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(43) 贋(にせ)のもの

 二人は美術館にいた。まばらな入場者達が絵画を観ながら、ゆったりと巡っている。その流れに沿って、少しづつ二人も流れた。

にせものと贋のものとは違いますよ」

 唐突に山崎が言った。

「はあ…」

 田辺は入場券を支払ってもらった遠慮からか、聞く人になっていた。

「贋のものは本物もあり! なんです」

「はあ…」

「それに比べ、贋ものは贋もので、贋ものです」

「はあ…」

 哲学的なことを諄々(くどくど)、講釈をれる山崎に、田辺は辟易へきえきとしていた。

「あの…贋物ガンブツは、どうなるんでしょう」

 田辺が唐突に山崎へ迫った。

「…が、贋物ガンブツはガンブツでしょう…」

 即答で返せず、山崎は言葉に詰まった。二人はゴーギャンの油絵の前で立ち止まった。

「私達は、どこから来て、どこへ行くんでしょうね…」

 山崎は知識を披歴ひれきして、少し自慢げに言った。田辺に絵の知識は、まったくなかった。

「えっ?! …」

 山崎はゴーギャンの絵を指さした。

「ああ、この絵が、ですか…。さあ…、来たところも分からないんですから行くところも分かりません」

 田辺は素直に答えた。

「…」

 山崎は返せなかった。自分にしては、よく出来た返答だ…と田辺自身にも、思えた。


                THE END

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