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(42) 人材あります![7]

「なぜあなたに側面がないのか、俺にはよく分かりません? まあ、それはおっつけ聞かせていただきます。あっ! 明日は無駄な動きになりますから、車で動かれない方がいいですよ」

『それが出来ればいいんですが…。今も言いましたように、私は過去のあなたなんです。いわば、あなたの過去で生きる氷上の映像です』

 戸倉の過去の分身は動きを止めず、いつの間にかキッチンのテーブル椅子に移動してワインを傾けていた。もちろん戸倉もピッタリと男に付いて動いていた。男はくつろぎ、戸倉は疲れていた。昨日の俺は楽なんだな…と戸倉は、今の自分が馬鹿馬鹿しくなった。

「あなたはアチラではどういう暮しをなさってるんですか?」

『一日遅れですが、今のあなたのワンランク上の生活です』

「ワンランク上?」

『はい。ちょっと分かりにくかったですかね。つまりつまんで申しますと、あなたがB級グルメを堪能たんのうされているとき、私はA級か超A級グルメに舌鼓したつづみを打っていると・・まあ、そんなところでしょうか』

「ああ、なるほど。そう言ってもらえれば、俺にも分かります」

 道理で俺より上品なはずだ…と、戸倉は納得した。

『あっ! このワイン、美味ですね』

「安物ですよ」

『そうですか? 高級ワインより返って美味なのは、なぜなんだろう…?』

 異次元の戸倉はグラスに残ったワインを味わいながら首をひねった。

 戸倉には少し嫌味に聞こえたが、穏やかながらも自分の声だったから、余り腹は立たなかった。

『あっ! もう、こんな時間か。そろそろ消える時間だ…』

 腕時計を見ながら、戸倉の分身はつぶやいた。

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