(86) サンライズセット
G1レースが行われている、とある競馬場である。アナウンサーによる実況中継が白熱化していた。レースの馬群は、すでに第四コーナーにさしかかっていた。
「各馬、第四コーナーを回って、直線に向かいました! 先頭はウナギサンショウ! タタキカツオが上がってきた! タタキカツオだ! ユズポンホマレ、ミツバテンプラ、キモスイと続く! 先頭がキモスイに変わった! 二番手にユズポンホマレ! 外をついてサンライズセット! サンライズセットが抜け出た! サンライズセットだ! 強い、強い! 三馬身、四馬身差…サンライズセットだぁ~!! サンライズセット、ゴールイン~~!! 勝ったのはサンライズセットぉ~~~!!!」
アナウンサーは興奮のあまり、席前の電気コードを引きちぎった。
これは、過去の一場面である。サンライズセットは日の出のように競馬界へ出現し、日没のように競馬界から消え去った幻の名馬だった。引退ではなく、忽然と厩舎から消えてしまったのである。警察の捜査が当然のように行われた。しかし、管理に手抜かりもなく、警察もその不可解さに首を捻った。競馬界は騒然となり、マスコミは異変を華々しく報道した。だがついに、サンライズセットは発見されることはなかったのである。サンライズセットが活躍したその期間、僅かに一年。この馬の記憶は多くの競馬ファンの胸へ深く刻まれることになった。♪ああ…サンライズセット♪という曲名の音楽CDも発売された。この曲は飲食業界で爆発的ヒットとなり、長く店舗で流されたのだった。
彗星のごとく現れ、彗星のごとく消え去ったサンライズセット・・。その格好よさは、未だに伝説として競馬界に語り継がれている。
THE END
※ サンライズセットは馬肉にはされておりませんので、あしからず!^^




