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>五月雨の少女⑥<
インターチェンジに向かう道の最後の交差点に差し掛かった時だった。
左右から装甲車が走ってくるのが見えた。
「(やっぱり5台いたんだ!!!!!!)」
彼女は更にスピードを上げて、装甲車が十字路に到達する前に交差点を走り抜けた。
通過後に後ろを振り返ると、2台が追ってきていた。
正面にはもうインターチェンジに分岐する道が見える。
「(間に合え…!!!!!!)」
俺は振り落とされないように、彼女に必死でしがみついていた。
ふと、彼女の鼓動が腕を通して伝わってくる事に気付いた。
彼女の心臓はかつて経験した事の無いほど強く、速く脈打っていた。
彼女の感じる恐怖心を直に感じた気がした。