表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/146

(93) 知りません…

 どうも、知ったかぶりをすると損をするな…と的矢まとやは思った。この前も、初対面の客に、変わったお名前ですな? とかれ、そのあたりの四方山よもやま話を語ったのだ。最初のうちは話に乗ってくれた相手も、的矢が本腰を入れて語りだすと、どうでもいいような顔をした。それに始まったことではなかったが、ともかく、知ったかぶりを客にすると損をする傾向が強かった。そこで的矢は、話す人ではなく、聞く人になろうと思った。何をかれても、知りません…に徹しよう! という訳である。そして的矢は、それを実行した。

「いや~、そうなんですか? 知りません…」

 相手は、ならば話そう! とばかりにぺチャクチャと語りだした。的矢とすれば、相手が話す内容など、どうだってよかった。聞く人であれば、相手が旋毛つむじを曲げることはまずないのだ。ということは、結果として相手はご機嫌気分であり、的矢自身が損することは、まずない・・という結論となる訳だ。人間が持つ、知ったかぶりという自己顕示欲じこけんじよく逆手さかてにとった、いわば心理的な諜略ちょうりゃく一種いっしゅである。

「ははは…、まあ、そういうことだ。詳しいことは、次、寄ったときに話そう」

 相手は、ご機嫌で店を出ていった。

「有難うございましたぁ~」

 計算して聞く人になっている的矢としては、すんなりと客も送り出せた。これが意識した演出でないと、主観的に相手の話を聞いてしまうから、つい感情が表へ出て損をすることになる。その客は二日後にまた店へ顔を出した。

 的矢の居酒屋は、この方針で30%の収益をアップさせることに成功したのである。能ある鷹はつめを隠す・・の格言どおりだった。


                THE END

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ