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 夕方近く、俄かに大揺れがあった。

「地震だぁ~!」

 久司は誰もいない部屋で、一人、声を上げた。そのとき、ちっぽけな久司などまったく見えない日本列島はくしゃみをしてその身を縮めた。

『また深海プレートの野郎、腰を押し上げやがったな…。安心して眠れたもんじゃない! 安眠できん!』

 日本列島はブツブツと愚痴をつぶやいた。それと同時に桜島が噴火して白い噴煙を上げた。そのとき、でっかい日本列島の状態などまったく知らない久司は、ようやくおさまった揺れに安心しながら二階部屋のデスク下からい出た。窓ガラスの向こうには桜島の噴煙を上げる姿が垣間見えた。

「なんだ。噴火か…」

 久司は溜息を吐いた。桜島の噴火は、そう珍しいことではない。たまに大隅半島では起こる現象だった。ただ、地震を伴うことは珍しかったから、久司はあわてたのだ。

『ここ最近、深海プレートの野郎、嫌味が多くなったな。この前の東日本では、ど偉い目にあって肺炎を起こしかけたぜ。そのときの福島の炎症がまだなおらん!』

 日本列島は、またブツブツと愚痴を吐いた。噴火した火山灰が久司の家にも落ちてきた。またか…と久司には思えた。過去にもあったことで、さほど驚かなかったが、やはり掃除の手間が久司には嫌だった。しかし妙なもので手足は動き、いつのまにやら洗車や家掃除はあらかた片づいた。日本列島も、ボリボリと身体を掻く余震で動いたあと、いつの間にやら高鼾たかいびきで眠ってしまった。それに釣られたのか、久司も疲れからウトウトと眠ってしまった。

 久司は夢を見た。日本列島とタッグを組み、深海プレートを押し下げていた。日本列島と同じ大きさの自分がいた。いや、そのことよりも日本列島が人間のように動いているのが妙といえば妙だった。やがて深海ブレートは2対1で劣勢となり、両者に押し下げられて縮んだ。そのとき久司は目覚めた。部屋が地震で小さく揺れていた。久司はビクッ! と身を縮めた。


                  THE END

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