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第10話

  〜 〜 〜 休憩時間を利用して実況(以下実)と解説(以下解)が第三試合までを振り返っています。なお、この音声は試合会場にも流れています。 〜 〜 〜   

実)というわけで見応えだっぷりな第一試合でした。続いて第二試合を振り返ってみたいと思います。この試合はCRG、九龍城、ダイヤモンズ、ドリームファクトリーという団体の垣根を超えた、いい意味で寄せ鍋のようなメンバーが集まりました。チームとして機能しないと思っていましたが予想外の展開が待ち構えていましたね。

解)そうですね、特に青コーナーの原口選手とヘイト選手はタッチワークにしろツープラトンの攻撃にしろ、ちぐはぐだった攻撃でしたが中盤以降は持ち直し元々タッグを組んでいたんじゃないかっていうくらい馴染んでいましたね。原口選手のダイナミックな攻撃をサポートするようにヘイト選手が動き回ったり、逆にヘイト選手が動きやすいように原口選手が赤コーナーを牽制していました。

実)そうでしたね、ファイトスタイルの違いから一時はどうなるかと思いましたがこちらの予想を裏切ってくれました。対する北宮、佐藤組はチームワークらしいことはなかったものの、個の力で最後の決められる以外はピンチらしいピンチは作らせませんでした。特に佐藤選手はキャリアが一番若いことを感じさせない落ち着きがありました。

解)いい感じでキャリアを重ねてきているようですね。ドリームファクトリーの選手は基礎からじっくりと鍛えてきているので、こういう他団体の選手に囲まれていても落ち着いて試合に臨めば安心して見ていられます。ただ一つ言わせてもらえるなら、もっとガムシャラに立ち向かう姿も見たかったと思います。

実)そうですね。そして北宮選手も持ち前の負けん気を発揮して原口選手に突っかかって行きました。中盤には左足に攻撃を集中させて後一歩のところまで追い込んだのですがヘイト選手のカットが間に合いました。

解)二度ほどロープに逃げられそうになりましたが強引に引きずり戻した時には決まったかと思いましたね。ヘイト選手も場外で佐藤選手に捕まっていたはずなんですが、何とか切り抜けてカットに入ってきました。あれがなかったら勝負がどうなっていたかわかりませんでした。

実)レフェリーの頭上を越えてきましたからね。その後ヘイト選手にタッチしてからのチームワークが素晴らしかったですね。原口選手が佐藤選手の動きを止めたあと、ヘイト選手が丸め込みを連発、一度は耐えた佐藤選手にトラースキックのアシストがあり最後は豪快なジャーマンスープレックスホールドで仕留めました。

解)この試合では原口選手もヘイト選手もラフファイトは少なかったのですが、要所要所で繰り出すことでスパイスのように効果的でしたね。

実)勝負タイムは23分14秒でした。そして第三試合ですが、このタイミングでこのシングルマッチが組まれたことについてどういう意味が込められているとお考えですか?

解)そうですねー、どちらも団体の実力者同士ですからね。すぐに思いついたのは上田選手の持つタイトルの次期挑戦者決定戦かと思ったのですが、CRGには志村選手がいますからね、もしそうならここで名乗りを上げているはずなのでその線はないと思います。とすれば、吉岡選手に対して何か試練のような、さらに一段引き上げるための挑戦のような…いやどうですかね。

実)その心はどういったことでしょうか。

解)これはあくまで私個人の憶測ということでご了承いただきたいのですが、CRGはプロレスとプロのコスプレイヤーとして活動しています。他団体へ参戦しているとはいえ、どうしても試合勘とか経験値が少ないのではないかと。そこにドリームファクトリーが新人をデビューさせシングル、タッグのタイトルが新設されてきたのを目の当たりにして、プロレス団体として考えを改め直す時期に来たのではないかと。大木選手も実力を伸ばしてきている現状にこの先を考えて……んー、なんとも言えないですけどね。

実)言わんとすることはわからないではないのですがこのシングルマッチから何かが始まる、というところでしょうか。試合はというと、序盤は豊田選手のパワーをいなしペースを掴んでいた吉岡選手でしたが、だんだんと押し込まれる時間が増えてきました。それでも鋭い切り返しとテクニックでペースを握られないようにしてきましたが最後はパワーで押し切られてしまいました。12分53秒、ラリアットからの体固めで敗れてしまいました。この結果を見てどう思われましたか。

解)CRGにも原口選手がパワーファイトを得意としていますが、豊田選手とはまた違うタイプですからね。さすがというべきテクニックで押さえていましたが終盤の畳み込みにはどうすることもできなかったようです。どこかを痛めた様子も見られなかったので、もしかしたらスタミナ切れだったのではないでしょうか。練習と試合ではスタミナの消耗が全然違うとよく聞きますからね。

実)そうでしたね。しかしながらこの対戦も見応えのある試合だったことは間違いありません。ここで場内の皆様にご案内申し上げます。当初はこの時間中に鉄柵を設置する予定でしたが予想以上に人通りが多いため、万が一の事故や混乱などを避けるために鉄柵の設置がなくなりました。つきましては、第四試合以降も鉄柵がありませんので場外戦や選手がリングから飛び出す際にはセコンドの指示に従いますようにご協力をお願い申し上げます。繰り返します...

実)ということで場内満員のドリームファクトリー常設リングよりお送りしています。まもなく試合が再開されます。


いよいよ第四試合、明日のタイトルマッチを控えて上田対渡辺の前哨戦がタッグマッチで行われます。この試合はどのようにご覧になりますか?

解)そうですね、両選手とも幾度も対戦したりタッグを組んだりしていますので手の内は知り尽くしていると言っても過言ではないかと思いますので、その中でどう攻略していくかに尽きると思います。

実)両者のシングルマッチは何度か対戦しています。直近では初代チャンピオン決定トーナメント一回戦、その時は21分57秒で上田選手が勝利をおさめています。

解)だからと言って今回のタイトルマッチも同じようになるとは限りません。何かしらの対策をしているのではないでしょうか。

実)さあ青コーナーに渡辺選手が宇野選手を従えて入場してまいりました。この表情、気合十分といったところでしょうか。対して宇野選手はいつも通りと申しましょうか、終始明るく笑顔で観客とコミュニケーションをとりながらリングへ向かっていきます。

続いて赤コーナーに上田、大森組の入場です。いくぶん緊張しているような大森選手とリラックスしている様子の上田選手。リングを見やり渡辺選手をしっかり確認してからリングに上がります。

あーっとここで宇野選手と渡辺選手が強襲!大森を場外へ蹴落として上田に向かっていきます。ダブルのドロップキック!すぐにブレーンバスター、そこへストンピングの嵐!コスチュームを着たままやりたい放題!渡辺が立たせる…エルボーっ!!上田が反撃!渡辺、宇野をなぎ倒す!場外に逃げる両者、ガウンを脱ぎ捨てそれを追いかけるように場外へ!渡辺が待ち構えて客席に投げつけたー!


「お気をつけください!お気をつけください!選手に近づかないようにしてください!」


実)お客さんが逃げ惑うなか、エルボーとチョップの打ち合い、サミング!椅子でボディを強打!ヘッドロックでリングサイドに戻る渡辺が…鉄柱!エプロンサイドに叩きつける!

お?マットを剥がしたぞ、これは危ないこと…DDT!鈍い音が聞こえてきましたが大丈夫でしょうか。この間に宇野が大森をリングに上げていきます。


「カーン!」


実)ここでゴングが鳴らされました。大変な前哨戦になりました。

解)これは、渡辺選手ならではの心理戦を仕掛けてきたようですね。大事な一戦をこのように使ってくるとは大胆ですね。

実)いくぶんか落ち着いてきたリング上は宇野と大森が対戦しています。入場時に強襲されたダメージでしょうか、一方的な展開、ジャベの拷問技に苦しめられています。なんとかロープに逃れていきますがパートナーの上田はいまだに場外で倒れたまま、カットに入ることもタッチすることもできません。ここは粘って上田の復帰を待つことになります。

解)これは厳しい戦いになってしまいました。それにしても上田選手のダメージが心配です。試合を通してお互いに様子を見るかと思っていましたのでこれには驚きました。

実)早くから上田が戦線離脱、大森のローンバトルが続いています。青コーナーサイドはこまめにタッチを繰り返し攻め立てていきます。あ、やっと上田が立ち上がりエプロンサイドまで戻ってきました。ダメージの影響か苦しい表情です。ここで宇野が渡辺とタッチ、ダブルのブレーンバスターは腰を落として耐える。そこからミドル!大森の反撃!宇野、渡辺と乱れ打ち!怯んだところで赤コーナーへ、これは逃がさないぞとばかりに捕まえ軸足を刈りスピニングトーホールド!さらにハーフボストンクラブへ移行、背中へ宇野のトップロープ超えボディプレス!グロッキー状態の大森の髪の毛を掴み、強引に立ち上がらせる。上田を指差すとバーックドロップ、ホールド!これは返せないか。カウント3つ入ってしまいました。


「9分12秒、9分12秒、バックドロップホールドにより渡辺選手の勝ち」


実)これでタイトルマッチ直前の前哨戦が終わってしまいました。勝負タイムは9分12秒、バックドロップホールドで渡辺選手が勝利をおさめ…おっと、上田に対し自らの腰に手をやりベルトを巻くボーズを見せつける渡辺、挑発していますね。

解)いやー、見ている方は不完全燃焼ですが、渡辺選手は満足そうに両手を掲げています。この前哨戦は作戦通りだったんでしょうね。最後までまともにやり合いませんでした。

実)これは明日のタイトルマッチが荒れるかもしれません。楽しみでもあり、どうなってしまうかとういう恐怖もあります。

次話は12月5日を予定しています

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