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第15話

「ごちそうさまでした〜」

昼食を食べ終わった皆さんがお茶で一服している。私も急いで急いで食べ終えてお茶を一杯いただく。あ、ちゃんと急須で淹れたお茶だ、なんか実家っぽくていいなぁ。


「食べ終わったかな?じゃあ帰るときに夕食と明日の朝の分の食材を買ってから帰ろうか」

おおうっ、早速今日からご飯を作るのか〜。

「まあ初日だからね、簡単にカレーとサラダと何かおかずになるものをね。お米とお肉はあるから何が必要か決めちゃおうか」

この人数の食材ってどれくらい揃えればいいんだろうか。ちょっとワクワクしちゃうけど持って帰るとなると大変かもね。私と晶さん以外は何かしらのスポーツ経験者だったから一般の一人分てわけにいかないよねぇ。


「はいそこのあなた、朝食といえば何?」

「え、卵焼きとお味噌汁とー」

「はい次、隣のあなた」

「うちはパンとサラダとベーコンエッグが定番です」

そうよね、パン食っていうのもあるよね。私のうちはずっとご飯だったからたまにはいいかな。

「ん〜パンは却下、お米があるからね」

その後も色々聞かれていろいんなメニューが出てきたけど、こんなの毎日作ってたお母さんて大変だったんだなぁ。今更ながらありがとうございます。

「はいあなた、朝食といえば?」

私はとっさに答える。

「はい、焼いたシャケと卵かけご飯が食べたいです」

あ、食べたいです、じゃないか〜。うわ〜恥ずかしい。あ、他の人はちょっと引いてる。

「卵かけご飯はねぇ、周りの反応を見るとやめたほうがいいかもね」

そうですね、スミマセン。少し前にTKGとか言って流行ってたような気がするけどそうでもなかったのか〜。


「じゃあこんなものかな」と横田さんと、いつの間にやってきた前田さんと買い物する食材の量を決めている。さすが食堂で働いてるだけあってこんな短時間で適量が分かっちゃうのかしら。

「では商店街で買い物してから帰りましょう、では移動!」

前田さんにもう一度ごちそうさまを言ってから食堂を出る。後で合宿所に顔を出してくれるというのでその時に料理を作るのを教えてくれるのかな。


相当な量の買い物を終え、合宿所の食堂にある冷蔵庫に食材を入れる。

「はいお疲れ様〜、これから1時間休憩にします。この後も少しあるから頑張ってね」


私は合宿所の部屋に戻り荷物を少し片付けてからちょっと仮眠を取る。道場の見学で行けなかった窓を開ける通路に向かおうとロビーに出ると「Press」という腕章をつけた方たちを何名か見かけた。取材かな?お疲れ様です、なんて思ってたら

「あの〜すみません、ちょっとお話よろしいですか」

なんて20代の新人さんっぽい雰囲気をした人に声をかけられた。

「月刊女子プロレスの中畑と申します。この度は入団おめでとうございます。今の率直なお気持ちを聞かせていただいてもよろしいですか?」

え?何これ?インタビューされてる?私?何、何を話したらいいの?今の気持ちをって言われても…あまりにも急なことで一瞬頭の中が真っ白になったけど、とりあえず何か答えないと。

「はい、まだ入団しただけなのでデビューできるように頑張ります」

「様々な実績があるなか一般の方々とテストを受けられたわけですがその点に不満はありませんでしたか?」

「え、実績って〜」

「嫌だな〜選手権大会の無差別級でのオール一本勝ちや白鷺旗柔道大会の優勝があったじゃないですか」

あ、この人誰かと勘違いしてるっぽい。

「私がですか、え?」

「え、違いましたっけ?」

「失礼ですけど、どなたにインタビューされてますか」

「あの、山田綾選手ですよね?」

「いいえ、違いますけど?」

「…違うの?なんだよ紛らわしい」と言って何処かへ行ってしまった。

っておい!間違えたのはそっちでしょうが!なんで私がそんな風に言われなきゃいけないのよ!まったく一言謝ってくれてもいいじゃない!私と山田さんて髪型くらいしか似てないじゃない、ちゃんと調べてからインタビューに来なさいよ!初めてのインタビューで緊張した気持ちをどうすればいいのよ、もう!


なんて直接本人にぶつけられたら少しはスッキリするんだろうなぁ。

次話は12月25日を予定しています

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