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第15話

実)第二試合はダイヤモンズの宮原が選手がCRGの増田選手の強烈なバックドロップで敗れてしまいました。ダイヤモンズ側の猛攻を大木選手の驚異的な粘りで持ちこたえたあたりでCRG側は勝利を確信できたのかも知れません。勝負タイムは11分57秒、お互いの意地とプライドと持ち味を発揮した素晴らしい戦いでした。


実)ここはプロレスの聖地、後楽園ホール。第三試合は、初代チャンピオン決定トーナメント準決勝第一試合、上田ショウ子対豊田エツ子の一戦です。いつもと違う張りつめた空気の中、青コーナーより上田ショウ子選手の入場です。決定トーナメント第一回戦は渡辺選手を、第二回戦はダイヤモンズの佐々木選手を下し準決勝へと進んできました。ドリームファクトリーの盟主としてエースとして一戦も落とせない戦いが続きます。グリーンのガウンをひるがえし今リングインです。

対する豊田エツ子選手は赤コーナーからの入場です。決定トーナメント第一回戦は成長著しい若手のパワーファイターである工藤選手を、第二回戦は横田選手を下してまいりました。リング上の上田選手を見る表情からは、この試合に勝ち、決勝でも勝ち、初代チャンピオンになることでドリームファクトリーのエースの座を名実共に奪ってやろうと目論んでいるのかも知れません。トップロープを掴み飛び越えてリングに入りました。


「ただいまより、初代チャンピオン決定トーナメント準決勝第一試合、30分1本勝負を行います!」


実)さあゴングが鳴らされ歴史的な一戦が始まりました。ゆっくりと様子をうかがいながらロックアップ、豊田がロープに押し込み綺麗にブレイクしていきます。リング中央で再びロックアップ、豊田の逆水平チョップ!エルボーで返す上田!いきなり打撃戦か!上田がひるんだところに逆水平の連打!ロープに振ってキチンシンクからボストンクラブで攻め立てます!

ロープに逃れた上田を引きずり起こすとコーナーへ、追いかけてキチンシンク!最後に河津落とし!カバーはカウント2!

解)豊田選手は短期決着を習っているのでしょうか、序盤から打撃技が多い気がしますね。


実)攻め続ける豊田を強引に引き剥がし上田のエルボーの連打からロープへ、フライングラリアット!さらにセントーン!そしてカバー、これはカウント2で返されます。スライディングキックで場外に落とすとプランチャ!豊田はもろに受けてしまいます。

解)上田選手は豊田選手の動きを読んでいたようですね、冷静に対処して短期決戦に持ち込めないように自分のペースを乱さないようにしているようです。


実)豊田をリングに戻すと上田はコーナートップへ。タイミングを見計らってミサイルキック!カバーを2で返されるとフェイスロックで絞り上げていきます。ロープに逃げるようにもがく豊田、一旦技を解くとフライングメイヤーからもう一度フェイスロック!ロープから遠くなったこの位置から逃げることはできるか!

なんとかロープを掴んだ豊田、場外に落ちるように逃れていきますが、これを見逃さない上田はエルボースイシーダ!鉄柵まで吹っ飛びものすごい音が聞こえましたが大丈夫でしょうか。あ、セコンドが駆け寄ってきましたが大丈夫なようです。一足先に上田がリングに戻ってきます。汗をぬぐい一息入れています。

解)上田選手の反撃です。じっくりを攻めたり空中殺法を出したりと豊田選手を翻弄するかのように試合を組み立てていますね。


実)場外カウントが15まで数えられるなか豊田がリングに戻ってきました。待ち構えていた上田が近づくとスッと立ち上がり逆水平チョップ!エルボーで返す上田!これを躱して逆水平3連発から強引にジャーマンスープレックスホールド!これを2で返されると上田の右手を掴み体を起こすと肩口や首筋にチョップの連打!

解)これは上田選手のエルボー封じでしょうか。短期決着が失敗したことで終盤にかけて上田選手の得意技を少しでも威力をなくそうとしているようですね。


実)そこからバックドロップ!さらにスリーパーホールドで上田のスタミナ奪っていきます。レフェリーがぐったりしている上田の意識があるか確認しています、どうだ?落ちかけた腕に力がこもっているのを見た豊田はカバー、カウントは2!今度は胴締めスリーパーでさらに締め上げる!上田は必死に足を伸ばしサードロープに、届くか、今届いた。場外にエスケープ、これを追いかけてきた豊田は上田を鉄柵ホイップ!もう一度鉄柵へ!リングに戻すと?ん?うつ伏せ状態にした上田の頭だけエプロンサイドに出すと、なんとそこへギロチンドロップ!

解)エプロンサイドはリングで一番硬いところにギロチンですか。これは逃げ場がなくてダメージを受けてしまいましたね。


実)リングへ戻り豊田の猛攻、背中、後頭部に連続の逆水平、ブレーンバスターは上田が耐えるとコーナーへ振ると走り込んで串刺しラリアット!これを上田はエルボーで迎撃!続けてジャーマンスープレックス、投げっぱなし!その勢いで場外に落ちると2回目のエルボースイシーダ!リングに戻すとコーナー近くでバックドロップ、コーナー最上段からフロッグスプラッシュ!カウント2で返す!

解)先ほどまで攻撃されていたのが嘘のように反撃していきます。ダメージがないことはないのですがちょっと信じられませんね。


実)必殺のタイガードライバーは豊田はは食らわないように耐える。それを振り払って逆にブレーンバスターをかけるが空中で反転して着地。そこにラリアットを合わせるが両手でブロックされるも反対の腕でラリアットが炸裂!さらにパワーボム!カウント2。勝負所と見た豊田はラリアット!これはエルボーで迎撃され反対にジャーマンスープレックス!投げられないように耐えると背中にエルボーからバックドロップ!カウント2、起こされてタイガードライバー、これもカウント2。起き上がりを待った上田のランニングエルボーはラリアットで相打ち、両者リングに大の字で倒れます。

解)最後は相討ちになってしまいましたが、このめまぐるしい攻防は相手をよく知っているからこその技の読み合いが繰りひろげられましたね。一瞬でも間違えると大ダメージをくらってしまいそうです。どちらの選手も体力はどのくらい残っているでしょうか。


実)ロープを頼りに立ち上がろうとする上田の背後から豊田のショルダータックル、倒れたところをパワーボムを狙う!耐える上田!持ち上げらられるか、強引に持ち上げたーーー!あーっと!フランケンシュタイナーで返したー!終盤に来てこの動き!豊田が起き上がるタイミングでランニングエルボー、渾身の一撃!豊田は足元がおぼつかないぞ、そこへ2度目のタイガードライバーーー!これで勝負ありか、カウント3!入りました!


「27分07秒、27分07秒ー、体固めにより上田ショウ子選手の勝利となり、決勝戦へ進出となります」


実)いやー、凄まじい試合となりましたが、佐倉さん、この試合をご覧になっていかがでしたか。

解)本当にすごい試合でした。終わってみたら豊田選手の速攻を切り抜けて自分のペースに巻き込んだ上田選手が一枚上手でしたね。

実)そうですね、それにしてもあと一試合あるというのにそんなこと関係ないとばかりの試合運びでした。これは相当決勝戦に影響しますよね。

解)上田選手はスタミナに自信があったのでしょうけど27分ですよ?ダメージも残っているなかで次の相手はクリス選手か志村選手ですから、とんでもないハンデを背負ってしまったかもしれませんね。

実)まずは決勝戦に向けて体を休ませて欲しいです。さあ次は初代チャンピオン決定トーナメント準決勝第二試合です。



実)準決勝第一試合の興奮が冷めやらぬ間に準決勝第二試合が始まります。青コーナーからはクリス・ホークフィールド選手の入じょ…おっと、今日はコスチュームを一新してきました。いつもの星条旗カラーからダークブルーのコスチュームでの入場です。明るいファイトを封印して勝負に徹する意思の表れでしょうか。第一回戦は宇野選手、二回戦は立野選手を完封してここまで勝ち上がってきました。客席に笑顔を振りまくことなくリングに入ってきました。

赤コーナーからはCRGの志村ローズ選手の入場です。漆黒のマントを翻しバラの花びらが舞うなかリングに向かいます。第一回戦は松本選手、第二回戦は萩原選手を下し準決勝へと進出して参りました。その表情からは、ライバルの上田選手が決勝戦へ進んだことでより一層気合が入っていることでしょう。今、悠然とリングインです。


「ただいまより、初代チャンピオン決定トーナメント準決勝第二試合、30分1本勝負を行います!」


実)さあゴングが鳴りま…顔面ーーーっ!クリスのフロントハイキック!志村はエルボーで返す!クリスのエルボー!いきなり試合が動きました!エルボー合戦は互いに引かない!

解)控え室かどこかでこの前の試合を見ていたんでしょうね、試合開始から両選手ともヒートアップしています。これは荒れるかもしれませんね。


実)クリスが志村を捕まえるとフライングメイヤーから胸元にサッカーボールキック!これを避けて距離を取ります。ここから仕切り直しとロックアップ、クリスがヘッドロックに取りぐいっと締め上げる。ロープに振るも離さない!それでも志村は腰にエルボーを当ててロープへ、クリスのドロップキック!その勢いで志村は場外へ!

解)クリス選手は普段ドロップキックはここぞというとき以外は使いません。その技を出したということは、コスチュームもそうですが今日の試合にかけているのでしょうね。


実)志村を追いかけて場外へ。志村をとらえるとハンマーパンチ、ニーリフト、鉄柵ホイップ!表情の歪む志村に向かってクリスが突進!あー!クリスが鉄柵に激突!胸元を痛打!志村のカニばさみでその勢いのまま鉄柵に突っ込んでしまいました!さらに低空ドロップキック!首元を気にしながらマットを掴んだぞ?マットを剥がすとクリスの元へ。一体どうする気だ、うわっ、マットのないところでパイルドライバーーーー!これはえげつない攻撃!うずくまるクリスは大丈夫か。


実)リングに戻り息を整える志村、先ほどから首元を気にしている様子が伺えますがどこか痛めたのでしょうか。場外カウントは15、16、17、ここでやっとクリスが戻ってきます。カバーはカウント2、スリーパーでとらえるがここはロープが近かった、足が掛かりブレイクです。

志村は強引にクリスを起こすとバックドロップの体勢、耐えるクリス。背中にエルボーを落として再びバックドロップ!決まったー!カバーは2。さらにもう一発狙うがここはクリスがエルボーを落として阻止、バックに回るとジャーマンスープレックス!危なっ!危険な角度で落とした!続けざまにギロチンドロップ!首4の字固め!これは苦しいぞ!それでもゆっくりロープに近づき足がかかりブレイク。そのまま場外へエスケープ。ん?赤コーナー側のセコンドが何やら騒がしいぞ。レフェリーも場外へ降りて何か確認しています。どうしたというのでしょうか。そこへクリスがリングから降りて志村をリングへ戻します。

クリスのカバーはカウント2で返しましたが志村は首を抑えてうずくまったままです。何かしらのアクシデントがあったのでしょうか。

解)どこかで痛めてしまったのでしょうか。近くのお客さんも何やらあったような雰囲気を感じ取ったようでザワザワし始めていますね。これはレフェリーも気をつけないといけないんじゃないですかね。


実)レフェリーが志村の様子を見ています。クリスはダウンを主張しているようですが大丈夫でしょうか。おっと、なんとか立ち上がる志村、大丈夫なようです。レフェリーを撥ね退けてやってくるクリスに志村のチョップ、エルボーの連打!しかし力が入っていないか、クリスには効いていないもようです。ここでクリスのハンマーパンチ、さらにニーリフト、そしてジャーマンスープレックス、ホールド!返せるか!ダメか!カウント3が入ってしまいました。


「14分22秒、14分22秒ー、ジャーマンスープレックス・ホールドによりクリスホークフィールド選手の勝利となり、決勝戦へ進出となります。決勝戦は上田ショウ子選手対クリスホークフィールド選手の対戦になります」


実)勝敗が決まった瞬間から赤コーナー側のセコンド陣が志村選手の元へ駆け寄りアイシングを始めています。これは何か試合中にあったようですね。

解)それとも試合前から調子が悪かったのかもしれません、序盤から首を気にしている様子が見られたのでどこかで悪化してしまった可能性がありますね。

実)この結果から決勝戦は上田選手とクリス選手の対戦となり、残念ながら志村選手との対戦は叶いませんでした。

解)勝負事ですからこればっかりはしょうがありません。それにしても志村選手の状態が気になりますね。

実)今、応急処置が終わって両肩を抱えられて控え室に戻っていきます。詳しいことは情報が入り次第お伝えしていきたいと思います。


実)先に試合を終えた上田選手ですが、27分と長い時間豊田選手の猛攻を受けてきました。対するクリス選手は志村選手の試合が14分と半分ほどの時間で終わっています。しかも志村選手の必殺技らしい技は受けてきませんでした。これで決勝戦を迎えるわけですがどうなるかかわからなくなってきました。

解)最初は一試合分長く休める上田選手の方が有利かと思ったのですが、ちょっとダメージが残ってしまうか心配ですね。クリス選手は上田選手と比べてもさほどダメージの心配はなさそうですし、試合時間も短かったですからね。当初のアドバンテージと考えていたことはないと思った方がいいかもしれませんね。

実)決勝戦は一体どうなってしまうのか、ますます注目されるところです。それでは間も無く第五試合が始まります。

次話は8月5日を予定しています

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