1.プロローグ
――時は23XX年
愚かな核戦争によって人類は滅んだかのように見えた。
だが、人類はしぶとく生き残っていた。
そんな廃墟となった世界にあるとある施設に一人の男が居た。
その周囲には夥しい数の死体があった。
男にはそれを可能にするだけの力があった。
生まれた時に施設で行われた人体実験によって男は核戦争により、汚染された地球の環境下でに適応出来る能力と強靭な肉体を手に入れた。
だが不運にも施設が襲撃者と呼ばれる、モヒカンでヒャッハーな存在に襲撃された事で崩壊し、男は命からがら逃げ出した。
しかし男の不運はそれだけに終わらず、ある時は狂った科学者に片腕をもがれ、サイボーグに改造された。
当然科学者は殺した。
またある時は頭のおかしい狂信者に脳みその一部を刳り貫かれ、念話や超能力が使えるようになった。
当然狂信者はひとり残らず住処の森ごと焼き払った。
さらに核戦争による放射能で変異した化物に体を改造され、食料が無くても光合成をしたり、自己再生をする肉体を手に入れてしまった。
当然化物は施設ごと皆殺しにした。
挙句今度はそんな希少な実験体と成り得る体を目当てに崩壊した世界で軍に追われ、キルレート1:500とかいうふざけた戦いの末に疲労で倒れた所を捕まった。
その結果軍の研究者に筋肉やら心臓やら脳やらを戦前の産物の核融合炉で動くように改造された。これで疲れ知らずだぜ、やったぜ。
言うまでもなく男は基地ごと軍を壊滅させた。
だけど、そんなもう人間と呼べないような男でも心は人間だった。
こんな境遇でも彼は一応根は善人で、人助けをしたり、この世界では基調な綺麗な水を施したりしていた。
当然自分に害をなす存在には容赦が無かったが。
――だが、そんな彼でもこれだけ色々と激動な人生を送ったため、もうなんかこう色々と疲れきっていた。
そこで自暴自棄になった彼は単身で、何でも願いを叶えてくれるという噂の旧時代の遺物、『願望機』と呼ばれる機械がある所へ向かった。
こんな世界からおさらばさせて欲しいという微かな願いと共に。
だが願望機なんてのは嘘で、襲撃者の一大グループがその情報に釣られたマヌケから金や装備を奪うための嘘だった。
それを知った彼が何をしたかは言うまでもないもないだろう。
結果、彼の周囲には夥しい数の死体の山が築かれたのだった。
「あー……もう何もかもどうでもいい。こんな世界から消えてやる」
疲れきった彼は願望機という名のただの核融合炉へ、自身のサイボーグ義腕から体内で精製した小型核爆弾を発射した。
直後、男の視界が真っ白に染まり意識が途切れたのだった。