表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/146

(37) 話

 日曜日、学校は休みで、のんびりしようとしていた矢先、母に言われた友樹が家の前を掃いていると、偶然、幼馴染おさななじみの幸弘が自転車で通りかかって停止した。

「そら…あそこの獄城たけしろさんが亡くなったって、知ってるかい?」

「いや、…そうなんだ」

「さっき、霊柩車が火葬場へ向かったところさ」

「ふ~ん。そりゃ、お悪いことができて…」

「ごめん、悪いこと聞かせたな」

「謝ることじゃないけどさ。よく知らない人だから…。僕は人に悪い話はしないんだ…。聞いた方は余り気分よくないだろうし…」

 友樹は掃く手を止めて、そう言った。

「ああ、そうだね…」

 幸弘は友樹に合わせた視線を落として地面を見た。

「子供の僕が言うのもなんだけど、どうせ、短い一生。せっかく出会ってさ、お互い、少しでも気分よくなりたいじゃないか。そうは思わない?」

「話す内容か…。確かに、そうかもな」

「世の中よくするのは、そんな些細ささいなことかも知れないよ」

 友樹は笑顔で幸弘を一瞥いちべつすると、ふたたび家の前を掃き始めた。その瞬間、雲の切れ目から日がかすかに射し、辺りは明るくなった。数日ぶりの日の光だった。

「そういや、親しい中にも礼儀あり! って言うな。僕も次から、明るい話をするようにするよ」

「するように・・じゃなく、することに・・で頼みたい。ははは…明るくする会!」

 掃き終わった友樹は手を止めて笑った。釣られて幸弘も笑った。

「ははは…じゃあな」

「ああ…」

 幸弘が自転車で去る後ろ姿を見ながら友樹は思った。どうせ無理だろうけど、ささやかなレジスタンスだと…。


               THE END

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ