表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/146

(33) 完璧[かんぺき]

「それはmade in chinaだっ! 完璧かんぺきな日本製は、ないのかっ!」

 課長の木崎は怒りを部下の藤原にぶちまけた。

「これなんか日本製だと思うんですが…」

 恐る恐る藤原は単一の乾電池を手にとって示した。

「馬鹿野郎! それは消耗品じゃないかっ! 私の言っとるのは製品だ、製品!!」

 益々、木崎の怒りは激しさを増し、顔を真っ赤にしだした。こうなっては手がつけられない…と藤原には分かる。

「それは、そのとおりです…」

 藤原は、ともかく木崎に従うことにした。そこへ言わなくてもいいのに藤原の横に座る田向たむかいが茶々をいれた。

「旋盤や微細部品なんかの技術はピカ一なんですけどねぇ~」

「ああ…それはそうだ。微細部品や金属圧延、精密機器部品とかは世界トップ技術だがな」

 田向とは馬が合うのか、木崎は怒りをやや鎮めた。話は、いつの間にか枝葉末節な世間話に変化していた。

「昔は小さな製品でもすべて国内生産でしたが…」

「そうそう。人件費が安い海外での現地生産になって久しいが、完璧に国力は落ちている」

「根を伸ばし過ぎて根腐れを起しかけた鉢ものみたいですね!」

「上手い! そのとおりだ。現地人の生産力に頼ってる訳だ。今、語られるのはGNP[国民総生産]じゃないからな」

「はい、GDP[国内総生産]ですよね」

 二人の会話は進み、話を挟めない藤原は面白くない。渋面しぶづらを作ると、二人の会話を無視して机上のパソコンキーを叩き始めた。

『完璧な日本? …そういや、今の日本には希少だ…』

 キーを叩きながら藤原は思った。ふと、木崎の話す姿に目がいった。

『いや、課長の頭のかつらは完璧な日本製だっ!』

 そう気づいた藤原は、ニンマリして木崎を垣間見た。

「藤原! なにが可笑しい!」

 木崎がまた落雷した。そのとき、ふと藤原は気づいた。

『課長の雷にも、もう馴れたな。まてよ! 雷は電圧[V]が数千万V~2億V、電流[A]が数万A~数十万Aらしいが、まだ蓄電技術は出来てないらしい。この技術開発や発見、発明が国力の起死回生になるかも知れん。この発想は完璧だ!』

 藤原は笑いを押し殺した。


               THE END

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ