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>五月雨の少女④<
俺は左手首を掴まれ、気付けばバイクの後部座席に乗せられていた。
「掴まれ!!!!!!」
装甲車との接触の瞬間、彼女はバイクを地面スレスレまで倒して旋回し、門壁と車の僅かな隙間を抜けて装甲車後方へと出た。
この時彼女にしがみついてなかったら、俺は振り落とされ装甲車に切り刻まれていただろう。
あの空間で見た死体のように。
少女はバイクをものすごいスピードで走らせた。
雨を痛いと感じたのは初めてである。
「どこに行くんです!?!?!?」
俺は精一杯の声で叫んだ。
「ーーーーー!!!!!!」
彼女はヘルメットを被っていて何を言っているか聞き取れなかった。
その約20秒後、後方から再び装甲車が追ってきた。
車体の右側が凹んでいるのでおそらくさっきの装甲車である。
彼女はヘルメットのシールドを上げると叫んだ。
「高速に乗る!!!!!!インターチェンジはどこだ!!!!!!」