パーティ交流
すいません、明日の予約になっていました。
朝、か。昨日の修行はしんどかったな。体力もスタミナも全快しただろうが、だるさは残っている。
まぁとりあえず昨日しなかったステータスのチェックをしよう。
「差異表示」
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職業 :中級狩人《突撃槍と大盾》使いLv9
体力 :430
スタミナ:430
筋力/攻撃力 :290/550
耐久/物理防御力 :420/750
器用 : 340
敏捷 : 290
スキル :<槍Lv9><盾Lv14><大盾Lv9><突撃Lv3><回避Lv16><物理耐性Lv7>
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大盾スキルがかなり伸びたせいか、耐久がすごいことになっているな。確かに最後の方はダメージが減っていた気がする。しかし生身の方が鎧一式より防御力があるのはどうなんだ。そして敏捷マイナス分は盾スキルと回避で補えるのか。突撃も敏捷補正っぽいし、補って余りある感じなのだな。
「おはよう。」
「おはよう。」「おはようなのです。」「おはようございます。朝ごはんは少々お待ちください。」
食堂で3人に挨拶し、朝ごはんを待つ。しばらくするとネロが配膳を始める。
白米と味噌汁、それに鶏とキノコの炒め物だ。見たことのないキノコが使われている。熱帯雨林産だろうか、原色生々しくて非常に怖い。グラシアもキリンも疑問に思っていないようなので、この世界では普通に食べられている品種なのだろうが。
「「「「いただきます。」」」」
4人でハモって食べ始める。キノコは・・・元の世界の食材だとエリンギに近いような食感と味だった。
「今日は街でも見て回ろうか。たまには息抜きをしたい。」
というか修行後でだるいから今日は狩りをする気分ではないってだけだが。
「そういえば休息日って作ってなかったわね。今日はのんびりするのね?」
「今日は狩りはお休みなのです?ではキリンは装備の店を見て回りたいのです。」
よし、反対意見はないな。一日潰してゆっくりしよう。
「「「ご馳走様でした。」」」「ご馳走様。お粗末様。いってらっしゃいませ。」
食べ終え、ネロに見送られて外へ出る。
「いったん『狩人ギルド』内の雑貨屋に行こう。この国の地図を買いたい。それとこの街のどこに何があるかを大雑把に聞いておきたい。」
できれば世界地図も買っておきたいところだが。
「邪魔する。」「お邪魔するわ。」「失礼するのです。」
「いらっしゃいませニャ~。」
店員はネコミミの青年だった。背はほぼ俺と同じくらいか。ただし細い。
「この国の地図は置いているだろうか?それと回復薬の品揃えも教えて欲しい。」
「地図はあるニャ~。この国から外は書いてないけどニャ~、15,000ゴールドだニャ~。」
意外と高いな、
「少し負かったりはしないか?」
「これが正規値段だからニャ~。高いと思うかもだけどニャ~、その分情報は書き込まれているニャ~。」
「闇市とかに流れたりはしていないのか?」
「買った本人とそのパーティにしか扱えない魔法がかかっているからニャ~。そういう心配は無いニャ。」
流石はファンタジー。便利な魔法があるものだ。
「なるほど。それで、回復薬の方は?」
「ここで扱っているのは回復薬だけですニャ~。」
村から街に変わっても、別に品揃えが増えるわけではないのか。
「じゃぁ地図だけ頼む。支払いは登録証からの引き落としで。」
「毎度あり~だニャ~。」
受け取った地図を広げる。縦70cm横120cmくらいか。高いだけあってしっかりと地名や地形が書かれている。そして手を離すと自動で鞄に収納される。そういう魔法か。
「それとだが、この街の案内地図とか案内板とかはあるだろうか?」
「案内地図はタダで配っているニャ~。大通りの入り口に案内板もあるニャ~。はい、3枚渡すニャ~。」
案内地図をそれぞれ手渡される。さっきの国内地図と比べてずいぶんチープだな。まぁわかるからいいか。
「「ありがとう。」」「ありがとうなのです。」
目当てのものも手に入れたので、礼を言って店を後にする。
「さて、この地図によるとここから少し北が大通りの入り口だな。で、結構服屋が多いみたいだ。」
「装備屋じゃないのです?」
「防具として着るものじゃないのよ。鎧とかいつも着てると重いでしょ?街中だと物々しくなっちゃうし、普段は鎧とかローブ以外を着るみたいよ。」
そういえばグラシアもいつも鎧姿だな。
「とりあえず2人の服を中心に見るか。」
「エイのもちゃんと買うのよ?」
「ああ、わかってる。」
適当に大通りをぶらつく。3~4軒店を回り、よさそうなのを見繕って買う。いつもの装備はまとめて鞄に入れておく。なかなかいい買い物ができた。登録証残高は3人とも心許なくなったが。
そろそろ昼かと思った矢先に、遠くの方に昨日のカリオンのパーティの姿が見える。挨拶はしておこう。
「ちわ、カリオン。昨日ぶりだ。」「こんにちわ。」「こんにちわなのです。」
「ようA!丁度いいところであったな!とりあえず全員で飯でもどうだ?」「「「「ちわ。」」」」
断る理由がなかったので了承し、8人でだらだらと移動する。
「まぁパスタでいいだろ。この店は俺達の行きつけでな。」
そう言ってカリオンが店に入っていく。席について各々が注文する。
「俺はトマトガーリックチキン、大盛り。」「ミートソース大盛りで。」「キノコ醤油ってのをお願いするわ。私も大盛り。」「キリンはクリームソース大盛りがいいのです。」「厚切りベーコン入りペペロン大盛り。」「リーダーと同じトマトガーリックチキンで大盛り~」「ストロガノフパスタ、大盛り。」「同じくストロガノフ大盛り。」
料理が揃うのを待ち、
「「「「「「「「いただきます。」」」」」」」」
全員で食べ始める。
「さて、まずは自己紹介をしようか。俺はカリオン。中級ランク4、《両手持ち長剣》Lv9だ。」
思ったより高ランクだったようだ。上級少し手前か。
「儂はエンシード。中級ランク4、《メイスと中盾》Lv18だ。」
ペペロンチーノを頼んだドワーフだ。背はオレと同じか少し低いくらいだが、筋肉の厚みは比べるまでもないだろう。
「ヒスイよ。中級ランク3、《軽魔法師》雷Lv11。よろしくね~。」
トマトガーリックチキンを頼んだ美人さんだ。カリオンより少し低いくらいか。長身ですらっとしているが、胸がグラシアよりないかもしれない。
「エクレール。中級ランク3、《重魔法師》闇Lv10です。よろしくお願いします。」
「ルチア。中級ランク3、《剣と丸盾》Lv20です。よろしくお願いします。」
そしてストロガノフパスタを頼んだ双子?姉妹?の犬の獣人だ。シアンスロープという種族なのだとか。
ほぼキリンと同じ体格だ。
こちらのパーティも自己紹介をする。ランク1なことに驚かれていた気がするが。
「それで、カリオン。今度狩りに行こうといっていたが、よさげな依頼があったりするのだろうか?」
「そうそう、それだ。明日は牛祭りの予定なのは知っているな?Aのパーティ、パーティネームはなんていうんだ?と俺達【重雷】とで一緒に参加しないか?」
いろいろ知らない単語が聞こえる。疑問は1つずつ解消していこう。
「まず牛祭りについて教えて欲しい。オレ達はサイハ・テマエから出てきたばかりでここのことをよく知らないんだ。」
「サイハ・テマエ?」
「リーダー、辺境中央村のことだと思うわ~。」
ヒスイがカリオンに補足してくれる。やはり正式名称のほうはあまり知られてないのか。
「ああ、あそこか。なるほどな。なら説明するが、ここは牛を育てて乳を取ったり肉にしたりしているのはわかるか?」
「それは大丈夫だ。」
「それでな、乳用の牛は街で育ててるんだが。肉用の牛の育て方ってのが待ちの東の大草原に放して大きくなったら狩るというのなんだ。」
「ふむふむ。それで?」
「それでグラウンドホーンになってしまう可能性もあるので、時期が来たら狩人に頼んでるんだが。今年は5頭くらい発生したらしい。」
流石に群れで飼ったらそのうちの何頭かはエレメント吸うか。そして今年はそれが多いと。
「それをオレ達と一緒にやろうってことか。なるほど。それは願っても無いな。いい素材が取れそうだ。」
《カリウド》でもグラウンドホーンは優秀な防具の素材として使われている。
「お!やってくれるか。なら明日は頼むぜ~!」
「ああ。あとはパーティネームだが。それも知らないので教えて欲しい。」
「まぁパーティネームってのは『ギルド』に登録できる名前だ。それがあると指名依頼を受けやすくなるし、何よりわかりやすい。着けなかったら“Aのパーティ”とか呼ばれることになるんだぜ?」
今まではそれだったが、対外的に無頓着なのはダメか?
「中級以上のパーティはおおむねパーティネームを持っているもんだぜ?例外は英雄ゴルドンだな。あの人は死ぬまで独りで狩りをしていたらしいからな。」
ゴルドンはソロ専門だったのか。やはりすごい。
「じゃぁオレ達も付けるか。3人で相談して、決まったら教える。」
「おうよ!」
そのあとは少しゆっくりして、色々と話す。依頼期限はモンスターごとに決まっているのだが、それは上位の種族へ変異するまでの予想時間を素に決められているらしいこと。なので期限ぎりぎりになるに連れてモンスターが強くなること。中級以上のモンスターは1回変異しただけでとても厄介なものになることなどを知る。
「「「「「「「「ご馳走様でした。」」」」」」」」
2時間ほどたったので席を立って会計をし、店を出る。
「明日依頼カウンター前で待ってるぜ!」
カリオンがそう言い、そこからは別行動だ。
そのあとはパーティネームについて相談しながら、ショッピングを再開する。ほぼ見ることをメインにしていたが。
相談の結果、パーティネームは【平穏な日々】になる。2人からはあまりいい意見が出なかったのでオレの意見を通した形だ。
陽が傾いてきたので家に帰る。
「晩ごはんの前に盾を新調するわ。ついでに杖も作ってくるわ。」
グラシアがそう言い、工房に入っていく。しばらくすると新しい杖と盾を持った彼女が戻ってくる。
「エイ、キリン、どうかしら?武器盾表示、閲覧許可」
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装備
右手:重杖・フロッグタン(150)(水30)(240)
左手:魔鉄の闇盾(50)(30)(闇)
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なるほど、これは強いな。
「すごいな。これでますます魔法を安定して撃てるわけか。」「すごいのです!」
「ありがと!」
グラシアをもう少しだけほめて、家に入り、ネロの作った晩ごはんを食べる。
明日牛祭りに行く話をすると、肉がもらえるはずだからお土産を持って帰ってくるようにいわれる。
さて、風呂に入って寝よう。
「エイ、3人で寝たいのです。別にアレなことはしなくていいのです。」「せっかく広いベッドがあるのだから一緒に寝ましょ?」
2人にそういわれてしまったので、初日に使った寝室で寝ることにする。ここぞというときではないので寝るだけだ。