2/11
>扉の向こう<
俺はしばらく呼吸をする事を忘れた。
扉の向こうの世界に一瞬で魅力されていたのだ。
それはまさしく『混沌』であった。
光と影が、暖と寒が、喜と悲が、鮮明に、また朦朧と渦を巻いている。かつてこんな風景を俺は見た事があっただろうか。
鳥肌が立ち、恐怖心と好奇心がぞわぞわと俺の全身を巡った。
「なんなんだここは・・・」
無限に広がるその空間に、俺は足を進める。
無音。360度、巨大な渦が蠢いてるというのに全く音がしない。自分の足音すらも聞こえない。
そんな不気味な空間を、ひたすらまっすぐ歩いた。
すると、遠くにある物を見つけた。
「なんだ・・・?遠すぎて何なんだかわからない」
俺はそれに向かって足を速める。
物体との距離が縮まっていき、徐々にその輪郭がはっきりしてきた。
「・・・・・・!!!!!!」
その物体の正体に俺は驚愕した。