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(95) 渇[かわ]く

 地球環境の激変により、雨が降らない日々が半年以上続いていた。人々は我れ先にと水を求めた。だが、どの店にも飲料用のペットボトルはなく、人々は乾いたのどに耐えられず、貯水ダムのまわりのわずかに残った溜まり水へむらがっていた。一年前は誰一人として来なかったダム周辺の林道は車の長蛇ちょうだの列と化していた。この都会の現象は、水の供給を時間制限から全面停止へと切り変えた時点で顕著けんちょになった。コンビニや食料品店に人々が殺到し、瞬く間に飲料関係の製品は売り切れた。発注が相次いだが、肝心のメーカーには材料となる水がなかった。一時はメーカーへ供給していた淡水変換の海水処理施設は、すでにパンクしていて、供給の目途めどは立っていなかった。水洗トイレは用立たなくなり、都会には汚物による悪臭がただよっていた。下水処理施設は無能力化していた。それに伴い、都会の衛生環境は劣悪さを増した。アスファルトやコンクリートががされ、汚物処理用地の掘削くっさくが始まったが、肝心の工事従事者がのどの渇きで倒れ、工事は停止した。水分が手に入らなくなって以降、人々の動きは鈍化していった。

「ただいまから、緊急記者会見をお伝えします!」

 テレビの臨時番組である。画面に首相が登壇し、なにやら言い始めた。

『現在、起きております水不足による生活面への困窮に関しましては、国民の皆様には多大のご迷惑をおかけいたし、まことに恐縮いたしておる次第であります。政府及び関係省庁におきましては、早急に解決を計るべく、鋭意努力中でございますので、今しばらくのご辛抱をお願いする次第であります。え~ …』

 首相の会見は続いた。

『共同送信の肌白です。総理は今後、水不足が解消するとお考えでしょうか? そうお考えなら、検討されている具体策について、お話し下さい』

『むろん、考えております。ただ、その件に関しましては、国民生活の混乱を招きかねませんので、具体的にお話しすることは、現在のところ出来ませんので、ご了承をたまわりたいと存じます』

『であれば、せめて、いつごろまでに解決されるおつもりなのか、その時期だけでもお願いいたします』

『降水の変化によりますので、時期に関しましてはお話し出来る状況にはございません』

『死者が続出してますが…?』

『私もかわいておるんです。しかし、ないものはない訳です。なんとかさせます、いや、なんとかします!』

 そのとき、映像が乱れた。TVカメラマンが水分失調で倒れたのだった。人々だけでなく、多くの動植物も同じ運命を辿たどっていた。この現象は地球規模で起こっていた。

 西暦××××年、地球上は完全に水分が消え去り、生物のしかばねだけが残る死の星となっていた。


               THE END

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