Addition story
~ ベルちゃんの場合 ~
「ルシファー様、ただいま戻りました」
「ベルフェゴールか、どうであったか?」
「はい、私と同族と思われる者に出会いました」
「異なる世界にも我らと同じ種族がおったか・・・」
「それと・・・、ルシファー様と同等以上の力を持った男がおりました」
「我と同等以上か。ふっ、異世界は厄介な奴がいるな」
「その男は今、地球におります」
「何だと!?」
「まだ赤子の姿でしたので私の魅了魔法が効きませんでした」
「そうか。ではもうしばらく地球に残り、その男の動向を監視し我に報告するのだ」
「御意」
「ベルちゃん、何処に行っていたの?」
「ちょっと、御夕飯を食べにぃ。もう、お腹いっぱいよぉ」
「明日、英一君の家にお呼ばれしているんだけど、何を着ていったら良いかな?」
「裸でいいんじゃなぁい?」
「ひどぉーい、真面目に相談しているのに!」
「ごめんなさぁい、じゃぁこっちのワンピースを、ちょっと丈を詰めてぇ・・・」
「うん、うん」
「ちょっとどころじゃなく足をだして誘惑するのよぉ」
「ちょっと恥ずかしいな」
「下着はもちろん勝負下着よぉ!」
「英一君の家にはお父さん、お母さんと慶二君もいるのよ。勝負をするって雰囲気じゃないんだけど・・・」
~ エイチの場合 ~
「先生、起きたら急に「普通」にしゃべれるようになったんだけど、俺が寝ている間になんかした?」
「エイチくん、人工声帯なしでもお話しできるようになったんだ」
「先生が改造手術したんじゃないの!?」
「そんなことはしていません。身体が成長したんじゃない?」
「・・・犬は成長すると話ができるようになるって・・・聞いたことないんですが」
「そんなに気になるんだったらMRIでも撮ってみる?」
『宿主、私は反対です』
「誰だ!? 誰かが頭の中でしゃべっている?」
『落ち着いてください』
「うぉっ! 落ち着いた!?」
「・・・エイチくんはセラピー犬のお仕事で疲れているのかな?」
「違うんだよ! 先生! 頭の中に誰かがいるんだよ!」
「はいはい。とりあえず、これ何に見える?」
「うぅ、それってロールシャッハ・テストじゃないですか・・・」
「それからこの550の質問に答えてね」
「これってMMPIじゃないですか・・・」
「『あてはまる』、『あてはまらない』、『どちらでもない』の3択でいいから」
『宿主、私は『どちらでもない』と思います』
「俺は『あてはまらない』だ!」
~ Mitchell Albemarle Trumanの場合 ~
「さて、アルカディア国に帰ってきたが、ここからどうやって城に戻るかな」
「馬も馬車もカリーナの宇宙船に置いてきてしまいましたからね」
「空間転移ができる者が城まで行き、馬車を連れてきましょうか」
「ついでに義龍の鱗を持って帰るための荷馬車も手配しておいてくれ」
「あのぉ」
「ロウ殿下!? どうされました!?」
「ん? ロウ殿下? 次元転移したので同じ時間、同じ場所に戻ってきちゃった。気にしないで」
「それで、私たちに何か?」
「まずカリーナさんが皆を勝手に操っていたことを謝罪したいと・・・」
「・・・それはもういい。実のところ、今はカリーナの顔も見たくないのだ」
「あ、まだ怒っていますよね? ミッチーさんにとってはついさっきの事だし」
「ん? ミッチー・・・さん?」
「あ、気にしないで! それと宇宙船に残していた馬と馬車を返しておきますね」
「・・・すまないな」
「いえいえ、当たり前のことですから」
「ロウ殿下は魔王を倒し、カリーナに操られていた私たちを解放するために勇者王を連れてきてくれた。感謝することばかりだ。だがカリーナは・・・」
「感謝なんて、当たり前のことをしただけですからいいんですよ」
「勇者王もカリーナのことはロウ殿下に任せるとおっしゃっているので私たちもそれに従うつもりだ」
『宿主、この星でしばらく過ごして皆が落ち着くまで時間を空けよう』
(そうだな、その間に義龍の生息地調査でもしようか)
『了解、宿主』
「じゃ、そういうことで。また来るよ」
「・・・またって、すぐにここに来られるのですか?」
「う。しばらくしたらまた来るよ。そのときはお城に訪ねるから」
「判りました。衛士に言っておきます」
「では、またなー!」
~ 田辺慶二の場合 ~
「勇者王様・・・」
「む? おぉ大次郎殿か」
「この度はありがとうございました」
「大次郎殿は、覚えておらんと思ったのだが・・・」
「カリーナさんや虹の彼方に話を聞きました」
「そうか、それでどうしたんだ?」
「お礼とお願いがあってやってきました」
「礼なら無用だ。私の方こそアルカディア国の民を助ける機会を与えてくれて感謝している」
「そう言っていただけると僕も助かります。ありがとうございました」
「私も大次郎殿にはお願いがある」
「え!? ど、ど、ど、どんなお願いなんですか?」
「うむ、大次郎殿が使っていた次元転移魔法。あれを伝授してもらいたい」
「はぁ?」
「次元転移ができれば自由にアルカディア国に出向ける。覚えておきたいのだ」
「勇者王様は自由に冥界へ出入りできるのに次元転移ができないのですか?」
「冥界には次元転移をして出向いている訳ではないからな」
「はぁ」
(虹の彼方、どうする?)
『次元転移は魔法ではなく「次元転移装置」が必要じゃからなぁ』
(勇者王に宿るか?)
『勘弁してくれ!』
(仕方ないな、カリーナさんにお願いして作ってもらおうか)
「あの、勇者王様。次元転移の伝授はちょっとお時間をいただけませんか?」
「ふっ、今は赤子の身だから時間ならたくさんある。よろしく頼む」
「それで僕からのお願いなのですが・・・」
「うむ。聞こう」
「まず地球人として転生していますから、勇者王様は地球人として成長していただきたいのです」
「ほう」
「地球人は魔法を使いません。魔獣も召還しません。特に金愚義龍なんて怪物は地球にはいませんから、絶対に呼び出さないでください」
「ふむ」
「お父さん、お母さんの言うことをよく聞き、幼稚園、小学校、中学校と学校に通って普通の地球人として、この生涯を過ごしてください」
「・・・判った」
(ほっ、よかった。判ってくれた)
『この勇者王はとりあえず「判った」と言っているだけと思うぞ』
(そうかな?)
『保険をかけておけ!』
「このお願いを聞いていただけるなら次元転移を伝授いたします」
「ふむふむ」
「もし勇者王が僕のお願いを聞いてくれていないのが判ったら、次元転移を取り上げちゃいますからね!」
「大次郎殿、魔法を使わないと約束すると次元転移魔法も使えないではないか」
「だから、その、次元転移は魔法じゃなくて・・・その・・・魔道具で行うんです!」
「ほほう」
「だから、地球で魔法を使わないでくださいね! もし魔法を使ったら次元転移の魔道具を取り上げちゃいますから、お願いしますよ!」
「あい、判った」
(早急に次元転移装置を作ってもらわなくては・・・)
『この勇者王には監視を付けていた方がいいからな。その辺も加味して御嬢に作ってもらおう』
~ 田辺久作の場合 ~
「あなた! 慶二が埃だらけじゃないですか! 何をしたんですか!」
「俺は何にもしていないぞ! 英一じゃねーのか!」
「俺は慶二の部屋にすら入ってねーしっ!」
「兎に角、服を脱がせてください! あなたは慶二をお風呂に入れてください!」
「たまには英一が弟を風呂に入れてみようか」
「なんで俺が!? 片手で慶二の耳を塞げねーし」
「片耳ずつ塞げばいいだろう、体はガーゼで撫でるだけでいいから」
「面倒くせーっ」
「ほら、近い将来のために練習しておけ!」
「なんだよ、それ」
「ほら、けいちゃんも気持ちよさそうだぞ」
「けいちゃん、お兄ちゃんでちゅよ!」
「お、けいちゃんもニコニコしているぞ」
「けいちゃんはいい子でちゅねー」
「おい、英一。赤ん坊に赤ちゃん言葉で話しかけるのは教育上、良くないんだぞ!?」
「いーじゃねーか! 細かいこと、言うなよ!」
「怖いお兄ちゃんでちゅねー」
「オヤジだって赤ちゃん言葉じゃねーか!」
「・・・慶二の前ではもっと丁寧な言葉を使えよ!」
「・・・けいちゃん、今日も可愛いよ」
「慶二は天使みたいだな」
「お風呂から上がったら体をよく拭いてベビーパウダーを叩いておいてね!」
「オヤジ! そんなに厚くベビーパウダーを叩いたらダマになるだろ!」
「英一、うっさい」
「もっとけいちゃんを大事にしろよーっ!」
(兄様、私をいつも大事に思ってくれていて感謝している)
「ん? オヤジ、なんか言ったか?」
「言ったよ。英一、うっさいって」
~ 天野大次郎の場合 ~
「大次郎さんは虹の彼方を宿しているのですから、旅をする上でガイドをしていただかないと」
「カリーナさんにとっては僕はガイド兼お弁当ですか・・・」
「植民地にしていた星々の独立を認め、平和条約を締結して・・・」
「女王様はお忙しいですね」
「あら? ヤキモチですか?」
「いいえー。僕はフツーですよ、フツー」
「各星の農産品や工業製品を私たちが運んで、報酬として生命エネルギーを分けていただく。星々も輸出入で助かる、私たちも助かる、みんなで幸せになれます!」
「カリーナさんの星は海運国家になるのですね。無駄に愛をふりまいて生命エネルギーを搾取するんじゃなくて良かった」
「大次郎さんはヤキモチ焼きですね」
「いいえー。僕はフツーですよ、フツー」
「ではツンデレですか?」
「僕はフツーです、フツー」
「ふふふ」
「しかし、ミッチーさんたちがまたSword & Protective gear systemを装着して、僕らの護衛をしてくれるとは・・・」
「アルカディア国は兵士を貸し出して報酬を受けたいそうです、ちょっとした傭兵国家ですね」
「・・・お付きの人たちがいなければもっと身軽に輸出できるのでしょうが」
「まぁ私たちが最初の雇用主として、星々への売り込みに協力してあげましょう」
「マミさんたちを操っていた罪滅ぼしですか?」
「そうですね。これだけで許されるとは思っていませんが」
「兎に角、僕はちゃっちゃと条約を結んで早く地球に帰りたいです」
「あら? どうして?」
「地球の時間は止まったままでしょ? 早く帰らないと、僕だけ年を取っていってしまうから月曜日に会社へ行ったとき、地球時間で1日しか経っていないのにおじいちゃんになっちゃってるよ! そういう事態は避けたい」
「帰らなければいいじゃない」
「そんなことしたら、次元転送装着がいつまで経っても手に入らず、イライラした勇者王が暴れちゃうかも知れないでしょ!?」
「勇者王に暴れられると地球は滅亡してしまうかもしれませんね」
「でしょ!? だから早く地球に帰りたいんです!」
「大次郎さんが地球に帰らない限り、地球の時間は止まったままですから、勇者王は暴れませんよ。ゆっくり旅をしましょう」
「だから! ゆっくりしていると僕がおじいちゃんになっちゃうから・・・」
「もう到着する頃ですから、そろそろ正装に着替えましょうか」




