2話
無理矢理空白の段を作ってみました。
ちょっとは見やすくなったかなあ。
一つの星があった。
その中では、純血と言えば聞こえのいい、ただの人間。
動物の血が混じった獣人。
神話のユニコーンの血を引くとされるヒューコーンや、伝説上の動物、麒麟の血を引くジルフィルトなどの優良種と呼ばれる者達。
数えると両手では足らない程の人種が共存していた。
時々人種間での価値観の相違、宗教の問題などからいざこざが起きたりはするものの、それでもいつか矛を収めて、平和に暮らしていた。
また、世界には魔法と科学が共存していた。それらは互いを助け、また高め合い、人々はその技術の恩恵を受けて豊かな生活を送っていた。
そう、過去の書籍には記されている。
しかし、その自然に揺れる水面のような平和の中に、一つ小石が投げ込まれた。
突如現れた、謎の生命体。後にグールと呼称されるそれは、影を型に嵌めて引きずり出したような真っ黒な風貌をしていた。
それは人間を喰らう怪物であった。
続々と数を増やすそれに、只の人間には為す術もなく、優良種もその圧倒的な数に押されて、抵抗虚しくグールに捕らえられていった。
その中で、グールについて判明した事を挙げるとすれば。
実体を持ってはいて、対処する手段はあるということ。
ターゲットは人間だけでなく動物であることもある、ということ。
種類は多くあり、未だ対策の組みあがっていない個体もあること。
そこにいなくても、突然現れることがあること。
自分達に不利なことばかり判明するのは、なんと皮肉なことか。
閑話休題。
グールは勢いそのまま、その制圧領域を爆発的に拡大した。
対して人間の居住範囲は減少の一途を辿り、絶滅の一歩手前まで追い込まれる。運良く生き残っていた人類は、巨大な島『フェルニア島』へと逃げ込んだ。
しかしそこでもグールの襲撃に遭い、人類は散り散りになってしまう。結果、小規模の人間が身を寄せ合い、無人となってしまった建物を住処とした集落が作られ、結果その島の各地にいくつかの集落が作られていった。
時が経ち、集落は集まった人間の特徴が反映された都市へと成長した。活動を継続している都市全てを統治するべく発足された臨時政府は、まず混乱によって断たれた、各都市を繋ぐライフラインを再構築。社会人を活動維持の為の食料確保、居住場所の建築など様々な場所に振り分け、この状況からの脱却及びグール討伐、ひいては世界の解放へと赴く為の地盤を作った。
それぞれの地区に住む多くの住民もそれに賛同し、というよりは流されるように行動を開始。壊滅的な打撃を受けた技術関連の文明レベルは数世紀を跨ぐ程に後退し、作業は難航したが、元から金属や森林など資源が多く存在しており、また科学と違い口頭で受け継ぐ事ができる魔法は絶えず、それを応用することで数年掛けようやく、混乱は収束した。
そしてグールの接近に怯えながら、長い時が流れる。
活動を継続している都市の中の一つ、カルガード区。
それはフェルニア島の中で西端、臨海部に位置する一つの都市である。特徴としては全ての都市の中で最もグールの生存領域に近い場所に位置していること。そして活動都市の中では最も規模が大きいという事がある。
その規模の理由として、まず一つ、グールの再度の侵攻があった際、間違いなくここが最前線となること。
二つ、近いうちに訪れるフェルニア島解放戦の足がかりとなること。
そして三つ目、『前時代の遺産』と呼ばれる、技術退行以前に開発されていた銃器や薬、義手義足、果てにはアンドロイドなどが海岸に流れつくことがあること。その研究をする為にも、最新の機器と研究員がいるのだ。
結果、ここは魔法と科学がバランスよく成長した街となった。
その中の、カルガード区総合病院で、物語は始まる。
設定をちょくちょく変えているので、誤字がひどいかもです。ご指摘いただけたら幸いに思います。
あと多分ジルフィルトとか出な(殴