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第7話

「第一回戦第二試合、青コーナーよりドリームファクトリー、ラ・トルニージョの入場です!」


アップテンポでどことなく民族音楽みたいな曲に合わせて宇野さんと堀田さんが一回戦のインティライミ姉妹に負けず劣らず元気にリングへ向かいます。場外を軽くダッシュしながら周りながらリングイン、コーナーのトップに登るとお客さんに手を振るようにアピールすの事も忘れません。


「続いて赤コーナーより、ドリームファクトリー、タップアウトの入場です!」

こちらのお二人は冷静な態度でゆっくりと入場してきます。気合の入った表情で山田さんがリングに上がると堀田さんがいたずらするようなからかうようなそぶりを見せていますが、それを無視するように赤コーナーにつきました。


「ただいまより初代タッグチャンピオン決定トーナメント一回戦第二試合を行います。青コーナー、ラ・トルニージョ、堀田ー、あきーらー、宇野ー、まーなー!赤コーナー、タップアウト、山田ー、あーやー、中野、かおーりー!」


第一試合ではできなかった選手のコールとボディチェックが行われるのを見るとちゃんとこれから試合が始まるなーと安心しますね。

お互いに握手を交わし各コーナーに分かれるとどちらが先に出るのかのやり取りの後、堀田さんと山田さんがリングに残りました。お!同期対決!ワクワクします!どっちも頑張れー!


「レディー、ファイっ!」

ゴングが鳴らされ静かにリング中央に向かう両者。ゆっくり手を伸ばし動きを牽制しています。おでこがくっつきそうな距離からいきなり動いたのは堀田さん!山田さんのバックを取るも切り返され、さらに切り返すと見せてカニバサミで倒すとヘッドロック!山田さんは腕をとって切り返しハンマーロック、そこからフロントネックロックへ移るところを狙われて腕を取り返され再びヘッドロックで捕まります。

山田さんが強引に起き上がると堀田さんをロープへ。堀田さんはリープフロックでやり過ごし帰ってきたタイミングでドロップキック!ロープ側まで飛ばされた山田さんを見ながらヘッドスプリングで起きる堀田さん。

両者が立ち上がると時計回りで動き出し今度はロックアップ。ハンマーロックを体を入れ替えてヘッドロック、そのまま投げて袈裟固めをヘッドシザースで切り返すも直前でくぐり抜けて向かい合います。すぐにロックアップ、山田さんがロープへ振ってアームドラッグ、堀田さんは腕を固められる前に立ち上がるとアームホイップで投げ返します。山田さんがすくっと立ち上がり一瞬動きが止まるとお客さんから歓声が起こりました。す、すごい!いつも見てるけどいつも以上にスピーディーで流れるような技を掛け合う姿に感動してしまいます。すると、宇野さんと中野さんがコーナーから手を伸ばしているので堀田さん、山田さんがタッチしてリングの外へ出ます。


サードロープを足場にポヨンとリングインした宇野さんを迎え撃つように構える中野さん。宇野さんはロックアップから腕を取るとニュートラルコーナーへ向かい、なんと三角飛びのような動きとロープの反動を利用して中野さんをアームホイップ!すぐに立ち上がる中野さんをヘッドシザースホイップで場外へ投げ飛ばす!お客さんに手拍子を要求すると反対側のロープへ走りその反動を利用してトペスイシーダ!鉄柵に打ち付けられた中野さんをよそにすぐに立ち上がりリングへ戻ると、トップロープを掴み何かを狙っている様子。立ち上がるタイミングでプランチャ!中野さんはこれを避けると宇野さんを捕まえて力任せに鉄柵へ!場外を一周するように三度、四度と投げつけリングに戻りフォール、カウントは2で返されます。試合が始まって5分もしないうちから全速力な戦い方で大丈夫なんでしょうか。

その後もめまぐるしく攻防が続きます。ラ・トルニージョは合体攻撃で、タップアウトはコーナーの近くで締め技を使いながらクイックタッチでじわじわとスタミナを奪っていきます。


試合中盤くらいから堀田さんが捕まる場面が多くなってきていました。その分宇野さんがカットに入る機会が増えてきます。それに答えようと必死に耐えて反撃の機会を伺っています。しかし、フラフラでコーナーに変える事も出来ない堀田さんに中野さんが迫ります。大きく両手を広げるとバックに周りジャーマンスープレックスホールド!これは決まってしまったか!というタイミングで宇野さんがダイビングカット、間一髪のところで間に合いました。が、すぐに山田さんが入ってきて脇固めで宇野さんを捕まえると中野さんがもう一度ジャーマンスープレックスホールド!堀田さんは必死でカウント2で返しました!おおおー。しかし、今度こそはと両手を広げると横から組みつきエクスプロイダーが炸裂!これは返せずにカウント3が入ってしまいました。

ぐったりする堀田さんを横目に堂々と名乗り上げる中野さん、ちょっと気にしている様子の山田さん、アイシングをして看病する宇野さん。今日の中野さんはいつも以上に非情な強さを見せていたように思える試合でした。



「第一回戦第三試合、青コーナーよりドリームファクトリー、10万パワーズの入場です!」


入場口に姿を表すと、気合をいれるようにうおーっと声を出し一直線にリングに向かう工藤さんとガウンのフードを深く被り、じっくりと客席を見ながらリングに向かう豊田さん。正反対の態度ながら、どちらからも表情から自身がみなぎっているようです。


「続いて赤コーナーより、ドリームファクトリー、ホワイトハンカチーフの入場です!」


こちらは二人揃って入場口に現れると白いハンカチを高く掲げます。それを胸元にしまうと特にお客さんにアピールするでもなく、淡々とリングに向かっていきます。


「ただいまより初代タッグチャンピオン決定トーナメント一回戦第さん試合を行います…」

選手のコールとボディチェックを行なっている間も握手を促されている間も、お互いに目を離さずにいます。視線がバチバチです。それはレフェリーが両者の間に入ってコーナーに分けるまで続きました。これだけでお客さんは大盛り上がり、試合にも期待がかかります。


先発は工藤さんと立野さん。ゴングと同時に突進してロックアップ、お互いに譲らず力くらべ、意地の張り合い!どちらが先かわかりませんがぬぅううーっと声が聞こえてきます。

だんだんと工藤さんが立野さんをロープへ押し込みブレイク、離れ側にバチーんと胸元にチョップを放ち離れていくと、立野さんがダッシュしてタックル!そのまま倒すと工藤さんに馬乗りになって顔面にエルボー!そしてグーパンチ!これには慌ててレフェリーが止めに入りました。試合直後からお二人ともパワー全開、殺伐とした雰囲気を醸し出しながらにらみ合っています。おおー、ちょっと怖いけどワクワクしてきました。


視線を交わしたままコーナーに戻りパートナーとタッチ、豊田さんと萩原さんがリングに入ってきました。

お二人がリングで向かい合うだけでその場の空気がピリッとしてきそうです。時計回りにゆっくり動きロックアップ、豊田さんがヘッドロック、萩原さんがロープへ振るとショルダータックル。互角と見ると萩原さんが先に動きもう一度ショルダータックル、さらにもう一度!それでも倒れない豊田さんは反撃の逆水平チョップ!痛みに表情を歪める萩原さん。

工藤さんと立野さんに触発されたのでしょうか、冷静に試合に入ったと思っていました豊田さんと萩原さんですが、どちらも最初から全開ファイトです!


工藤さんも立野さんも先輩たちと対戦するときは果敢に攻めていきます。途中で押し込まれたりしますがそれにも負けずにいきますが反撃は倍になって返ってきます。苦しい場面になってもパートナーの先輩は「やられっぱなしじゃダメ!そのくらい返せ!」と簡単にカットに入らないみたいです。


ホワイトハンカチーフ側は豊田さんの右腕に狙いを定めたようで代わる代わる打撃や締め技をかけていきます。ラリアットや逆水平チョップも右手から繰り出されますから少しでも打たれないように、打たれてもダメージが少なくする作戦です。

対する10万パワーズ側は立野さんに攻撃を集中させていくようで、合体攻撃や孤立させてからの攻撃を仕掛けていきます。

工藤さんも立野さんも同期の中では一歩も二歩も先に出ている実力者ですが、先輩たちと比べるとまだ体力だったりスタミナだったりが追いついていないのでどうしても中盤から終盤にかけて動きが鈍ってきてしまいます。

すると工藤さんの動きがパタリと止まるとチャンスとばかりと一気に畳み掛けます。萩原さんがジャーマンスープレックス、立野さんの予選スラムからフォール。これは何とか豊田さんがカット。すると立野さんが豊田さんにタックルをしてニュートラルコーナに縛り付けると、萩原さんの二段式ジャーマンスープレックス(※1)からのフォールで決着、ホワイトハンカチーフの勝利となりました。


※1 デッドエンド みたいな技だと思ってください

ブライアン・ダニエルソン選手が引退を発表しました

次話は11月5日を予定しています

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