表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/146

(48) 点数

 すべてがすべて上手うまくいくもんじゃない・・と邦夫は思った。今日の数学のテストは残念ながら65点だった。去年の算数のときは80点だったから随分、成績は下がったことになる。これでは母さんには見せられない…と、邦夫は瞬間、感じた。なぜ下がったのか・・と、邦夫は巡った。やる勉強は小学校のときと同じようにやっている。それには自信があって、今後も続けていくつもりでいた。戸山先生は点数はどうでもいいって言ってたけど、母さんには通用しないな…と邦夫には思えた。邦夫は子供部屋の勉強机で思いふけった。

 数学教師の戸山がクラス全員に話していた。

「お前たちに言っておく! 点数なんぞで、くよくよするな! 満点でも零点でも先生は、いいんだ。ははは…、まあ、零点は少しまずいがな!」

 その言葉で教室内は笑いの渦となった。

「まあまあ、おさえて抑えて…」

 戸山は騒然とした雰囲気をしずめようと両腕で制した。少しして、教室内に静けさが戻った。

「出来るに越したことはない。しかし、出来なくてもいいんだ。考えることが大事なんだ。考えることが、社会へ出たときのいい肥やしになる。要は脳を鍛えること! それが大事だということだ。頭、頭!!」

 そのとき、邦夫は急に手を上げた。

「先生! 頭は鍛えられるんですか? アホはアホだと思うんですが…」

 ふたたび、教室内はドッ! と笑いの渦になった。邦夫は、なぜ皆は笑うんだろう? と不思議でならなかった。

「邦夫、先生が言うのは、な! 点数はどうでもいい、ということだ。そりゃ、アホはアホだからどうしようもないさ」

 教室内の笑いの渦はいっそう増し、騒然となった。

「よし!! 終わり、終わり」

「先生! 僕は出来なきゃ困るんです! T大に入らないとママに怒られます!」

 突然、立ち上がった秀才の功太が叫んだ。

「それは、それでいいんだぞ、功太。出来るに越したことはない、と先生、言ったじゃないか、ははは…」

「起立!!」

 クラス委員の実が颯爽さっそうと立った。それに釣られ、全員が立った。

「礼!!」

 戸山も礼をすると教室を出ていった。

『邦夫! ごはんよ!』

 遠くから母親の沙代の声がした。

「はぁ~~い!!」

 まあ、先生が言った通り点数は関係ないって言うか…と、邦夫は舌を出して立ち上がった。


                   THE END

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ