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(12) 狐狗狸[コックリ]さん

 中学1年のときでした。職員室へ呼ばれた須藤君と桜庭さくらば君は生活指導の教師、川沼先生に注意されました。

「まあ、今日のところは大目にみよう。次回からは、ご家族を呼んで厳しく指導するぞ! もう、帰ってよろしい」

 二人は、ぺコリと頭を下げると職員室を出ました。須藤君と桜庭君が怒られていたのは、放課後に教室で五目並べをしていたからです。担任の山村先生には、それほど好きなら部を作れよ、といわれていた二人でしたが、放課後に残る者が十人を超えたところで・・と密かに決めていたのです。それが、あとわずかのところで、生活指導の川沼先生の耳に入り、呼び出された・・という訳です。おそらく、クラスの誰かがチクったに違いない・・と二人は廊下を歩きながら語りあいました。

「いや、木瀬だよ、きっと…。あいつはあやしい」

「そうか? 僕は安岡だと思う」

 二人の推理は違っていました。校門を出ると、いつも二人が立ち寄る公園がありました。

「よし、コックリさんだ! コックリさんにたずねてみよう」

「コックリさん? なんだ、それ?」

 須藤君は首をひねりました。

「まあ、僕に任せろよ。十円硬貨、あるか?」

「あるけど…」

「よし! それならけるよ」

 桜庭君は、カバンから画用紙を出すと半切りにしました。続けてその上へ鉛筆で「はい」「いいえ」と書き込み、その間に鳥居を描きました。そして、その下へ五十音の平仮名と数字を書いたのです。

「それじゃ、始めるよ。僕のいうとおりにしてくれよ」

「うん…」

 分からない須藤君は桜庭君に従うことにしました。桜庭君は鳥居の上に十円硬貨を乗せると人差し指を硬貨の上へ置くよう指示しました。須藤君がそうすると、その上へ桜庭君も人差し指を重ねて置きました。

「コックリさん、コックリさん、どうぞおいで下さいませ。もし、おいで下さいましたら、{はい}へお進み下さいませ」

 桜庭君がそういうと、十円硬貨は不思議にも動きだし、「はい」と文字の位置へ移動して答えました。

「チクったのは誰ですか」

 桜庭君は続けました。すると、ふたたび十円硬貨は不思議にも動きだし、「か・わ・ぬ・ま」と動いて示したのです。二人はギクッ! としました。「か・わ・ぬ・ま」とは生活指導の教師、川沼先生をおいて他にはいないからです。二人は思わず、顔を見合わせました。辺りには夕闇が迫っていました。

「コックリさん、コックリさん、どうぞお帰り下さいませ」

 桜庭君は丁重ていちょうにそうお願いすると、指の下の十円硬貨が動きだして鳥居へともどりました。

「ありがとうございました」「ありがとうございました」

 それを見届けた桜庭君は、そういいました。須藤君も桜庭君に合わせていいました。

「おい! 川沼先生だよ」

「ああ…。ということは、先生が僕達を見てたってことかな?」

 少し怖くなった二人は、急ぐように公園をあとにしました。

 二人がその後、それとなく川沼先生にたずねますと、川沼先生は「よく分かったな? そのとおりだ!」と、いったそうです。

 …実は、この話には続きがあるんです。三日ばかり過ぎた頃、急に桜庭君が熱をだして学校を休んだのです。それだけではありません。時を同じくして、須藤君も足を捻挫ねんざして学校を休みました。一人だけならそういうこともあるのでしょうが、二人同時でしたから怖い話です。

「僕、あの紙と十円硬貨、まだそのままにしていたよ…」

 翌週の月曜日、二人は登校し、校庭で話し合いました。桜庭君が調べてみると、紙は48分割に細かく破り捨て、10円玉は三日以内に使って下さい・・と、あったそうです。桜庭君は、ついうっかり、あと始末をしていなかったのでした。桜庭君と須藤君は、その紙を放課後の下校のとき公園で破ると屑かごに捨て、十円硬貨は缶ジュースに使ってしまったそうです。その後は、そういうことは起こっていません。これは、すべて僕が二人から聞いた話です。皆さんもコックリさんをやるときは注意しましょう。たたりは怖いですから…。


               THE END

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