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別離の花(仮タイトル)  作者: 小松菜大佐
1章 一人歩む『傲慢』
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7話

不慣れすぎる戦闘描写 内容ペラペラ丸ですな。


また、とある小説の影響で地の文の厨二要素が濃くなった気がする(^ω^)

 街路を疾走し続けていたノドカであったが、視界に映る人の数が増えてきたと思ったら、その場の人間の数人がこちらに向かってくるようになった。


 一度包囲され、なんとかそれを突破したものの、


(……また、来た)


 再び現れた武装した人間達に、ノドカは囲まれたのであった。


 数は5人。剣を持つ鎧を着込んだ人間が2人。槍持ちが一人。魔法使いのような格好をした人が二人だ。


 まず剣を持った二人が突撃してくる。腰に挿した剣は構えず、盾のみを構えている。

 先の集団はどこか迷ったような動きをしていたが、目の前の者達は迷いが見えない。一度に複数人来ている所からも、全体を指揮する人間がいる可能性が察せられた。そこから、自分を攻撃する許可が降りたのだろうか。


 一人がまず正面切って飛び込んでくる。もう片方は後ろを取るつもりか、視界から右方向にフェードアウトしていった。


 相手は二人共背が高く、背伸びをしたって、シークレットブーツを履いたってまるで届きそうにない。頭が2つ3つ足らないだろう。それが身の丈に似合った盾を構えているのだ。ノドカにとっては殺傷力すら認めそうになるほどの、十分すぎる脅威であった。


 しかしここで足を止めている訳にはいかない。ノドカの脳内には、常にあの少年の涙が浮かんでいた。あの絶望に滲んだ声色が、ぐしゃぐしゃに歪んだ顔が、ノドカの背中を強く押す。


 盾の一撃が近づく。それを走った勢いそのまま、思い切り両足で蹴り飛ばした。


「――――ッ」


 ゴィィン、と鈍い音が鳴る。同時に裸足である足の裏から鈍い衝撃と熱い痛みが、足の裏から、脛骨を伝い、下半身全体へと伝わっていく。痛みこそひどかったが、相手の勢いを止めることはできた。


 ヒリヒリする足で着地し、再び視線を相手に合わせる。


「むっ……」


 相手は無理矢理動きを止められ、僅かに怯んでいた。


 ノドカはそれを見て、追撃するでもなく右に移動する。男はすぐさま反応し、止まった足を無理矢理動かし、体をノドカの正面に移動させた。


 予定通りだ。剣を抜かない辺り止めることが目的だろうから、体を投げ出してでも自分の正面に立つだろう。ならばとばかりにノドカは踏み出した右足を軸に、少し前のめりになった男の足首を内側から蹴り飛ばす。足甲の上からでも構わない、外傷を与えることが目的ではないからだ。


 再び鈍い音が鳴る。激痛が走るが、ノドカはまるで感じていないかのように表情を変えない。そのまま足を振り抜く。


「ぬおっ!?」


男は驚き混じりの悲鳴を上げた。いくら大男とは言え、その身に纏うのは見るからに重そうな金属製の鎧。それを着込んだ状態で身を投げ出せば、どちらかの足に体重が偏る。後はそのどちらかを刈り取ってやれば――今回は飛び込んで来たから内側から押してやった――体勢を崩させることくらい造作もない。


 男は裂けんばかりに股を開き、その場に座りこんだ。まず一人を無力化。その体を足場にして飛び越える。悲痛な声が真下で聞こえたがそれは無視、これで後ろから来ていた男の接近も止めた。


 続いて槍使いの男が接近する。槍は刃が取り外され、只の長い棒となっている。


「ッ、フッ、フッ!」


 鋭い息遣いと共に放たれる、素早く正中線を通った喉、鳩尾、腹を捉える三撃に、ノドカも後退を余儀なくされた。あまりにリーチが違い、また下手に受けるとナイフを弾き飛ばされてしまいかねないと思わされる程、その槍の一突きは鋭かった。


 右に、左に、体の中心を左右に振りながら、座り込む男を中心に時計周りに動きつつ、後退を続ける。


 ここで、後ろから来ていたもう一人の男が接近してくる。完全に挟み込まれた形となった。加えて、忘れそうになる二人の魔法使いの方を見ると、黄色の魔法陣を展開していた。バチッ、バチッと甲高い音が鳴り始める。

 僅かに発せられている稲光を見るに、あれからは電気が発生するのだろうか。規模が小さいから、力をある程度抑えているのだろう。死ぬことはないにしても、悠長に構えていれば、魔法に絡め取られて終わりだ。


「……シッ!」


 ある程度で槍使いが距離を取ろうとしたのか、大きく一歩踏み出した突きを繰り出した。

 その時、ノドカの脳裏に閃きが走る。

 後退を続けていたノドカはそこで急停止。バク転をすると同時に槍を蹴り上げた。


「なッ――――!?」


既に体を引いていた男は抑え込むことができず、槍を浮かせてしまう。ようやく持ち直す頃には、ノドカはその持ち前の健脚をもって懐に入り込んでいた。


 槍は暴風のような制圧力を持つが、それは自由に動かせることを前提とした話であり、一度懐に踏み込まれるとその威力を失ってしまう。まさに男はその状況であり、思い切って槍を捨てる判断をするも時既に遅し。ノドカは男に組み付いた。


「捕まえたぞッ!」


しかしまだ後ろの男が残っている。加えてノドカは今男を掴み両手がふさがっている状態であり、反撃することはできない。男はそれを見て、面倒事がようやく片付いた、という思考が目に見えるような、呆れの中に安堵が垣間見える笑みを浮かべた。


「…………」


 対してノドカは、男の接近をまるで気にしていないように体を持ち上げ、槍使いの男の首に足を絡ませ、おんぶのようにして抱きついていた。そして一気に自分ごと、男を後ろに引き倒す。


 ちょうどそのタイミングで、ノドカの背中に男の手が直撃した。突然倒れ込んできた為、男はノドカを掴み損ねる。そこで僅かに勢いが削がれ、ノドカは一瞬だけ体を動かす自由を得た。


「むっ……!?」


 男が突然の出来事に困惑し、呻くような小さな声をあげる。そこでノドカは槍使いに組んでいた足を離し、体を返してその男の肩に手を伸ばした。

 しかと掴み、男を軸にして半回転。その後ろ側に回って着地する。


 ちょうどその位置は先に体勢を崩し、重量もあってようやく立ち上がろうとしている男との間に挟まる形であり、また二人の魔法士の射線を鎧を着た男二人でちょうど遮ることができる位置であった。


「なっ……にっ……?」

「くそっ、魔法が保たないッ……!」


魔法士二人が、まさか突然射線を遮られるとは思っていなかったのか集中を乱してしまう。その結果、魔法陣が儚い音を立てて砕け散った。不発に終わったようだ。


「…………」


後は岩場を流れる流水の如く。一人はしゃがみ、一人は後ろを取られ、もう一人はまるで手が届かず。固まる魔法士二人は魔法の展開が今更間に合う訳もなく。

 ノドカは男を掴んでいた手を放し、体勢を低くして、打つ手のない者たちの間を悠々駆けていく。いち早く反応した槍使いの男が、横を行き過ぎるノドカに手を伸ばすも、それも虚しく空を切った。

 蛮勇と呼ばれた少年の進行を止められる人間はもういなかった。



 迫る人影を背負いながら、ノドカは真っ直ぐ前を見つめた。


 最早眼前は現世にあらず。


 ノドカの視界には、劣化したアスファルトの道路、古びたビルの間に挟まれるにはあまりにミスマッチな魑魅魍魎が収まっている。

 異形の化物共がうじゃうじゃとひしめいていて、底なしの闇が目の前で形を成し、大口を開いているような、惨憺たる光景が広がっている。


 それに相対したノドカは、確かめるようにナイフを順手に、そして再び逆手に持ち替える。

 見据えた視線にブレはなく。

 運ぶ一歩に、躊躇いはない。

 

 大きく、その小さな足を踏み出していく。


今日のノルマ達成。


閲覧が順調に伸びてて嬉しいです。

一名の評価してくれた方、本当にありがとうございます。


これからも精進(という名の厨二病熟成)に励んでいきますので、今後共よろしくお願いします。

また感想誤字脱字ご指摘など、随時お待ちしております。こちらもお願いいたします。

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