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第2話

興奮と感動とちょっとしたサプライズを織り交ぜながらC・R・Gの皆さんとの交流戦が終わってちょっとするとハロウィン大会が行われます。

昨年の大会が思った以上に評判が良くて、今年は商店街の方々から私たちも何か協力できないか、っていうか参加して一緒に盛り上がりたいという声が結構あったようです。それなら道場をスタート/ゴール地点として商店街をハロウィンの仮装パレードをしてみるのはどうか、ということになりました。道場ならステージもあるし客席も更衣室もあるから色々と便利ですからね。足りなそうだったらお祭りの簡易テントを借りてきてもいいですから。だったら観覧者や商店街の関係者などから人気投票を受け付けて優秀者には景品を出したらどうかとかと、トントン拍子に話が進んだもようです。そこに、なんとC・R・Gの皆さんが協力を申し出てくれたということでさらに話が大きくなり、これは商店街の中だけじゃ済まされない規模になるんじゃないか?というところまで盛り上がってきたそうです。


当初は仮装して5試合する予定だったんですが、パレードの参加者の動向によっては大幅に時間がかかるかもしれないということで当日は1試合(できれば2試合)となりました。試合に出られなかった選手たちは場内整理など回されることになります。


今回の仮装パレードのルールとして、人数は1チーム6人まで(更衣室の用意があまりできないため)・お肌は一般的なタンクトップにショートパンツより露出を控えるように(お昼だし屋外だしお子さんもいるだろうから公序良俗に反する行為はしないでね)くらいで、皆さん思い思いの仮装をしてきているようです。


10月の最終日曜日、午前11時から道場をスタート。警察の協力のもとメインで使う道路を一時封鎖して商店街をパレードして、折り返し地点でUターンして戻ってくるスケジュールです。沿道には仮装パレードを一目見ようと多くの人たちが集まって来てるようです。

道路には所々撮影スポットが設けられていて、その場に止まると数分間お客さんにアピールできるようになっていて、そこではちびっ子たちがプリンセス系や変身ヒーローの仮装で笑顔を振りまきながら手を振る姿にほっこりしたり、途中で疲れて保護者さんに抱きかかえられている姿にほっこりしたり、映画さながらのゾンビメイクでお客さんに襲いかかるようなそぶりで怖がらせようとしたり、それをライフルや拳銃で倒しまくるバイオでハザードな団体さんがいたり、ゾンビメイクのメイドさんやアメリカンポリスさんや看護師さんを従えている三角帽子の魔女さんがいたり、どんな素材で作ったかわからないけど宇宙世紀系のロボット!がいたり、妙に猫背の汎用人型決戦兵器がいたり(パイロットじゃなくてそっちなんだと思ったり)、その背中のコードが抜けて暴走しかけたり、なんで和風な団体がいるの?と思ったら鬼に変えられた妹を人間に戻すために鬼退治をするやつだったり、これ、何?という元ネタがわからないものだったりとジャンルがバラバラでカオスな空間が一部に出来上がっています。


当然のように屋台が立ち並びお腹が空くような匂いを撒き散らし、それに負けていられるかと商店街の店主さんたちも持ち歩きできるようなこの日限定のオリジナルフードを店先で販売したりと商魂たくましく頑張っているようです。


そんな混沌とした中、ひときわ目立って最後に登場したのがC・R・Gの皆さんです。プロが1点物で仕立てた衣装はぱっと見わからなくても出来上がりの差がはっきり違います。そればかりか立ち振る舞いが優雅で指先までお客さんにしっかりとアピールしています。もうね、空気感がそこだけ別世界なんですよ。まあ一般の方々と比べちゃダメなんでしょうけどね。もちろん人気投票から外されています。


そんなC・R・Gの皆さんですが、今日は国民的ロールプレイングゲームの最新作の主人公とその仲間の衣装のようです。主人公はこのシリーズ初の女性で、魔法学校の成績は優秀だったのに貴族じゃないという理由だけで教師や同級生からひどい仕打ちを受けながらも、同じ境遇の仲間とともに冒険者となり、のちにこの世界を救うという物語のようです。その主人公の魔法使い役に志村さん、素早い動きで敵を翻弄したり罠を解除する補助魔法使い役を増田さん、回復魔法と棍棒のような武器を振り回す修道士の役を原口さんが担当しています。軍服のような格好も素敵でしたがこちらの衣装もゲームが飛び出てきたんじゃないかというくらいお似合いですね。おやおや?後ろから兵士やら町人みたいな方々が看板を持ってついてきてますよ?どうやらこのゲームの宣伝隊のようです。後から聞いたのですが、商店街のイベント会社の方とC・R・Gの皆さんの協力のもと、ゲームのPRを兼ねながらパレードの運営ノウハウを教えていただいたようです。しかもゲーム会社さんから参加者全員にノベルティ文具セットや入賞者の商品を提供してくれることになったようです。


先頭のグループが折り返して道場に戻ってくる途中で、なんだか奇妙な光景が見えますね。撮影スポットがセンターラインを挟んで行き側と帰り側が重なってしまうという運営側のミスがあったため、場所によっては同じキャラクターが被ってしまいお互いに微妙な雰囲気になってしまったり、国民的アニメのキャラクターと最新の人気アニメのキャラクターが仲良く撮影しあったりと、実際にはあり得ない偶然の光景にお客さんも参加者も笑ったりびっくりしたり、ちょっとしたハプニングもありながらもなんとか無事にパレードが終了しました。


道場に戻ると出場者の皆さんはこの後の最後のアピールと授賞式のために休憩をとり、その間に私たちの試合を行うことになります。

といってもいつもの試合よりちょっと趣向を変えて、エンターテイメント100%のヒーローアクションショーのような試合をしていくことになりました。その内容はというと…

地球の平和を守るヒーロー戦隊が敵をやっつけたときにブラックホールのようなものに飲み込まれ、異世界に移転してしまったところから始まります。

地下闘技場で現地の勇者グループに出会い、何かの勘違いから争いが起こってしまいます。そこに現れたのが地球の平和を脅かす悪の組織、ついさっきまで戦っていた相手でした、と同時に異世界でも人間界を滅ぼそうとする悪魔軍団だったのです!ヒーロー戦隊と勇者が戦って疲れたところに漁夫の利を得ようとやってきたのです!疲れていてもヒーローと勇者はお互いに手を取り悪魔たちをやっつけた!というストーリーです。

ヒーローや勇者の攻撃に合わせて効果音も照明もバッチリ決まり、プロレス仕込みのアクションと笑いと感動を振りまきながら無事に悪魔軍団を退治してハッピーエンドで幕を閉じました。


そんなヒーローショーが終わるといよいよ仮装の審査の発表となります。それぞれの仮装のアイデアと技術とパフォーマンス、お客さんからの人気投票を元に最優秀賞、優秀賞、殊勲賞、敢闘賞、技能賞、審査員特別賞など、なんやかんや全チームに何かしらの賞がつき、商品も贈られるようです。特に気になったのが「C・R・Gのお仕事に一日体験入団(撮影会にも参加できるよ)」と「Honey or Trapのコスチューム優先作製&割引券」なんていうのがありましたが、これ、もらった方が萎縮しちゃうんじゃないですかね。他にもスポンサーさんの最新ゲームソフトプレゼント&ゲームショウ招待券などの他に、商店街からは「銘柄米食べくらべ5種類20kgセット」や「地元の特産豚10kgセット」や「季節のフルーツ盛り合わせ」なんていう生活感丸出しの商品もなかなか好評だったようで、大いに盛り上がり大好評だったハロウィン大会となりました。


次からどうしようか、これ以上のことになったら商店街だけでできるかな、なんていう不安を残しながら…

次話は12月15日を予定しています

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