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第7話

第四試合は堀田さんと横田さんの試合です。堀田さんは大切な試合だというのにいつもと同じかそれ以上に会場を盛り上げながら入場してきます。あ、そうでした、堀田さんは注目されることが好きでお客さんが多くなると実力以上に頑張れちゃうんでした。


リングに上がるとコスチュームを着たままコーナーの最上段に登りお客さんの両手を振っています。その反応に満足するとコスチュームを着たままバク宙でリングに着地しました。裾とか絡まったら危ないと思いましたがなんともなくて安心です。それを見たお客さんからさらに声援が送られます。


横田さんがリラックスした様子ででゆっくりと入場してきます。その表情は特に緊張しているでもなく普段どうりなのですが、いざリングに上がるとその場がキュッと緊張感が走ったような気がしました。


ボディチェックが終わり試合開始のゴングが鳴らされると、堀田さんが横田さんに対して両手で握手を求めています。それに対応して握手をした瞬間、堀田さんはくるっと体を回転させて前方に投げました!横田さんはダメージを受けないように自ら前転のように受け身を取ると堀田さんは前転が終わる直前の足を取りそのままフォール!慌てたレフェリーがカウントを取るもギリギリのところで返されてしまいます。休むことなくスモール・パッケージホールド、スクールボーイと連続して丸め込み、ラ・マヒストラルが決まった時は「勝っちゃった!!!」と思いましたがこれもギリギリで返されてしまいました。どよめく会場をよそに堀田さんと横田さんはびっくりした表情で見つめあっています。堀田さんは奇襲攻撃が跳ね返されるとは思ってなかったらしく、横田さんからしたら「あんた、序盤から飛ばしすぎでしょ!」というところでしょうか。


少し落ち着いてから今度は横田さんから仕掛けていきます。ロックアップからロープに押し込み、反対側に振ると見せかけて腕を離さずに脇固め、前転で回避するとすぐに十字固めに変更します。腕を極められたくない堀田さんは腕を取ろうとすると、今度は三角絞めに切り替えて堀田さんを追い込んでいきます。堀田さんはなんとかロープに逃れると腕と首辺りを気にしながら横田さんを見つめています。それに気づいた横田さんは「ほら、もっと来なさいよ」と挑発するかのように両手をクイクイっとしています。堀田さんはそれに乗らず一旦場外に出るとリングを半周してから戻ってきました。これはお互いのペースに巻き込まれないようなやりとりなんでしょうかね。


リングに戻りロックアップ、ロープに振りリープフロック、アームホイップからフォールするもカウントが入る前に返し足を払ってすぐにフォール、これもすぐに返し両者が同じタイミングでドロップキック!相打ちで倒れるもすぐにヘッドスプリングで立ち上がり睨み合います。スピーディーな展開から急に止まると、お客さんから大きな声援が送られていきます。

その後は堀田さんがペースを握ったようでどんどん攻めていきます。グラウンドの攻防では普段の試合や練習で見たことがない技で横田さんを翻弄しています。へー、ああするとこういう風になるんだ、なんて思いながらお二人の試合を見ています。するとうつ伏せの横田さんのヒザの上に乗ると後ろ手のように手を取ると勢いをつけて背中側に倒れロメロスペシャル!足と肩が決まっていてなかなか厳しそうです。

そこから足のロックを解かずに降ろすとチンロックかける複合技!さらに厳しく攻め立てていきます。横田さんがギブアップしないと見るや技を解いて場外に落とし、立ち上がる様子を見ながら「いっくぞー!」と叫ぶとお客さんに手拍子を促しながら助走をつけてノータッチ・トペ・コンヒーロ!私と横田さんともう一人のセコンドを巻き込んで鉄柵に鉄柵に背中をぶつけます。ほぼ無傷の堀田さんは「よっしゃー!」となぜか本部席の机の上で叫んでいます。

リングに戻ってからも堀田さんの勢いは止まりません。これまた見たことのない技はジャベっていうのでしたっけ?とにかく横田さんは防戦一方です。たまにやり返してはいるんですがどうにもペースを掴みきれないような、堀田さんとはやりにくいような?感じに見えます。堀田さんは勢いそのままに、結構な時間攻め続けていますが疲れないのかな?ってくらいずっと動き回っています。なんて思っている間にまた丸め込みましたが横田さんも返していきます。


「10分経過、10分経過ー」


堀田さんがちょっとイライラしてきたみたいです。今までのように技が綺麗に決まらず動きもなんだか遅くなってきたような気がします。それでも堀田さんは攻め続け横田さんをブレーンバスターで倒すと「決めるぞー!」と叫び、コーナーの最上段まで駆け上がります。お客さんに向かって手拍子を促すと、そこからムーンサルトプレス!決まったかと思った瞬間、横田さんはヒザを立ててこれを防ぎました!お腹を抱えてマットにのたうちまわる堀田さんを立ち上がらせるとエルボースマッシュ!体が伸びきったところにお腹にエルボー!うげぇ。お腹を抱えて前のめりに倒れる堀田さんは足をバタバタさせて痛みに耐えているようですがそれを気にすることなく立たせるともう一度お腹にエルボー!そのままフォールして横田さんの勝利となりました。(14分10秒、片エビ固め)休むことなく動き続けられたのも凄かったですが、暴れるだけ暴れさせ、その技を全て受けきって最後の一撃で試合を決める横田さんも凄いなーって思いました。


「ただいまよりリング調整のため20分ほどお時間をいただきます。この時間はトイレ休憩や水分補給などにお使いください。この建物内での喫煙は禁止させていただいておりますので、喫煙する方は所定の喫煙所をご利用ください。また、ロビーでは本日出場する選手のグッズ販売を行なっています、応援のお供にいかがでしょうか」


第四試合が終わると客席から緊張から解き放たれたような大きな息がこぼれ、自然と拍手が起きました。ドリームファクトリーでは初めての試みである初代チャンピオンを決めるトーナメント、第四試合まで全てシングルマッチ、しかも第一試合は上田さんと渡辺さんの頂上決戦?に工藤さん、大森さん、堀田さんの予想以上の大活躍に自然と応援に熱が入り力んでいたのかもしれませんね。立ち見のお客さんも疲れているようですけど、一番前で観戦しているお客さんもぐったりしているみたいです。とりあえずこの時間で少しでも元気を取り戻して欲しいです。あと四試合ありますからね、頑張って観戦して欲しいです。そして明日と来週の決定戦もありますからね。全部見てくださるお客さんはいるのかな?選手は当たり前に大変ですけどお客さんも大変なことになりそうですね。


「間も無く試合を再開いたします」


リングアナウンサーの声で席から離れていたお客さんがゾロソロと戻ってきます。一部選手が入場するところと重なるのでその辺りを通らないといけないお客さんは早めに戻ってきてください。


さてさて、第五試合はクリスさんと宇野さんの対戦です。青コーナー側からクリスさんがアメリカンなポップ・ミュージックとコスチュームで入場です。お客さんの声援に手を振って応えゆっくりとリングに入っていきます。特に緊張するでもなくリラックスしているようですね。


続いて赤コーナーに宇野さんが入場してきます。宇野さんは場内を見回しながらゆっくりリングに近づいていきます。エプロンサイドにスッと上がるとトップロープを掴み、反動とジャンプ力でコスチュームをひらりとなびかせながらトップロープを飛び越えてリングに入っていきます。うわぁ、何回見てもカッコイイんですよこれが。


ゴングが鳴るとゆっくりと逆時計周りでお互いを牽制しあっている様子、そこからロックアップ、クリスさんの勢いに逆らわずロープまで下がりブレイク。宇野さんは手をシッシと振ってクリスさんを下がらせます。再びロックアップ、同じようにクリスさんがロープまで押し込んでいきますが直前で宇野さんが体を入れ替えクリスさんがロープを背負うようになりブレイク。離れ側に「バチーン!」とクリスさんの胸元に強烈なチョップが打ち込まれると客席からどよめきが起きます。クリスさんのショルダータックルを受け、ロープに振られるもドロップキックで反撃、倒れないと見るや続けてドロップキック!2、3歩ぐらついたところでさらにもう一発!クリスさんがトップロープとセカンドロープの間から場外に転げ落ちてしまいます。そこへプランチャ・スイシーダ!CRGの大木さんと一緒に倒されてダメージを受けてしまいました。


クリスさんをリングに戻し宇野さんもリングへ戻るとフォール、これはカウント2で返されてしまいます。耳を掴んでクリスさんを起き上がらせるとバチーンとチョップ!ん?今度は効いてないぞ、と手で胸元を払うゼスチャーしてさらに胸を突き出してきます。連続でチョップをしても全然効いていないどころか顔面に反撃のエルボー!背中にハンマーパンチでお返し!仰け反って耐えている宇野さんをロープに振るとショルダースルー!クリスさんの身長よりさらに高いところから落とされてしまいます。しっかり受け身を取っても大ダメージです!さらに場外に落とし鉄柵ホイップ!ガシャーンガシャーンとリングを一周するようにぶつけて背中が大変なことになっていきます。


クリスさんはリングに戻ると宇野さんを正面から抱きかかえて、そこから後ろに投げる荒技!(※1)そしてフォールはカウント2、休む暇を与えずボストンクラブ!場外で背中を痛みつけられてからのこれは相当苦しそうです。

なんとかロープに逃れてもストンピングを繰り出しレフェリーに止められます。宇野さんを起こしロープに振ってショルダースルーを狙いましたが、宇野さんはクリスさんの飛び越えながら腰にしがみついてそのまま一緒に前方回転しエビ固め(※2)カウントは2!

宇野さんは素早く立ち上がるとクリスさんの顔面に足の裏全部を当てるような横蹴り?(※3)からのフォールはカウント2。そこからエプロンサイドに出ると片ひざをついて一息いれながらクリスさんが立ち上がってくるタイミングを見計らってコーナー最上段まで登るとクリスさんに向かって飛んだー!(※4)クリスさんはそれをがっちりキャッチ!そしてボディスラムのように叩きつける!そのままフォールはカウントギリギリ2で返されます。宇野さんは起こそうと近づいてくるクリスさんにスモールパッケージホールドで丸め込むもカウント2で返されますが続けて低く飛んでのドロップキック(※5)を出しすぐにフォールしましたがこれもカウント2で返されてしまいます。

マットを叩き気合を入れた宇野さんはクリスさんが立ち上がるのを待ってロープに走り、技を出そうとしたとこでカウンターのキチンシンクを受けてしまいます。クリスさんはすぐに胴締めスリーパーで動きを止めると、最後はジャーマンスープレックスをズバッと決めて勝利しました。(13分06秒、ジャーマン・スープレックス・ホールド)



※1 フロント・スープレックスみたいな技だと思ってください

※2 ローリング・クラッチ・ホールドみたいな技だと思ってください

※3 トラースキックみたいな技だと思ってください

※4 フライングボディアタックみたいな技だと思ってください

※5 低空ドロップキックみたいな技だと思ってください

次話は5月15日を予定しています

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