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(13) 解毒<9>

閣僚達は、ただポカ~ンとして聞くだけだった。

「オホン! 総理が言っておられることを要約いたしますと、サラ金地獄に陥った我が国を、なんとかしよう! という決意なのです」

 咳払いを一つすると、工藤は官房長官になりきって上手くその場をとりつくろった。篠口も少し言い過ぎたか…と思った矢先だったから、ほっとした。しかし我ながら、よくもまあ、こんな大胆な発言が出来たものだと、篠口は首を捻った。この時点で、篠口と工藤の身に起こった事象のゆがみは、少しずつ終息の方向に動き始めていた。そのとき、秘書官の藤堂が血相を変えて閣議室へ入ってきた。藤堂はドアを閉め、篠口に駆けよるや、絶叫した。

「総理、偉いことです! 石橋国連大使が国連事務総長に決定しました!」

 知らない人物だったが、石橋? とはけず、篠口は総理として慌てるな! と自分に言い聞かせた。

「そうか…。藤堂君、そりゃ偉いことでもなんでもなかろう。すばらしいホットニュースじゃないか。ねえ、皆さん!」

 篠口は余裕の笑いで閣僚達を見回した。閣僚達から誰彼となく拍手が湧き出し、閣議室にこだまする。篠口も工藤も、いつのまにか合わせるように拍手していた。篠口は表面上は笑顔で手を叩きながらもその実、ますます訳が分からなくなってきたぞ…と不安感に駆られていた。その心境は工藤もまた同じだった。俺は篠口課長の部下の係長でいいんだ! 誰か元に戻してくれ!! と懇願しながら…。次の瞬間、工藤が見る閣僚達の姿が歪み始めた。工藤は思わず、目頭を手で押さえた。その現象は総理の篠口にも起きていた。須藤も歪んで揺れる閣僚達の姿に、思わず指で目頭をこすった。

 気づけば、二人は課長室にいて、互いの席でうつ伏せになりながら眠りこけていた。室内では一人、二人と出勤を始めた社員達が席に着きながら、ざわついていた。

「課長! おはようございます」

 女性事務員の安藤由香が篠口と工藤の肩を揺すった。

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