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(46) 風邪 

 今年こそ勝つぞ…と元気は思った。名前はいいのだが、毎年、寒いこの時期になると必ず風邪をひき、全敗の元気だったからだ。かといって、虚弱体質ではない。というか、体格は小学二年のクラスでも群を抜いた健康優良児で、ダントツ[断然、トップ]の一位だった。その元気が風邪には、からっきしなのだ。

 クリスマスがひと月ほど先に近づいていた。元気が密かに思い描いた今年のサンタへの願いごとは風邪をひかないようにしてもらおう・・というものだった。形がないものだから、サンタが果して自分の願いごとを聞いてくれるかは不確かだったが、それでも元気はその願いごとにしよう・・と決めていた。

 クリスマスが近づいた中旬、ママの恵美が例年のように、それとなく元気にたずねた。

「今年は何をお願いするの?」

「んっ? ああ、クリスマス? 今年は何もいらないんだ」

「えっ!? どういうこと?」

「物じゃないの。風邪をひかないようにしてもらおうと思うんだ」

 恵美は困り顔をした。パパの義則が会社への出がけに聞いとけよ・・とささやいたのだ。恵美は内心、弱ったわ…と思った。恵美は会社帰りの義則にそのことを話した。

「そうか、風邪をひかないようにな…。確かに難しい。よし! 俺から、それとなくいてみよう」

 鍋を囲んで家族三人の夕食が始まった。

「クリスマスだな。元気は何が欲しい?」

「今年は何もいらないんだ。風邪をひかないようサンタさんにしてもらおうと思って…」

「そうか…難しい注文だな。サンタさん、聞いてくれるといいな」

「うん!」

 クリスマスイブが巡り、次の日の朝になった。元気のベッドの上には銀リポンで飾った赤いサンタ靴が置かれていた。中を確かめると、一枚の紙と手作りの小さなおふだ、それにクリスマスチョコがひと箱、入っていた。元気は、お札? と首をかしげながらそれらを出した。紙には、『風邪かぜ退治たいじ。このお札を肌身はだみはなさず、もっていなさい! サンタより』と書かれていた。

 元気は、ふ~ん…とチョコ粒を箱から出し、口へ放り込んだ。

 その後、元気は紙に書かれたように、そのお札を肌身はなさず持つようにした。すると不思議なことに、その後、元気は一度も風邪をひかなくなった。


             THE END

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