表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/228

第17話

ヨシコさんで新技(?)の試しがけ?が落ち着くと、私にダブルアーム・スープレックスをかけたり私が立野さんにかけたりを繰り返して練習していきます。少し離れたところでは堀田さんがヨシコさんにコブラツイストをかけられていて、その姿を見てジャスミンさんが大笑いしています。何してるんですか堀田さん!それにしても器用だなー、ヨシコさんが本当に技をかけてるように見えますよ。


そんなことを横目に自分の練習をしていると

「次は私の番でいいわよね」

と工藤さんがやってきました。普段はやや控えめで自分から前に出てくることが少ないのに今日は率先して教えてくれるようです。


「私のはぶちかましをプロレスに応用してみるから、まずはこのマットをコーナーに立てかけてと」

と自らマットを持つので私も手伝っていきます。

「それから晶ちゃん、遊んでないで向こうの防具を持ってきてもらえる?」

とキビキビと指示を出していろいろと準備をしていきます。防具って使ったことないんだけど、それほど危険な技なんでしょうか。


堀田さんが持ってきたのは野球の審判やキャッチャーがつけるような上半身を覆うような、それでもっと分厚い防具を持ってきました。

急に物騒な緊張感が溢れる中、堀田さんに手伝ってもらいながらその防具をつけていきます。


「じゃあ晴ちゃん、そこに立って。ちょっと衝撃があるからしっかりと受け身をとってね」

そんなことを優しく言われても…だんだんと怖くなってきますが、そこは工藤さんを信じて。

お相撲の四股を踏んでから両手をマットに付き、ハッケヨイの勢いで私に向かってきます。両手を思いっきり突き出されたと思ったらドン!と体に衝撃があり、下から突き上げられたかと思うとすぐに背中にズン!と打ち付けられます。どうやらコーナーまで吹っ飛ばされてぶつかったようです。

「どうかしら?かなりのインパクトがあったと思うんだけど。ただタックルするだけじゃなくて押し飛ばしてみたんだけど」


コーナーに寄りかかりながら半分くらい何が起こったかわからない中、工藤さんが説明してくれてました。我に返ってもう一度技を受けると、やっぱりすごい衝撃でした。私の体格でこれがうまくできるかどうかわからないですけど早速練習していきます。


堀田さんは嫌々ながらも防具を外し自分に装着していきます。立野さんがそれを手伝っている間に工藤さんから技のかけ方とか体の使い方とかを教わっていきます。相手の近くで踏み込み、自分の両手がついたと同時に体全体を使って持ち上げるように突き飛ばす!のですがタイミングが難しいですね。工藤さんを相手に突き出すところを中心に練習していきます。


「まあそんなものかしらね、晶ちゃんの方も準備ができたみたいだし一回やってみましょうか」

工藤さんのOKが出たことですし、とにかくやってみてダメだったら見直すということで早速やってみようと思います。ちょっと堀田さん!胸元で十字を切って手を組まなくてもいいじゃないですか!

「いきます、せーのっ、よっ!」

という掛け声のもと、堀田さんに向かって突進します。タイミングを間違えないように体がぶつかったと同時に両手を突き出してコーナーへ向かって突き出す!......どうですか?


堀田さんはそこそこの力で飛ばされてコーナーにぶつかりそのまま座りこんでしまいました。

「うーん、ちょっと迫力が足りないかな?さっきの晴子は背中にワイヤーが付いててそれで引っ張られるようにコーナーにぶつかってたけどそこまでじゃなかったわね」

立野さんの意見に頷く工藤さんですが、堀田さんは大丈夫でしょうか。

「……あと5回までなら受けてあげるけど、次は綾ちゃんが受けてよね」

堀田さんにはそれなりにダメージがあったようです。


その後3回ほど繰り返すと私と堀田さんが体力的にギブアップしてしまったので一旦休憩となりました。山田さんは少しだけ残念な雰囲気を醸し出して次の準備に取り掛かっています。山田さんはあの技を受けてみたかったのかな?


「では佐藤さん、私がアームドラッグをかけますのでロープから走って来てください」

休憩が終わり山田さんがそう言って来たので、言われた通り山田さんに向かって走っていきます。そしてアームドラッグ!受け身を取るといきなり腕ひしぎ十字固め!

「いつもの練習ですとここではアームロックをかけるのが一般的ですが、それを十字固めにしてみました。佐藤さん、いかがですか?」

いかがも何も想定外でびっくりですよ!

「これはヒップトスの時でも応用できそうですよね。アームロックかと思ったら十字固めなんて、相手からしたら大変なことじゃありません?」

大変どころじゃないと思うんですけどやられたらびっくりするでしょうね。腕をさすりながらそう言うと、山田さんは素敵な笑顔で喜んでくれました。その笑顔が怖いです。


「今度は仰向けになって寝てください」

その通りにすると、山田さんが覆いかぶさってフォールの体勢になります。なぜか足ではなく左手を掴んでいます。

「ワン、ツー」

と立野さんがカウントを取り始めたので思わず右の方を上げます。そのタイミングで体を浮かせるとそのまま十字固め!

これはキツイかもです。フォールを解くのに精一杯な時だったら極まってしまうかもしれません。


「どうでしょう。こういう感じで技に入ることができたら、どのような窮地に立たされても逆転の可能性ができると思うんですよ」

やー、びっくりしっぱなしです。予想外のタイミングで一瞬で決められる技ができたらと思うと!たとえ決まらなくても焦ったり警戒してくれそうですね。関節技がここまで怖いものだと改めて思いましたよ。


「はいはーい!次は私ね、さっさと始めるわよー!」

異様に張り切ってリングに入って来たのは堀田さんです。やけに元気ですね。ずっと技を受けてばっかりだったからここでまとめて技をかけて憂さ晴らしかな?いやいや、そんなことする人じゃないか。でも両手をワキワキしながら私に詰め寄ってくるからそう思っちゃいますよ。

「さーて、今まで実験台になってたんだからその鬱憤を晴らさせてもらうわよ!さあ、かかって来なさい!」

やっぱりそうでしたか…。


「じゃあさー、とりあえす私を立ち上がらせようと近づいて来てよ」

と言うとうつ伏せに寝転がったので試合の時のように頭を持って立ち上がらせようとすると、逆に頭を掴まれてクルッと丸め込まれてしまいます。これはたまに堀田さんや宇野さんが使ってるスモールパッケージ・ホールドなのでそこまで驚くことはありませんが、不意を突かれると何が起きたかわからなくなりますね。

「これはブレーンバスターをかけられそうになったときの返し技で使う時が多いんだけど、こういう使い方もあるのよ」

同じ技なのに違う使い方があるんですね。それを知ってて使い分けてるなんて、さっきまでヨシコさんに技をかけられて喜んでいた人とは思えませんね。


「次はさー、とにかく相手の後ろを取ったらすぐにこうしちゃうのよ」

と倒れこみながら股の間から手を伸ばし太もものあたりを掴んで後ろに倒し、上から体重をかけられます。スクールボーイという丸め込み技だそうです。女の人が使ってもボーイとはいかに。

「ついでにオマケで。袈裟固めをされるとヘッドシザースで返そうとするじゃない?その時、その足を掴んでそのまま丸め込んじゃうのよ」

実際にかけられるとこれはすごいです。いつものクセで足を出したら丸め込まれちゃうんですよ。体が勝手に反応しちゃうから、わかってても防ぎようがないかもしれません。丸め込みと言っても色々な技の種類があって入り方があって単純だけど奥が深いですね。


「私もひとつありマスヨー」

ジャスミンさんも見ているだけじゃなくて何か教えてくれるようです。

「芹香ラオシー(※1)に教わたですネー。ヨーロピアン・アパカーいいマスヨー。知てマスカー?」

聞いたことがないので試しに受けてみることにします。私の後頭部を左手で掴み前かがみにさせると、右手のヒジの内側を胸元に向けて下から上へと打ち込まれます。上半身が持ち上げられるように体勢を崩されてしま売ってことは、強さや勢いによって倒れちゃうかもしれませんね。あっそうか、アパカーってボクシングのアッパーカットってことなんでしょうかね。


という感じでそれぞれ少しの練習ですぐに使えそうな技を教えてくれました。ちょっとだけですが強くなったような気がします。これで来週か再来週には松本さんに勝てるかもしれません。


「えーと、やる気を出してるところ悪いんだけど、まずはしっかりと練習して身につけないとね、いざという時にどうするんだっけ?なんていうのは格好悪いわよ?」

そうでしたそうでした。立野さんに言われて冷静になります。


「身につくまでは試合では使わないようにね。それとひな子にバレないように合同練習の時もなるべく使わない方がいいと思うの」

そうか、秘密で覚えたのに事前にわかっちゃったら意味がないですもんね。残念だけど仕方ないですね。

「その代わりと言ったらなんだけど、この時間の練習はもしばらく続けてこうと思うのよ、身につくまで時間がかかるし、ここでなら思いっきり試すことができるからね。ここでちゃんとできるようになったら試合で使ってひな子をギャフンと言わせちゃおう!」

ギャフンと言ってくれるかは疑問ですが、私が松本さんから勝つために皆さんが集まって協力してくれてるんですからね、しっかり練習していこうと思います。

「それまではスパーリング中でも試合中でも、このタイミングならこの技が使えそう!っていうシミュレーションをしていこうよ。それを練習に生かしていけば技の習得も早くなると思うわよ」

「そういう訳で私たちが教えてあげられることかこのくらいでしょうか?後は佐藤さんの努力次第ですね」


同期の皆さんがそこまでしてくれているわけですから中途半端にはできませんね。期待に応えられるように頑張っていきますよ!


(※1 老師と表記します 先生という意味で使用しています)

突然の訃報を聞いてびっくりしています

JEF千葉に、日本のサッカー界に多大な功績を残されたイビチャ・オシムさんのご冥福をお祈りいたします

Google翻訳を参考にしています

次話は5月15日を予定しています

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ