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第10話

実)「さあ第一試合はフレッシュな対戦となります。青コーナーはCRGの大木カラン、対するはドリームファクトリーの佐藤琴音です。元気いっぱいで入場してリングイン、四方に向かって礼儀正しくお辞儀をしていきます。客席からは温かい拍手で迎えられています」

解)「どちらの団体も教育が行き届いていますね、見ているこちらも癒されますね」

実)「そうですねー。両者のシングルマッチは今日が初となります。前回はタッグマッチで対戦しましたが、その時は佐藤が大木から直接ピンフォールを取っています」


実)「ボディチェックを受けている表情からは気合十分といっていいでしょう。さあゴングが鳴らされました。20分一本勝負が始まりました」

解)「その時のタッグパートナーは大木は志村選手、佐藤は上田選手と師匠といってもいい二人がお互いに組んでの対戦でしたね」

実)「その時は試合序盤からCRG側が息のあった連携で優勢に試合を進めていたのですが、終盤になってドリームファクトリー側が一気に流れを持っていった感じでした」

解)「あれにはびっくりしましたね、たとえ師匠と弟子の関係があったとはいえ長年タッグを組んでいたわけではないのですが、それを凌駕する動きでしたからね、本当に神掛かっていたとしか言えないような連携技の連続でしたね」


実)「さあ試合の方はお互いに基本に忠実に技を掛け合っていきます。大木はこの試合で前回のリベンジをしようと果敢に攻めていきたいようですが、佐藤の方がうまく切り替えしてペースを握らせません。ヘッドロックを外してハンマーロックへ、そこにヒザを落としていきます」

解)「今日の初代チャンピオン決定トーナメントの第二回戦、メインではCRGの志村選手が控えています。志村選手に勢いをつけるためにも今日は是が非でも勝利をもぎ取りたいところでしょうからね」

実)「そういった意味では佐藤も負けられません。上田選手は第三試合試合でダイヤモンズの佐々木選手との対戦が待っていますね。第一回戦の渡辺選手とはタイプが違いますが強敵には間違いありません、おっとここで大木が佐藤をロープへ、打点の高いドロップキック!カバーはカウント2、バックに回ってスリーパー、これは足を伸ばしてロープへ逃れます」


実)「さて試合の方は5分を経過、これまでは五分五分でしたが今は佐藤が若干優勢のようです。そろそろやり返していきたいところでしょう。大木は佐藤をショルダースルー、起きあがったところにすぐにドロップキック!カバーは2で返されると腰にヒザを当てて両足を絞っていきます」

解)「こうやって見ますと大木選手、佐藤選手とも似たような境遇なんですね。今後は志村選手と上田選手のように良きライバル関係になっていくのでしょうか」

実)「特に大木は同世代の選手がいませんから、団体は違えどライバル関係に発展させて切磋琢磨してほしいですね、ロープに振られた佐藤がカウンターのボディアタック!そのままカバーにいかずアームロック!これはリング中央のいい位置!ロープまで距離があります。さあ大木、逃げられるか!なんとかロープに足がかかりました。客席からは大きなため息と拍手が起こります」


実)「これはどうしたことでしょうか、大木の動きが止まりましたね」

解)「多分ですけど、佐藤選手が攻めていとき、ボディアタックだったりアームロックだったりは常に自分の体重をかけるようにしていた分、大木選手の体力の消耗が激しかったのではないでしょうか」

実)「なるほど、いくら鍛えているとはいえ成人女性の体重を支え続けていくには限度がありますからね、しかも動きっぱなしでしたから尚更ですね。さあここから反撃ができるでしょうか。佐藤をロープに振ってショルダースルーの構え、おっと飛び越えて前方回転海老固め!返せるか?カウントが3つ入ってしまいました」

解)「いやー大木選手頑張っていたんですけどね、今日は佐藤選手の試合運びが一枚うわてでした。これは日頃から同期や先輩レスラーたちに揉まれている経験の差なんでしょうね」

実)「勝負タイムは8分49秒で佐藤選手が勝利を収めました」




実)「第二試合は初代チャンピオン決定トーナメント第一回戦で敗れた選手がタッグを組んでのカードとなっています。青コーナーは同期タッグの堀田・工藤組、赤コーナーは松本・大森という先輩タッグとの対戦です。第一試合では佐藤選手が勝利しましたので堀田・工藤組もこれに続けとばかりに狙ってくるでしょう。そしてこの後第六試合に控えています、クリス選手に対する立野選手に勢いをつけたいでしょう」

解)「そうですね、5人の同期の中で唯一第二回戦に出場する立野選手を応援するにもこの試合は外せないと思います」

実)「しかし、そうはいくかと先輩の意地とプライドにかけてこの試合に挑みます。リング上ではボディチェックを受けていますが、こう見ると工藤選手の体格がひときわ目立ちますね」

解)「昨日の一回戦では豊田選手を相手に真っ向勝負を仕掛けて見事なまでに玉砕してしまいましたが、そのファイトスタイルに惜しみない声援と拍手が送られていたのが印象的でした」


実)「ボディチェックが終わり、一旦コーナーに分かれ…おっと大森・松本組がつっかけていき両チームとも場外へ。大森が工藤を、松本が堀田を追いかけていきます。松本がなりふり構わず堀田を鉄柵に打ち付け、大森は鉄柵を背にした工藤にミドルキック!」

解)「この行動は乱暴ではありますがまだまだ追いつかれないぞ、という赤コーナーサイドのメッセージが込められているようですね」

実)「場外で痛みつけた堀田をリングに戻していき、松本がリングに上がったところで試合開始のゴングが鳴らされました」

解)「出鼻をくじかれた堀田組ですが、ここからどうやって立て直していくか見守りたいですね」


実)「試合が落ち着いてきたでしょうか、松本が堀田のバックを取り優勢に試合を進めていきます。ヘッドロックを切り返した堀田は足を固めて弓矢固め!」

解)「うまく切り返しましたね。もともとレスリングの下地を持つ松本選手が攻めていたのですが堀田選手もジャベで返していきましたね」


実)「さあここで両コーナーとも選手交代、大森と工藤がリング中央でロックアップ、工藤がぐいぐいと上から押さえつけるように力を加ていきます。耐えられずにそのまま倒れる大森、お?レフェリーが何かを確認、そのまま肩をマットについた状態?カウントが数えられますが2で全身を使って返していきました!」

解)「いやーこれには驚きました。ロックアップでカウントを取られるなんて誰も思ってもみないでしょうからね」

実)「危ないところでした。それに怒ったか大森、勢いよく工藤に突撃!フロントハイキック!倒れない工藤に容赦ないローからミドルの連続キック!まだ倒れない工藤!松本を呼び込みツープラトンのブレーンバスターを狙う、上げられるか?耐える工藤!お、おおおー!工藤が二人を逆にブレーンバスターで投げ返しました!おそるべしパワーです!」

解)「自分の持ち味を遺憾なく発揮しています。豊田戦である程度できるという自信がついたのかもしれませんね」


実)「試合は一進一退の攻防で10分が過ぎようとしていますリング上は大森と堀田。ロープに振られた堀田が大森のキックをかいくぐりドロップキック!そのまま場外に落ちる大森。堀田は手拍子で会場を煽るとトペ・スイシーダ!大森は鉄柵まで飛ばされて大ダメージ!」

解)「この辺りから一気に試合が動きそうですね。大森選手は大丈夫でしょうか」


実)「カウント15で場外に戻されるとそのままカバー、これはカウント2で返します。近づいてきた堀田に下からのキックが頭にヒット!不意を突かれてダウン、この間に松本とタッチ。倒れた堀田の背後に回るとそのまま抱きかかえ引っこ抜くようにジャーマンスープレックス!クラッチを外さずもう一度ジャーマン!ここでホールド!カウントは?ギリギリで返されます!さらにも一度ジャーマンスープレックスホールド!今度は決まったか…これは工藤が体ごとぶつかるようにカット!そこに大森がフライングニールキックで工藤がダウン!その大森に堀田がトップロープからスワンダイブ式ミサイルキックが炸裂!4選手ともリング上で大の字で倒れています」


実)「先輩の意地を見せるか赤コーナーサイド、大森が工藤の胸元と背中にサンドイッチ式連続ミドル!耐える工藤に今度はコーナーポスト最上段からミサイルキック!それでも倒れない!そこに松本を呼び込んでドロップキック!やっと倒して大森がカバー!なんとカウント1で返す工藤!青コーナサイドも意地を見せます」

解)「体重差があるのは最初からわかっていましたからね、高低差をうまく利用したかと思いましたがなかなか倒れない工藤選手からも負けられない意地を感じます。それにしても凄いパワーですね」


実)「ここにきて2対1の数的優位を作り工藤を狙ってきているようですが、ことごとく返されてしまいます。佐倉さん、赤コーナーサイドはどうして工藤に標準を絞っているのでしょうか」

解)「そうですねー、考えられるのは先輩の意地ではないでしょうか。堀田選手の方が比較的攻めやすい、いつでも仕留められると思い、それじゃ簡単すぎるとか思っているかもしれません。でもそんな風に考えているとしたら後で手痛いしっぺ返しを食らうかもしれませんよ」


実)「20分を過ぎたあたりから動きが鈍くなってきた赤コーナーサイド、それでもなんとか攻めていきます。松本が堀田をロープに振ってラリアット!これをスライディングでかわしリング下に退避、そこに工藤のぶちかまし!松本をニュートラルコーナーまでへ吹き飛ばす!そこへ大森のドロップキック!これを耐えて再びぶちかまし!大森は場外へ!」

解)「工藤選手がパワーをこれでもかと見せつけていきます。赤コーナーサイドの思惑が外れてしまいましたね」

実)「さあここで松本がいつの間にかコーナーポスト最上段に登りダイビングボディーアタック!工藤はこれをがっちりキャッチ、受け止めた!終盤でも衰えない体力!そのまま抱え方を変えるとコーナーに一直線!うぉー!オクラホマ・スタンピート!マットに叩きつける!しかし試合の権利は違うぞ?そこに堀田が戻ってくるとラ・マヒストラル!これは!決まったか!カウントスリー入りました!大森のカットは間に合いませんでした。リング上では堀田選手を工藤選手が抱き抱えて喜び合っています」

解)「工藤選手が耐えて堀田選手が仕留めるという作戦だったんでしょうか。今後うまくいけば素晴らしいタッグチームになるかもしれませんね」


実)「いやー、意外と言っては失礼ですが、青コーナーサイドの試合運びが良かった印象がありました。勝負タイムは22分41秒、工藤のアシストもあって堀田が松本からピンフォール勝ちを収めました」

解)「赤コーナーサイドの作戦も悪くなかったと思いますが、工藤選手の体力を読み間違えたのが敗因でしょうか。連携技も良かっただけに残念ですね」

実)「さあ、第三試合からは初代チャンピオン決定トーナメント第二回戦が始まります。ダイヤモンズ・佐々木北斗選手を迎え撃つ上田ショウ子選手との注目の一戦です」

次話は6月13日を予定しています

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