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(13) 解毒<19>

「そういうな。この世界から抜け出せる手立てが何かあるはずだ」

「だといいんですが…」

 工藤は小さな声で返した。

「そろそろ時間だ。総理役も結構、肩がるな。北方領土とガスのパイプライン共同開発の両天秤でロシアと会談らしい。海洋資源や漁業権は国境なしという話にして欲しいそうだ」

「なるほど…。しかし課長がロシア相手に交渉とは? 」

「ははは…そう言うな。だいぶ慣れてきたからな。アメリカもシェールガスの採掘技術が完成したから、2017年にはロシアを抜いて生産で世界一位の資源大国になるらしい。その点では、我が国への輸入可能が、いつになるかが鍵だろう。要は東西冷戦時ではないから、上手く日本の国益を守りながらやるしかない。詳細は外務大臣がやってくれるそうだが…。しかし妙なもので、別世界の話だと思えば、総理も緊張しないな。君だって、そうだろ?」

「ええ、それはまあ…。どこかで現実じゃないっていう意識が働いてるんですかね」

「それはいえるな。ただ、いつ会社へ戻るか分からんのが怖いな」

「ですね。この前は突然、視界が歪み意識がなくなりました。気づけば会社の係長席でした」

 工藤がそこまで言ったとき、藤堂が近づいてきた。

「総理、そろそろご準備を…」

「ああ、分かった。今、行く」

 藤堂が去り、篠口と工藤は中庭で別れた。

 篠口は会談を軽く終え、あとの外交を外務大臣に任せたとき、急に立ちくらみがした。

「総理! いかがなされました?!」

 篠口の視界は歪み、外務大臣の声も次第に遠退いて意識が途絶えた。

 気づけば篠口は机に前屈みになり課長席で眠っていた。起こされたのは、いつやらと同じ女性事務員の安藤由香だった。篠口と工藤の肩を由香は交互に揺すって起こした。

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