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第6話

プロレスリング・ドリームファクトリー旗揚げ3周年!

2日連続で投稿します!第2夜

よろしくど〜うぞ!

ふと何気無いつぶやきが上田さんの耳に届いてしまったようです。

「そういえば晴子は駅前プロレスを見てうちに入ろうと思ったんだっけ。そうね、ファンでもない人たちに偶然でも見てもらえてプロレスに興味を持ってもらえたらいいかもしれないわね。これが終わったら調べてみようかしら」

上田さんが何か思いついたようです。


「でもプロレスもそうですけど、格闘技ってほとんど屋外でやらないですよね」

「そうね、空調とか天候の問題があるからね。でも私が新人だった頃は数年に何回かは開催してたような記憶があるのよね」

毎回はできないでしょうけどたまにはやってたんですね。そっか、試合当日に雨になったらお客さんの事とかリングの撤去とか大変ですもんね。


「当日の朝から雨の時は中止になるけど、小雨が降ったり止んだりとか降るかもしれないって時は試合をしてたわね」

うわー、それだと試合が始まっちゃって雨が降り出したり強くなったりした時はどうしちゃうんでしょう?野球みたいに審判団の協議とあるんでしょうか。


「そういう状況で試合をしなくちゃいけない時はメインイベントから始めていくのよ。お客さんが見たい試合だったり人気のある選手ってってだいたいがメインとかセミとかが多かったから。そうすれば途中で中止になっても多少は見たい試合は見せてあげられるしお客さんもそれなりに満足できるでしょ?でもねー、雨の日だとロープは滑るしリングのマットは雨を吸って受け身を取ってもダメージが散らないし、コスチュームやシューズが重くなって動きにくくなるのよ。あと屋外だと季節によっては虫が照明に集まってきたり昼間は日焼けとか気にしないといけなくなるのよねぇ」

なるほど、そういう問題もあるんですね。だからあの時以来、駅前プロレスってやってないですね。ちょっと屋外でプロレスをするのは難しいかもしれませんが、こういう非日常感がある時にできれば面白いと思ったんですけど残念です。


「でもそういう面白そうなことはどんどん言ってくれた方が嬉しいわよ。私たちじゃ思いつかないことがあるかもしれないからね。ただ、それをやるかやらないかはいろいろ協議が必要だけど」

「はい、ありがとうございます」


私がそう言うと上田さんは何か考え事をし始めたようです。ドリームファクトリーの事やHoney or Trapの事や、もしかしたら商店街の事などプロレスラーの仕事以外にも考えなくちゃいけない事や責任者としての負担を増やしてしまったんじゃないかと言った後に思ったりしてしまいました。




一方その頃、見回りをしている立野と山田はメインの通りから一本入ったちょっと寂しい路地で今時珍しい光景を少し離れたところから見ている。


「みづきさん、あれっていわゆるカツアゲというものではないでしょうか。ドラマ以外で始めてみました」

Tシャツ姿の中学生らしき3人組がタンクトップやアロハシャツを着た不良グループと思われる四人組に囲まれている。

「あらホント、まだいたのねあんなのが。この辺りは治安がいいから見かけなくて安心してたけどねー。お祭りの雰囲気が呼んじゃったのか知らねー」

「そんなこともあるんですね。でもどうします?明らかに警備員さんに連絡しなければいけない案件ですよね。あら、お財布を取り上げたのにジャンプなんてさせてますけどどういう意味があるんでしょうか?」

「ああやって財布以外に小銭を持ってるか確認してるのよ、セコイやつね。一応連絡を入れるけど、警備員が来る前にあいつらいなくなっちゃいそうね」

「それではどうしますか?明らかな犯罪行為を見てしまいましたから現行犯で捕まえても問題ないと思いますけど」

「多分問題ないと思うけど大丈夫?ゆかたの下は何か着てる?」

「万が一のこともあると思いまして、多少着崩れても支障のないようにスポーツブラとショートスパッツで万全ですよ。そういうみづきさんはどうなんですか?」

「さすが綾さん。その辺は察してくれるとありがたいかな。でも本当にいいのかしら、私たちで取り押さえても」

「私たちも試練の五番勝負が決まったことですし、少しは実戦経験を積んだ方がいいと思うんですよ。五番勝負では他団体の選手もいらっしゃるしファイトスタイルがわからない相手をどう攻略するかの緊張感をこの場で経験しておいたらいいかなと。相手も四人いますからちょうどいいと思いますよ?」

「綾さんあんたねー。まあ減るもんじゃないしやっちゃいますか。じゃあ私が奴らの相手をしている間に綾さんが被害者を安全なところまで逃すってことでいい?」

「みづきさん?私から言い出したことですから私が四人組のお相手しますよ。せっかくのいいところを取らないでくださいます?」

「はいはい、言うと思ったよ。じゃあ綾さんが前に出て相手をしてる間に私がうまく被害者を逃がすようにするからうまくやってね。くれぐれもこっちから先に手を出したらダメよ?それと、被害者側の二人は私に任せなさい」

「あら残念、仕方ないですね。そのあたりはもちろん弁えてますが、腕や胸ぐらを掴まれたらこちらも手を出していいですよね」

「その辺が落とし所かー、じゃあ今から連絡入れるから。準備OK?」

「お任せください。あ、被害者は逃すよりこちらから手を出してないという証人になってもらいましょう」

「ちょ、連絡してる最中n…あ、もしもし、こちら警備中の立野です、お疲れ様です。今、商店街の路地でカツアゲしている四人組を発見しまして…はい…はい…ええと、アフロ先生のフィットネス米山の裏手あたりです…はい…お願いします」

「それでは参りますか」


「ヘイ、そこの不良ども、チョホイトマチナー」

「はいはい皆様ー、今どきカツアゲなんてカッコ悪いですよー。そんなことやめてお祭りを楽しんでくださいねー」

なんの緊張感もなく声をかけてからスタスタと不良グループに近づいていく立野と山田。

「なんだオメーラ、俺たちが何しようが関係ねーだろ!」

「それが関係あるのよね。これでも私たちはこのお祭りの警備を担当してるのよ。だからこういうのは見逃せないのよねぇ」

「ウッセーな知ったことか。お前らが俺たちを相手に何ができるってんだ?あー?」

「さあ?どうにかできないこともないんじゃない?子供相手に多人数でしか相手にできないんだから」


ゆかた姿の女性二人に対して、何を勘違いしたか別の男がぐへへと笑いながらゲスな提案を仲間に持ちかける。

「よお、それよりこいつらからも頂いちまわねえ?こんな中坊を助けるんだから俺たちも楽しませてもらおうぜ?その格好であーんな事やこーんなことしてやっからよう!」

「あらやだ怖いですぅ、どうしましょう。お嫁に行けなくなっちゃう」


「あなたたち、ちゃんと助けてあげるから。怖いかもしれないけどじっとしてて?勝手に動かれるとあいつらがどう動くかわからないから。いい?」

怖がるそぶりも見せずにおどけるように言う山田と被害者に近づく立野。それを見た不良の一人が自分たちが無視されたと勘違いして怒鳴り散らす。

「おい!オメー何勝手に動いてんだよ、ヤっちまうぞ、あー?」

「そちらはどうですか」

「うん、なんとかなりそうよ」

「オメーラ!何こそこそしてやがるんだ!こっちこいや!」

山田の腕を掴む男を見て残りの不良グループも二人に襲いかかる、が

「そちらから手を出しましたね?正当防衛ということで私たちも」

「やっちゃいますか?」

「やっちまうのはこっちのセリフだオラー!」


そこからはもう勝負にならず、立野は相手の攻撃をさらりとかわすと勢いのまま壁にぶつけてさらに体重をかける。そこへ襲いかかってきた相手をかわすとサイドに回りヘッドロック!あまりの激痛に気を失ってしまう不良を投げ捨てる。山田は殴りかかってきた相手の腕を脇固めのように掴むとそのまま振り回してゴミ回収ボックスへ放り込み、もう一人を一瞬の間にバックへ回りスリーパーホールドで気絶させる。その時間わずか一〜二分、四人の不良グループは先程までの勢いもなくあっという間に動けなくなってしまう。もちろん過剰防衛と後から言われないように手加減するのも忘れない。


「今日のところはこのくらいで勘弁してあげましょうか、ちょうど警備の方もいらっしゃったようですね。それにしても全然練習のたしにになりませんでしたね」

「君たちもう大丈夫よ、ほら警備のおじさんが来てくれたわ」

「お姉さんたち、ありがとうございます。怖かったよー」


到着した警備員に今あったことを報告し、相手の方から手を出してきたので仕方なく対処したことを強調して、不良グループの引渡しと被害者を安全に本部まで送り届けること見送る。

「なんの手応えもなかったわね。さて、それじゃあ私たちも行きますか。どお、着崩れてない?」

「ええ、概ね大丈夫だと思いますけど、思った以上に動いたせいか少しヨレてる感じがしますね。一度着付けをし直してもらった方がいいかもしれませんね」


先程までの乱闘騒ぎを感じさせない様子で商店街を見回りながら本部へ向かう二人なのでした。

ベースボール・マガジン社 NOAHを創った男 を参考にしています

次話は8月15日を予定しています

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