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第10話

日が落ちる時間も早く感じ、夜には肌寒くなったかな?でも昼間はまだ厚手の長袖のシャツがあれば心地よく過ごせます。

温暖化も進んでいるようで地球大丈夫?なんて普段心配しないことを気にしてしまいます。


ハロウィンが終わりクリスマスまでの間ってちょっとだらけてしまいますよね。

そんなことを考えながらも新人3人の練習はさらに実践的になっていきます。ロックアップからの基本技とロープワーク、そして萩原さん、渡辺さん、立野さんからレスリングの技術を教わっていきます。


「もっと腰を低く!体を振って!」「そう!いいよ今の!」

「ここに力を入れると相手はこう動くからここで極める」

「常に二手、三手先を読んで」

「我慢しないでタップしなさい」


リングから少し離れたところにマットを敷いてタックルをした後、バックを取った後、どうするかと、それを防ぐためにどうするかを教わっています。新人たちは渡辺さんたちの声に従い熱い息遣いとマットの擦れる音の中、黙々と練習に励んでいます。


タックルから背後を取り、スリーパーホールドや腕や脚への関節技。腕をとったらどうするか、極められないようにどう動いたらいいかを、やって見せてやらせてみて違う動きだったらそれを修正して。逃げられた時はどうするかなどそれぞれ教えて、あとはひたすら反復練習です。この練習が終わるとせっかくセットしたであろうヘアスタイルもボッサボサになってしまうんですけど、特にお尻まであるストレートヘアの長谷川さんなんて、時には踏まれたり体の下敷きになったりコスチュームに絡まったりと大変そうです。デビューしたら対戦相手に掴まれて引っ張られたりするけど大丈夫でしょうか。本人は何か対策を考えているかちょっと心配です。


受け身とか筋力トレーニングとかホントに地味な練習ですが、これがデビューして先輩たちや他の団体の選手と戦うときに必ず役に立つことですのでしっかりと身につけて欲しいです。


ところで、以前不思議に思っていたことを百合奈ちゃんに聞いてみました。新体操の選手ってアクロバチックなことって練習するの?

「うーん、私は地域の体操クラブに入ってるんですけどー、学校の先生が大会に出場するのに選手が足りないからちょっと手伝ってくれない?って誘われてー、そのまま新体操を続けてるって感じですねー。でもみんなで演じるのは難しいから個人でできるのをさせてもらってますー。意外と私、センスがあるらしくて褒められちゃってます」

とのことらしいんです。百合奈ちゃんもセンスでできちゃう人だったのね。


みんな格闘技経験はないものの、センスがあるから教えたことをすぐ吸収できそうだから、渡辺さんたちは教えがいがあるんでしょうね。


そして12月の最初の大会でタッグのタイトルマッチが決まりました。チャンピオンのホワイトハンカチーフ、萩原さんと立野さんに渡辺さんと中野さんが挑戦します。



実)本日はドリームファクトリーの会場から配信されています。いよいよメインイベントをを残すのみとなりました。これよりタッグマッチの選手権試合、30分1本勝負が行われます。今から4ヶ月前にさかのぼりますが、七夕祭りビアガーデン大会におきまして、ホワイトハンカチーフの立野選手が渡辺選手に3カウントを奪われるという一戦に端を発し本日の試合という運びとなったわけですが、佐藤さんいかがでしょうか。

解)そうですね、お祭りという賑やかな雰囲気の中での大会でしたのでどの選手もお客さんにより楽しんでもらえるような試合をしていたわけですが、ただ二人、渡辺選手と中野選手だけはチャンスを伺っていたようです。チャンピオンチームから勝利したわけですから誰にも文句を言われない実績を残したということでタイトルマッチが組まれましたね。

実)これを油断と言ったしまったらチャンピオンチームに失礼かと思いますが、まさかあの雰囲気の中で勝負に徹していたとは思いもしなかったのでしょう、悔しい結果となってしまいました。今回はリベンジするという意味でも相当の覚悟を持っているかと思われます。

解)対する挑戦者は一度勝利しているわけですから、自信と余裕を持ってこの試合を迎えられますからチャンピオンもうかうかしていられませんね。しかも最近メキメキと力をつけてきた中野選手とテクニシャンでもありインサイドワークに定評のある渡辺選手ですから。



「ただいまより本日のメインイベント、タッグマッチ選手権試合、30分1本勝負を行います。青コーナー、挑戦者……」


実)ボディチェックを受けリングに残ったのは立野と中野、今ゴングが鳴らされました。リング中央がっちり組んだ。ロープまで押し込む立野、ここでブレイク、張り手!離れ側にキツイ一発を放ちました、気合十分のようです。

解)前回ピンフォールを取られたのは立野選手でしたから、その時の敗北を払拭するために序盤から仕掛けているようですね。


実)今度は中野が押し込んでいきます。ロープ際、綺麗にブレイクと思いきやお返しとばかりに立野をロープに振ってキチンシンク!ボディにヒザ!さらにもう一発!先ほどの張り手の倍返し、10倍返し!たまらず場外に逃れる立野を追いかけ鉄柵ホイップ!痛みに耐えているところを捕まえると再び鉄柵へ!さらに場外のマットを剥がし、これは危ないぞ、そこへブレーンバスター!

解)序盤から容赦ない攻撃に立野選手は大きなダメージを受けてしまいました。


実)立野をリングに戻すとすぐにカバー、2で返されるもすぐにカバー、これも返されると肩をがっちり掴んでカバー、今度はエビに固めて全体重をかける、危ないっ!ギリギリのところで返した立野!連続カバーを全て返した立野ですがダメージもあり体力も使わされて相当厳しい状況です。青コーナーに連行されていきます。

入ってきた渡辺はキャメルクラッチで絞り上げていきます。うわっ、顔面をかきむしるのは反則です、たまらずレフェリーのチェックが入ります。

解)小さいことですがレフェリーの隙を見て色々やってきますね。


実)ここで中野とタッチ、腰にエルボードロップ、ニードロップ!すぐにタッチ。渡辺は弓矢固めで腰に集中攻撃をしていきます。

解)得意のクイックタッチで一箇所に攻撃を集中していますね。立野選手具合が心配です。


実)今度は中野がハーフボストンクラブの体勢に入るもステップオーバーさせまいと粘る立野。これはうまい!自ら回転して脱出、すぐにジャーマンスープレックス!腰のダメージからかやや未完成か。それでも何とか赤コーナーに戻りました。出てきた萩原は中野にスリーパーホールドから胴締めスリーパーへ、スタミナを奪っていきます。なんとかロープに逃れた中野を引きずり起こしてさらにスリーパー…バーックドロップ!うまく切り返しました!

ここで渡辺と萩原が向かい合います。グラウンドテクニックでは両者とも引きません。

解)一見静かに見える戦いですが、お互いのプライドとプライドがぶつかり合っていて息がつまりそうです。見応えがありますね、目が離せません。


実)静かな展開から動きが早くなりました。萩原が渡辺にラリアット!決まったと同時に立野が青コーナーへ!中野を場外にけり落とすとダブルのブレーンバスター!萩原のバックドロップに合わせてネックブリーカードロップ!カウントは2!

代わって入った立野が渡辺をロープへ、立野は青コーナーの中野へフロントハイキック!場外へ排除!そこから渡辺へ予選スラム…はヘッドロックで阻止、ロープへ振ってショルダータックルは渡辺が勝ち、ロープワークから倒れる立野の背中にフットスタンプ!ここで中野とタッチ。ニーリフトからロープへ、ジャンピングニー!そしてバックドロップ!カウント2。腕を取り引き起こしてどうする?おーっとここで立野がラリアットで切り返し続けざまにバックドロップ!同じ技でやり返す!萩原がコーナーの渡辺を場外に落とすと中野に対しダブルのショルダースルーからカバー、カウント2、立野のジャーマンは渡辺がカットに入ると萩原が渡辺を捕まえ袈裟固め!立野が中野にフロントネックロック!これはロープが近かった。

解)この試合はチャンピオンチームのカットが冴え渡っていますね。要所要所で青コーナーチームを分断して勢いを削いでいます。


実)萩原は渡辺を捕まえて場外へ、立野に試合を託したようです。その立野は中野をジャーマンからコーナートップへ据えて、行くか?雪崩式、予選スラムーっ!これは返せない、カウント3が入りましたーっ!

解)1対1では青コーナー側にやや有利かと思いましたしクイックタッチなどで連携も見せてはいたのですが、チームとしてはホワイトハンカチーフの方が一枚も二枚も上手でしたので今日の結果につながったのではないでしょうか。


実)本部席よりタッグベルトがチャンピオンチームに帰ってきました。萩原、立野のホワイトハンカチーフが初防衛に成功しました。おーっとここでリングに現れたのは宇野、堀田のラ・トルニージョです!さあ宇野がマイクを持ったぞ?


「チャンピオン、まずは初防衛おめでとう。いいチームワークだったと思うけど、私たちもチームワークでは負けないと思うんだよね。次、私たちが行きたいんだけど、お客さんはどうかな?」

ワー、ワー、うーのっ!うーのっ!うーのっ!


「あとは会社に任せるけど、この歓声、無視できないでしょ。チャンピオン、いい返事待ってるよ」

実)チャンピオンの返事を待つまでもなくリングを降りていくラ・トルニージョです!タッグ戦線が俄然熱を帯びてまいりました!

次話は4月15日を予定しています

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