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>五月雨の少女②<
「お前はまだ爽やか爽やか言ってんのか…」
俺の爽やかな朝がこの男、盛内碧によって崩された。
「なんだ?爽やかって。」
「こいつ一週間ぐらい前から爽やかがマイブームなんだってよ。」
「お前に爽やかなんて言葉似合わねーよ。」
取海啓介は俺に向かって言った。
「失礼な。」
俺たち3人は傘をさして歩道橋の上を歩いていた。
「なんだ?あの車…」
取海が指さす方向を見ると、黒塗りの、まるで装甲車のようなゴツい車が5台連なって走っていた。
「珍しい車だな。」
俺たちは車にもミリタリーにも詳しくはなかったので、感想はそれだけで終わってしまった。