第16話
プロレスリング・ドリームファクトリー旗揚げ4周年!
2日連続で投稿します!第1夜
よろしくど~うぞっ!
実)2週に渡り行われてきましたドリームファクトリー初代チャンピオン決定トーナメントも、いよいよ残り1試合となりました。数々の激闘・死闘を繰り返し、このメインイベントのリングに立つことを許された選手はこの2選手です。
ドリームファクトリーを旗揚げし、時には励まし合い、時には反発しあったこともあったでしょう。練習のキツさにデビューすることなく逃げ出してしまった練習生、社会情勢の荒波に揉まれながらも仲間とともに歩み続け、やっとの思いでこの場所にたどり着くことができました。これまでの勝負タイムはどの試合も20分を超え、準決勝では27分もの消耗戦を制して決勝戦へと進んできた上田ショウ子選手。
対して、その上田選手を追いかけてアメリカから単身乗り込みジャパニーズスタイルのプロレスを熱心に研究し練習を積み重ねることでドリームファクトリーのレギュラー選手として定着、今では最強のライバルの一人として成長してきました。昨年のクリスマス大会ではお揃いのコスチューム姿でタッグを組み、様々な方面に強烈なインパクトを残したのは記憶に新しいことでしょう。準決勝では志村選手にアクシデントがあったもののそれを感じさせない表情でリングに立っています、クリス・ホークフィールド選手です。
実)試合開始に先立ちまして、GPWOタイトル管理委員会・委員長、鶴田朋美様より認定証が読まれます。
「認定証。この初代チャンピオン決定トーナメント決勝戦はGPWOが認定し、そのルールに従って決定されるものであり、優勝者にはチャンピオンベルトが贈呈されます……」
実)ベルトが観客に披露され、上田選手、クリス選手の前に出されます。続いて選手がコールされます。
「ただいまより、GPWO認定、ドリームファクトリー初代チャンピオン決定トーナメント決勝戦、時間無制限一本勝負を行います!青コーナー、140パウンドー、うえだー、ショー、コーーー!赤コーナー、150パウンドー、 クリスー・ホークー、フィールドーーー!レフェリー西中シュウ」
実)この試合を一瞬でも見逃さないようにと静まり返る後楽園ホール、プラチナに輝くチャンピオンベルトを最初に腰に巻くのは上田選手か、はたまたクリス選手か!
「レディー、ファイっ!」「カーン!」
実)さあ今、運命のゴングが鳴らされました!泣いても笑ってもこの一試合で決着します。
解説はおなじみの月刊女子プロレス副編集長の佐倉さんです。本日もよろしくお願いします。
解)よろしくお願いします。
実)両者ゆっくりとした動きでお互いに出方を伺っているようです。
解)これはちょっと意外ですね、クリス選手の方からガンガン攻めていくと思ったのですがどうやら違ったようですね。
実)これはどういうことが考えられますかね。
解)そうですね、少しでも上田選手の体力が回復するのを待って、同じ条件に近い形で勝敗をつけたいと思っているのでしょうかね。
実)もしそうだとすると、歴史的な試合に華を添えるエピソードになりますね。ロープ際、綺麗にブレイクしていきます。
実)持ち前のアメリカンプロレスで観客を魅了してきたクリス選手ですが、今回のトーナメントではそれを一切封印し勝負にこだわってきました。決勝戦でもその戦い方を変え属しているようです。腕の取り合いからグラウンドへ、首を取ったクリスが体勢を変えて袈裟固め、さらに右腕を固めていきます。が、ここでロープブレイク。
解)これは上田選手のエルボーの破壊力を警戒して序盤から右腕に焦点を当てているようですね。
実)会場の奥の方には、先ほど試合を終えたばかりの4選手がじっと様子を伺っています。場合によっては次の挑戦者に名乗り出てくるのかも知れません。リング中央、クリスの誘いに乗って力くらべ、これはさすがにクリスの領域か上から押し込んでいきます。胸を合わせながらものすごい表情で耐える上田、押し返すことができるか。やや体勢を戻すと、おっと、上田が後ろに投げた!
解)静かな立ち上がりですね。慎重に様子を見ている感じでしょうか。
5分経過、5分経過ー。5 minutes passed
実)腕を取ってバックを取る上田、それを切り返したクリスはヘッドロックへ。体重をかけて上田を座らせるとスリーパーホールド。じりっとロープ際に移動する上田を引きずり戻し背中へサッカーボールキック!強烈な一撃!上田をロープに振るとフロントハイキック、これを避けてジャンピングエルボーで反撃!場外に落ちたクリスめがけてエルボースイシーダ!
解)準決勝の影響を感じさせない上田選手の動きですね。ここから試合展開が変わってきそうですね。
実)クリスをリングに戻すと上田がコーナートップへ、ダイビングエルボー!ヒザーーーっ!クリスがニーリフトで迎撃!!!たまらず場外へ逃げる上田、当たり所が悪かったのでしょうか、みぞおち辺りを押さえています。
場外カウント15でエプロンサイドへ、そこにクリスがスライディングキック!さらに担ぎ上げて、なんだ?そのまま本部席のテーブルに落とした!テーブルが真っ二つ!
解)クリス選手もギアをひとつ上げての攻撃に出ましたね。場外戦でペースを握るつもりでしょう。
実)リングに戻すとカバー、これは2、もう一度、これも2で返す。さらにクリスの攻撃が続きます。右手にエルボードロップ、ニードロップから腕ひしぎ十字固め。ロープに逃げられるも右腕にミドルキック!これはレフェリーが間に入って注意を受けます。コーナーに寄りかかる上田に向かってジャンピングニー!
解)徹底してエルボー封じに来ていますね。荒っぽいですが冷静に1か所に攻撃を集中させていますね。
10分経過、10分経過ー、10 minutes passed
実)上田もエルボーで返すがクリスのフロントハイキックが顔面にヒット!カバーするもカウント2、すぐにスリーパーで動きを止めに来たか。ロープに逃げた上田にギロチンドロップ、そしてカバー、カウントは2!
解)上田選手のスタミナはどうでしょうか、汗がびっしょりです。そろそろ反撃しないとクリス選手の勢いに飲み込まれてしまします。
実)なんとか立ち上がった上田、そこにクリスが突進、バックエルボーで止め追撃のエルボーがヒット!コーナーに振るが振り返され、串刺し式のフロントハイキック!負けずに上田のエルボー!リング中央まで押し戻す、クリスのハイキック、延髄斬りーーー!ヒザから前に倒れた上田にクリスがカバー!カウントは2!
上田を引きずり起こすとジャーマンスープレックスホールド!カウントはギリギリ2!
……ドドドド……
もう一度上田を起こすと両手を広げて決めるポーズ!後頭部にハイキックから本日2度目のジャーマンスープレックスホールド!危ないっ!カウントは2!
……ドドドドドドドド……
15分経過、15分経過ー、15 minutes passed
攻めるクリス、粘る上田!決着はもうすぐなのか。クリスが背中にサッカーボールキック!もう一発!ロープに走って胸元に一発!そしてカバーはカウント2!
解)なかなかスリーカウントを許しません、初代チャンピオンへ向けての意地でしょうか、上田選手の粘りは凄いです。逆にクリス選手は自分の技が効いてないんじゃないかと不安に思わなければいいんですけどね。
実)3度目のジャーマンを狙うクリス、これを耐えて上田のエルボー、ワンツーエルボー!それでも強引にジャーマンを狙うクリスの腕を取るとなんと脇固め!切り返すクリス!さらに腕ひしぎ十字固め!これは極まったか、いや、クリスがそのまま持ち上げて投げ捨てる!なんてパワー!起き上がる上田にハイキック、エルボー!フロントハイキックをエルボーで迎撃!バックエルボーからのエルボー!そして渾身のタイガードライバーーー!決まったか!
「ワン、ツー、スr…」
実)ギリギリで肩を上げた!クリスも粘ります!
……ドドドドドドドドドドドド……
解)お客さんの興奮も最高潮です。肩をあげるたびに足を踏み鳴らしています!
20分経過、20分経過ー、20 minutes passed
実)タイガードライバーを狙う上田、耐えるクリス、背中にエルボーを落としてもう一度狙うも腰を落として耐えるクリス。腕が組まれたまま強引に持ち上げて後ろに投げた!そしてクリスのジャーマンスープレックスホールド!カウントは2!ちょっと高さが足りなかったか返されてしまいます。先に立ち上がったのは上田、クリスに近づくとエルボー!ワンツーエルボー!バックに回ると腕をクラッチ!あ、これはっ!タイガースプレックス!!ホールド!!!
「ワン!ツー!スリーーー!」
「21分12秒、21分12秒ー、タイガースプレックス・ホールドにより上田選手の勝ち。この結果によりドリームファクトリー初代チャンピオンは上田ショウ子選手となりました!」
実)決まったー!初代チャンピオンは上田選手が必殺のタイガースプレックス・ホールドでそのベルトを勝ち取りましたー!
解)そうですよ!このトーナメントで一度も出さなかったから使わないと思っていましたが、上田選手にはこの技もあったんですよ!
実)これには私たちも見事にやられてしまいました。決勝戦のために温存していたのかもしれませんね。いやそれにしても決勝戦にふさわしい凄まじい試合でしたね。ご覧になっていかがでしたか。
解)私からは何も言うことはありません。試合が決まった瞬間にお客さんがリングサイドまで駆け寄って上田選手を祝福している風景を見たら、この試合がどうだったかなんて解説するのもヤボというものです。
実)そうですね、試合中盤あたりから選手が肩を上げるたびに、観客が足を踏み鳴らしているのが聞こえてきましたから見応え十分な試合だったと言えるでしょう、まだ上田選手を讃える声が止みません。リング上では大の字になって介抱されている両選手ですが、やっと上田選手が立ち上がりました。そしてさらに大きくなる上田コール。敗れたクリス選手はセコンドに支えられて控え室に戻っていきますが、その姿に観客席から大きな拍手が送られていきます。そしてタイトル管理委員長より真新しいチャンピオンベルトが上田選手の腰に巻かれました!新チャンピオンの誕生です!ここで上田選手の声が聞けそうです。
「本日はご来場ありがとうございました。このトーナメントの期間中、何度もくじけそうになりましたが皆さんの応援のおかげてなんとか決勝まで勝ち上がり、こうしてベルトを巻くことができました。このベルトにはトーナメントに出場した全選手、協力してくれたスタッフ全員の血と汗が染み込んでいますので、それに負けないように頑張っていきます。ただ、奥の方に選手が何人かいるけど、次の挑戦者とかはちょっと待って、少し休ませてよ、ね。そして、このベルトができたことでドリームファクトリーのプロレスはもっと面白くなります、期待してください!ありがとうございました!」
初代GHCヘビー級王者決定トーナメント優勝決定戦を参考にしています
次話は8月6日を予定しています