、渡辺選手ってヘイト選手の最終到達点のような気がするんですよね。ルチャ・リブレという下地はありますがテクニックもありますしダーティーなこともできますからね。
解）後はそうですね、細かなインサイドワークを身につけて経験を積んで、全体的な底上げができれば不可能ではないと思います。
実）なるほど。続いて第三試合は宇野選手・山田選手組対堀田選手・松本選手組の対戦です。
解）この試合はドリームファクトリーでも見られそうな組み合わせでラ・トルニージョ対決に目がいきがちですが、よく思い出してください。今日はクリスマス大会です、こういう大会になると今まで以上に張り切ってしまう選手が3人もいます。そこで一番キモとなるのが山田選手ではないかと思っています。
実）あ、本当ですね。宇野選手、堀田選手、松本選手はこういった注目を集める大会になるとテンションがいつも以上というか必要以上に上がってしまいがちです。いい結果に繋がる時もあれば空回りで終わってしまうこともしばしばありましたね。ということは、これまでのことを思い出しますと試合前から何かが始まりそうな…?
解）間違いなくあるかもしれませんね。特に松本選手あたりは何か用意していると思います。
実）そうですね、これは入場シーンから目が離せませんね。そしてセミファイナルにはタッグチャンピオン、ホワイトハンカチーフに佐藤選手、中野選手がチャレンジする構図となります。このタッグマッチはいかがでしょうか。
解）佐藤選手と中野選手のチームは面白いタッグだと思いますよ。シングルのタイトルに挑戦したことがある中野選手と若手中心の大会とはいえ優勝経験のある佐藤選手ですから、このままベルトをかけても問題ないかもしれません。
実）そうですね、両選手とも着実に力をつけている選手です。今日はどのような試合になるか楽しみです。そしてメインは上田選手とCRGの原口選手にダイヤモンズの中島選手と大森選手が立ち向かいます。現チャンピオンと女子プロレス界屈指の大型選手にどれだけ喰らいつけるか、でしょうか。
解）青コーナーはリアルに蹴撃と言っていいタッグチームですね。臆することなく向かっていって蹴り倒すくらいの勢いが欲しいですね。
実）その両選手が得意とする蹴りで倒し切ってしまうのか、はたまたそれを赤コーナ側が受け切ってしまうのか、こちらも注目です。というか、全ての試合に注目する点がありますね。
解）そうですね、しかも第一試合もですよ。これだけ他団体の選手が出場するわけですから第一試合もなにかが起きそうです。
実）そうですそうです、第一試合はロイヤルランブルマッチがあります。ルールを説明しますと、まず二人の選手が入場し試合が開始されます。そこから１分ごとに入場曲が流されどの選手がやってくるかわかります。本日は8名の選手が予定されているそうです。そして勝敗ですが、通常の3カウント、ギブアップ、レフェリーストップ、場外20カウントの他にオーバー・ザ・トップロープも適用されます。今年の最終戦を飾るにふさわしい豪華なラインナップでお送りするドリームファクトリークリスマス大会です。試合終了後にはお楽しみVTR上映もあるとのことなのでぜひ最後までじっくりご覧ください。まもなくゴングです！
次話は4月25日を予定しています
