第13話
プロレスリング・ドリームファクトリー旗揚げ4周年!
2日連続で投稿します!第2夜、よろしくど〜うぞ!
実)第四試合が始まろうとしています。これまでの三試合とは打って変わって殺伐とした雰囲気が漂ってきました。青コーナー側ドリームファクトリーの堀田選手、佐藤選手が入場ゲートに現れました。おお、お揃いのガウンとコスチュームです。白を基調に堀田選手は赤と緑を、佐藤選手には黄色がアクセントに煌いている姿はどこか騎士を思わせる凛々しい装いです。そして堀田選手は鷲の、佐藤選手は狐でしょうか、立体的なオーバーマスクを装着しリングに入りました。
続いて赤コーナー側九龍城のヘイト選手、マリス選手の入場です。こちらも新しくあつらえたでしょうか全身黒と青のコスチューム姿でゆっくりとリングに向かいます。黒と白、対照的なコスチュームで相対します。お互いにこれが初対決となります。
視線を合わせることなくレフェリーのボディチェックを受けいます。先発はどちらでしょうか、赤コーナーはヘイト選手が、青コーナーは佐藤選手を抑えて堀田選手がリングに残りました。やる気がみなぎっている様子、気合も十分!まったなし!
「レディー、ファイっ!」
さあゴングが鳴らされました30分1本勝負。いきなり突っかかっていったヘイト、それに合わせるようにスピードを上げていきます。足を払ってカバー!すぐに返し同じくやり返す!ヘッドスプリングで起き上がるとアームドラッグで投げあう。ドロップキックで堀田を場外に落とすと慌ててその場から離れるお客さん。そこへ跳ぶと見せかけてフェイント、ハンドスプリングからバク転で綺麗に着地。視線の先には堀田、指をクイクイっと挑発しています。それに乗ることなくリングに戻ります。ここはトルネードタッチルールで佐藤と交代できますが下がりません。やられた分はやり返すまで交代しないつもりでしょうか。
バックの取り合いから堀田がテイクダウン、足を取るとロメロスペシャル!そして両手を離しチンロックへ移行、今度はじっくりと攻めていきます。
『そういえばさー、おねーさんも師匠からリングネームをつけてもらったんだよね?』
突然頭の中に、ちょっと掠れた男性の声が聞こえてきました。な、なんでそんなこと知ってるのよ!確かにつけてもらいましたけどね。デビューしてから全然勝てなかった時に、自己催眠とお客さんの琴線に触れるような試合ができるようになれって意味で琴の漢字をつけてもらいましたけど。
『オレはね、太鼓のように打たれ強く、打てば響くような選手にって思いを込めて太鼓の鼓の字をつけてもらったのさ、カッコいいだろ』
あら、経緯が何か似てますね。琴といい太鼓といい和楽器ブームがあったのかしら?
『さあ?そんなことより、相手がどんな動きをするのかちゃんと見ておかないといけないんじゃない?』
それはそうですね。
実)先ほどからまた徐々にスピードが上がってきました。アームホイップの掛け合い、3回目はヘイトがスカす。マリスが入ってきてダブルのショルダータックル、股裂き、サンドイッチ式低空ドロップキックが顔面を襲う!カバーは2、ここで試合の権利がマリスに移る。マリスがグランドで攻め立てます。ボディシザースから体を回転させて両肩をつける、カウント2で返す。ボディシザースからグラウンドのコブラツイストように絡みつくがこれはロープエスケープ。マリスが引き摺りおこしてロープへ、リープフロックをドロップキックで撃墜、青コーナーに戻り佐藤と交代します。
実)リングインした佐藤はマリスにロックアップを仕掛けていきますがそれを嫌がって一旦距離をとりました。ゆっくり近づいて腕の取り合いから佐藤がマリスをロープへ、ショルダータックルは佐藤、ロープワークで戻ってくるとマリスのヘッドシザースホイップ!コーナーに飛ばされた佐藤にジャンピングボディアタック!対角線に降るも切り返す、マリスはコーナーを駆け上がりブーメラン式フライングフォアアーム!カバーは2!すぐにスリーパー!極まる前に腕を取り返しバックへ回るとサイドヘッドロックに取る佐藤。
実)カットに入ったヘイトがマリスに指示を出すと佐藤をボディスラム、マリスのギロチンドロップ!ヘイトのボディプレス、マリスのライオンサルト!そのままカバー!カウントは2!連携で流れを強引に掴もうとしている様子。
ここでヘイトが青コーナーの堀田を場外へ落とす!佐藤を肩車で担ぎ上げるとコーナートップに上がったマリスのフライングボディアタック!ダブルインパクト式!カバーは2で返されるも勢いがついてきました。
解)九龍城サイドはダブルの攻撃が立て続けて決まりましたね。このままのペースで行きたいところでしょう。ドリームファクトリーサイドはどこかでこの流れを断ち切らないとズルズルといってしまいそうです。
実)ローンバトルが続く佐藤ですが、その様子を冷静に見ている堀田。信頼しているのでしょうかカットプレーにはまだ入りません。マリスのSTFのような技を必死にロープに手を伸ばす。今、ブレイク。ゆっくり立ち上がる佐藤の腕をとりロープへ、ショルダータックルは佐藤の勝ち、そのままロープワークで倒れこんだマリスの背中にフットスタンプ!ヘッドロックからフライングメイヤー、腕をとりサーフボードストレッチ!
解)佐藤選手は耐えるだけ耐えて九龍城のやり方に惑わされずオーソドックスなスタイルで攻めていきますね。これにより試合を一旦落ち着かせてペースを取り戻そうとしていると思います。
実)しかしヘイトがカット、ロープに振りダブルチョップは中央突破!2人同時にドロップキックをお見舞い!その勢いでマリスが場外へ逃れてタッチが成立、ヘイト対佐藤の対戦に変わります。青コーナーに向かう佐藤の足を引っ張りタッチを阻止、しかし佐藤が反対の足で延髄斬り!ニュートラルコーナーにヘイトを投げる!そこへ堀田のトップロープ越えドロップキック!ここでヘイト対堀田にチェンジ!
解)いいタイミングでしたね。こちらもなかなかのチームワークです。さすが同期といったところでしょうか。
『おねーさん、戦ってみてどうだった?』
まあね、ルチャ・リブレのジャベっていうのはあんまり感じなかったかな?あとおねーさんって言われるのにはちょっと違和感がありますよ?
『その辺はおいおい。でも黒い方は全然ダメだね。派手な技ばっかりで基礎ができてないよ』
へえ、そうなんですか。でもダメっていうほどダメですか?
『そうだね、基礎の練習が1から10まであるとして、5から8・9まではできてるんだけど肝心な1から4の基礎中の基礎がおろそかになってるよ。ほら、おねーさんの時もそうだったけど、あれだけ技が決まってればパートナーのおねーさんも苦しいはずなのにそう見えないのよ。視線を送ったり手招きしてカットしてもらいたいサインがないし。ホラ、次の技を掛けられてもヒザのサポーターを直してるよ、余裕だねえ』
そう言われてよく観察していると、ヘイトさんは結構な力で締め上げてるのに堀田さんはどこか涼しい顔で技を受けているようです。
『パートナーのおねーさんもそうだけど、おねーさんも厳しいトレーナーさんに鍛えられたんだね』
そうなんですよ、渡辺さんには技の細かいところまで丁寧に教わりましたよ、この身をもって。テコの原理とか体の構造とか。ヘッドロックひとつを取ってもただ頭を抱えるだけじゃなくて腕の固いところを骨の隙間に当ててって…思い出すだけで痛くなってきました。
『あははは!あるあるだね。ちゃんと教わってたようで何より。それでさ、相手の実力もわかってきたことだし、次にリングに入るところから行かせてもらうのでよろしくね』
ちょっ、よろしくって何よそんな軽いノリで言われても困るんですけど。
『何言ってるの、俺の師匠もトレーナーも兄弟子も出しておいてそれはないんじゃない?いいなー、俺も試合したいなー』
3人も…?もしかして下着見せろとか言ったエロ社長さんとのお知り合い?
『それなら間違いなく俺の師匠。でも試合は凄かったでしょう?惚れ惚れするタイガードライバーに身体の芯から痺れるエルボー。あんな風になれたらなー、今頃俺もなー』
いやちょっと、そこで思い返されちゃっても困っちゃいますよ。困っちゃうといえば堀田さんはどうなるの?
『…っはっ!ごめんごめん、そっちも大丈夫。おいリカルド!そっちは準備できてる?』
『kota llegas tarde!Ha pasado mucho tiempo desde la última vez que jugué un juego y no puedo esperar!que eso esa chica es linda ¿Puedo recogerte más tarde?』
『大丈夫だって』
スペイン語かポルトガル語っぽい何かでお話ししてたみたいだけど、答えの長さがあってないようですけど?
『パートナーと交代するよ、リングインから ノンストップで行くからね』
えーい、こうなったら流れに任せていくしかないか〜。
(♪1)ドーン、ドーン、ドーン
な!いきなり太鼓?和太鼓の重厚な音が頭の中に響き渡った後に、宇宙空間を颯爽と飛んでいくような爽快感あふれるギターサウンド。SFアニメの戦闘シーンに流れてきそうなかっこいい曲が流れてきました。
実)リングに入ってきた佐藤を捕まえるとフライングメイ…あっと前転宙返りで回避!すぐさまドロップキック!カットに入ったマリスを前蹴り!腕をとりヘイトに投げつける!背後から襲ってきたところに同士討ちを誘うクレバーな判断!
解)背後に目がついていたかのような反応でしたね。リングに入ってきたマリス選手をうまく使いました。
実)コーナーに振って串刺しジャンピングニー!堀田がロープ越しに延髄斬り!ヘイトの首を掴んだままコーナーに登るとリバースカーフブランディング(※1)!強烈な一撃もカウント2!
(♪2)Ave Maria honnyarara Mia Si me nyarara honnnyarara daria
Ave Maria honnyarara Mia Al me nyarara honnnyarara ria〜a〜
テレッテッテッテテーレ テレテッテッテ、テレ〜レ〜
またきたぁ。2曲目ってなんで?もしかして堀田さんの分?それにしてもこの曲なにぃ〜。アベマリアって聞こえたけど私の知ってるアベマリアさんじゃない〜。もっとこう、オペラとか賛美歌みたいにゆ〜っくり流れるはずなのに〜、この曲はリズミカルでご陽気になってる〜。でもいい声ですね。
実)エルボーからマリスをコーナートップに座らせると、堀田がロープを綱渡りぃ?そのままドロップキック!その間に佐藤がヘイトを花道に連れ出しブレーンバスター!リングとは違う衝撃音!
解)花道にはマットが敷いてありませんからダメージが直にきます、しばらくは動けないでしょう。分断に成功したドリームファクトリーサイドにチャンスが生まれました。
実)リング上では堀田対マリス、サミングで危機を脱出、ロープに走りラリアット!当たらない、スウェーバックでかわしトラースキック、延髄斬り!カバー!カウン…あーっレフェリーが消えた!足を引っ張られ場外へ!そこへスライが乱入、2対1で堀田をめった打ち!佐藤が救助に!アッパー掌底!スライの攻撃を避けてボディーにエルボー!グッタリした2人をセカンドロープに備え付けると堀田に声を掛ける。同時にロープに走り619(※2)の共演!スライを蹴落とすとマリスを肩車で担ぎ上げる佐藤、必死にこらえて脱出、佐藤にブレーンバスターに捉え、ここに堀田が!その堀田を足蹴りにスイング式のDDTに切り替えしなんとか返した!レフェリーはまだ場外か?
実)ヘイトが戻ってきました。腰を押さえているようですが2対1で佐藤に襲いかかる。ダブルのブレーンバスターからロープに振って…ハンドスプリングからバックエルボー(※3)でお返し!両チーム入り乱れての大乱戦へと発展していきます!めまぐるしいスピードで攻防が入れ替わり目が追いつきません。
実)お客さんに助けられてやっとレフェリーがリングに戻ってきました。
解)レフェリーにはとんだ災難でしたが、早めにリング上の秩序を回復してほしいです。
実)試合時間は20分を過ぎましたがスピードが衰える感じが全くありません。いや、ひとりマリスに疲れが見えます。
実)リング上はヘイト対佐藤、ヘイトはサミングからブレーンバスター、セカンドロープからボディプレス!すぐにカバー!レフェリーは気づかないがロープに足を掛けて体重を乗せていくが2で返す。マリスに指示を出すと佐藤にボディスラム、ヘイトがコーナートップに登るぞ、うあっ、シューティングスタープレス!決まったか!ギリギリのところで堀田がカット!レフェリーを飛び越えてきました!
実)その堀田がヘイトを捕まえるとパワーボ、違う、ヒザを立てた!パワーボム式のバックブリーカー!これは大ダメージ!とっさに入ってきたマリスに佐藤のエルボー、バックを取りバックドロッ、これも違う!マリスが一回転して顔面から落とした!(※4)
実)ここで佐藤と堀田の目が合い頷く。佐藤がマリスをゴリースペシャル、頭とヒザを固定している。堀田はヘイトの腕を抱え込み裏投げのように組み付いたぞ?何をする?佐藤は尻餅をつくように打ち付け(※5)堀田は前に落とした!(※6)なんという技だ!レフェリーは同時にカウント!「ワン、ツー、スリー!」
実)場内大合唱の中、決着がつきました!勝負タイムは24分ちょうど!堀田、佐藤のドリームファクトリー組が勝利を収めました!いやー凄かったですね!
解)終盤の攻防は見応えがありましたね。この試合でも佐藤選手は新しい技を用意してきました。見たことのない技が3つ4つありましたし堀田選手もいつもと違う動きをしていましたね。対してヘイト選手、マリス選手の九龍城組はいつもより反則も少なく、らしくない試合ではあったのですがチームワークは良かったですね。ただ今回はそれ以上にドリームファクトリー組の連携が良かったですね。
実)場内の熱がまだ冷めません、そのくらい熱い戦いが繰り広げられていました。いやー、実況していてちょっと疲れてしまいました。んん、気を取り直して、続いて第五試合です…
♪1 戦慄のブルー/松田孝史 みたいな曲だと思ってください
♪2 Ave Maria/David Bisbal みたいな曲だと思ってください
※1 地獄の断頭台 みたいな技だと思ってください
※2 ファンネル みたいな技だと思ってください
※3 ビット みたいな技だと思ってください
※4 アクシズ みたいな技だと思ってください
※5 ブルーディスティニー みたいな技だと思ってください
※6 サンタマリア みたいな技だと思ってください
里村麻衣子選手が引退を発表しました
絶好調なうちに新たな人生へ進みたいとのことで、今後の活躍に期待したいです
次話は 8月15日を予定しています